国道や県道などの道路は、国や地方公共団体の所有物なので、道路を占用して使用する場合は、道路占用料を支払う必要があります。
今回は、道路占用料に関する会計処理・消費税の取扱いと注意点について解説したいと思います。
道路を占用する場合の手続き
道路上や上空、地下に一定の施設を設置し、継続して道路を使用することを「道路の占用」といいます。
道路を占用しようとする場合は、道路法第32条の規定に基づき、道路を管理している「道路管理者」の許可を受ける必要があります。
「道路管理者」とは、以下の者を指します。
道路管理者 | 道路の種類 |
国土交通大臣 | 一般国道で政令指定された区間 |
都道府県知事 | その他の一般国道で政令指定されていない区間及び都道府県道 |
政令指定都市の市長 | その他の一般国道で政令指定都市の域内にある区間、都道府県道及び市町村道 |
その他の市長 | 市町村道 |
道路の占用の許可を受けるための基準として、次の要件に該当していなければなりません。
・占用しようとする場所及び構造が政令に適合していること
なお、要件を満たしている場合でも、道路管理・道路交通上認められない場合もあります。
道路占用の許可を受けた場合は、所定の占用料を支払ったうえで、許可内容及び許可に付された条件を遵守し、占用期間の満了又は占用廃止の際に原状回復をする必要があります。
道路占用料は土地の貸付けの対価に該当する
道路占用料は、消費税法上、土地の貸付けの対価に該当するものとして取り扱われます。
(公有水面使用料、道路占用料、河川占用料)
6-1-7 国又は地方公共団体等がその有する海浜地、道路又は河川敷地(地上及び地下を含む。)の使用許可に基づき収受する公有水面使用料、道路占用料又は河川占用料は、いずれも土地の貸付けに係る対価に該当するものとして取り扱う。
したがって、道路の貸付期間(占用期間)が1か月以上である場合は非課税取引、1か月未満である場合は課税取引となります。
なお、契約において貸付期間を1か月未満としており、実際に貸付期間が1か月未満であった場合に、1か月分の道路占用料を収受することとしているときは、契約上の貸付期間が1か月未満であることから、その道路占用料は課税の対象となります。
道路占用料の具体例
どのような場合に道路占用料を支払うことになるのか、具体的に見てみましょう。
道路区域内の地中に構築物を埋設する場合
電気・電話・ガス・上下水道などの管路を道路の地下に埋設する場合は、道路管理者の許可を受けたうえで、道路占用料を支払わなければなりません。
この場合、占用期間は通常1か月以上の長期に渡るため占用料の支払いは非課税となります。
お祭りやイベントの際に露店を営む場合
花火大会などのイベントの際に屋台を出店して、道路を店舗用として使用する場合は、道路占用料を支払います。
この場合、道路を占用するのがイベントの日のみである場合等、占用期間が1か月未満であれば占用料の支払額は課税仕入れとなります。
道路区域内の上空に看板等の工作物が突出する場合
会社名や商品の看板や店舗の屋根・日除け等の工作物が道路区域内の上空に突出する場合は、道路と直接的に接地していなくも、道路占用料を支払う必要があります。
この場合の道路占用料の支払いは、商品のセールの際に一時的に看板を突出させるだけなら占用期間は短期間(1か月未満)になるため課税仕入れとなりますが、会社名の看板や屋根・日除け等が道路区域内の上空に突出する場合は、占用期間は通常長期(1か月以上)に渡るため非課税仕入れとなります。
線下補償料
土地の上空に送電線・高圧線などの電線が通っている場合、電力会社から上空使用料として線下補償料が支払われます。
この場合の線下補償料も、土地の貸付けの対価として非課税売上げとなります。
電柱などの構築物を敷設する場合
道路上に電柱などの構築物を敷設する場合は、道路占用料を支払う必要があります。
この場合、占用期間は通常長期(1か月以上)に渡るため、道路占用料の支払いは非課税仕入れとなります。
道路占用料に該当しない場合
橋梁上又はトンネル内に構築物を付設する場合に徴される橋梁等の建設負担金は、道路占用料には該当せず、非課税取引とはなりません。
当該施設等を利用する権利の設定に係る対価に該当するため、課税取引となります。
道路使用許可の申請費用は非課税
施設の設置工事のために警察署から「道路使用許可」を受ける場合の申請費用は、法令に基づき徴収される一定の行政手数料として非課税取引とされています。
警察署に支払う「道路使用許可の申請費用」と、道路管理者に支払う「道路占用料」は、どちらも似たような内容の費用ですが、消費税法上の取扱いはそれぞれ異なるため注意しましょう。
使用する勘定科目
「道路占用料」は土地の貸付けの対価であるため、「地代家賃」や「支払地代」など、土地の賃借料としての性質の勘定科目を用います。
一方、警察署に支払う「道路使用許可の申請費用」は行政手数料なので、「支払手数料」勘定で処理します。
金額の重要性が低い場合は、いずれも「雑費」として計上してもかまいません。
まとめ
道路の占用料は、消費税法上、土地の貸付けと同様に取り扱うため、道路の貸付期間(占用期間)が1か月以上である場合は非課税取引、1か月未満である場合は課税取引となります。
なお、警察署に支払う道路使用許可の申請費用は非課税となります。
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