非課税仕入れと不課税仕入れの違いとは?区別する必要はある?

この記事の内容は、2025年1月現在の最新の税制に対応しています。

会計ソフトなどで入力時に、税区分に「非課税仕入れ」と「不課税仕入れ」とあるのを目にしたことがあるかと思います。

「これってどう違うの?きちんと区別しなきゃいけないの?」と疑問に思ったこともあるのではないでしょうか?

そこんで、今回は、非課税仕入れと不課税仕入れの違いについて解説したいと思います。

 

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非課税仕入れと不課税仕入れを区別する必要はない

先に結論から書いちゃいますと、会計ソフトで入力する際に非課税仕入れ」と「不課税仕入れ」を区別する必要はありません。

「非課税仕入れ」も「不課税仕入れ」もどちらも消費税額の計算に影響を与えない項目なので、これらを区別していなかったとしても何ら問題はありません。

消費税法上の用語として存在するだけで、実務的には存在価値のない項目なので区別しなくても大丈夫です。

実際、僕はホームページの記事や書籍の中では説明のために一応「非課税仕入れ」と「不課税仕入れ」は区別して書いていますが、実務において会計ソフト上で入力作業をする際は一切区別をしていません。

僕は、入力の際は面倒くさいので「非課税仕入れ」も「不課税仕入れ」も全部「対象外」という項目で処理しています。

ちなみにいうと、国際通話料金や国際航空運賃などの「免税仕入れ」も実務上は区別する必要はないため、僕は「免税仕入れ」が出てきた場合も「対象外」としています。

「非課税仕入れ」「不課税仕入れ」「免税仕入れ」は区別していなくても税額計算に影響はなく、これらを区別していないからといって税務署に何か文句を言われることはないので、区別をする必要はありません。

(ただし、税務署や銀行などに総勘定元帳の写しの提出などを求められた場合に、非課税仕入れと非課税仕入れを区分していれば、しっかり課否判定をできていることをアピールすることができます。経理能力の高さをアピールするために「非課税仕入れ」と「不課税仕入れ」を区分するのはありだと思います。)

(なお、消費税法一問一答アプリシリーズでは、非課税仕入れ、不課税仕入れ、免税仕入れが正解となる場合の正解はまとめて「処理なし」としています。)

 

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不課税仕入れとは

消費税は、次の4要件を満たす取引が課税の対象となります。

課税の対象の4要件
① 国内において行うものであること
② 事業者が事業として行うものであること
③ 対価を得て行うものであること
④ 資産の譲渡・貸付け、役務の提供であること

「不課税仕入れ」とは、これらの要件を満たさない仕入れのことをいいます。

例えば、給料の支払いや、個人事業者のプライベートな支出、税金の支払い、課税対象外となる損害賠償金の支払い、減価償却費の計上などが不課税仕入れとなります。

 

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非課税仕入れとは

課税の対象の4要件を満たす場合であっても、消費税法別表第二に限定列挙されている次の17項目の取引には消費税を課さないこととされています。

(下記は、国税庁が公表しているタックスアンサーNo.6201『非課税となる取引』のタイトルの柱をピックアップしたものです。)

消費税の非課税取引
(1) 土地の譲渡及び貸付け
(2) 有価証券等の譲渡
(3) 支払手段の譲渡
(4) 預貯金の利子及び保険料を対価とする役務の提供等
(5) 日本郵便株式会社などが行う郵便切手類の譲渡、印紙の売渡し場所における印紙の譲渡及び地方公共団体などが行う証紙の譲渡
(6) 商品券、プリペイドカードなどの物品切手等の譲渡
(7) 国等が行う一定の事務に係る役務の提供
(8) 外国為替業務に係る役務の提供
(9) 社会保険医療の給付等
(10) 介護保険サービスの提供
(11) 社会福祉事業等によるサービスの提供
(12) 助産
(13) 火葬料や埋葬料を対価とする役務の提供
(14) 一定の身体障害者用物品の譲渡や貸付け
(15) 学校教育
(16) 教科用図書の譲渡
(17) 住宅の貸付け

「非課税仕入れ」とは、上記に該当する取引に係る仕入れをいいます。

例えば、土地の購入費用や有価証券の購入費用、利息の支払額、医療費の支払額、住宅の家賃などが非課税仕入れに該当します。

 

免税仕入れとは

課税の対象の4要件を満たす場合であっても、以下のような取引は「輸出取引等」に該当するため、消費税が免除されます。

輸出取引等
⑴ 本邦からの輸出として行われる資産の譲渡、貸付け
⑵ 外国貨物の譲渡・貸付け
⑶ 国内及び国外にわたって行われる旅客・貨物の輸送、通信
⑷ 専ら国際輸送の用に供される船舶・航空機の譲渡、貸付け、修理で船舶運航事業者等に対する者もの
⑸ 上記①~④に類するもの
 ① 外国船舶等の譲渡、貸付け、修理等で船舶運航事業者等に対するもの
 ② 外国貨物の荷役、運送、保管、検数、鑑定その他これらに類する役務の提供
 ③ 国内及び国外にわたって行われる郵便、信書便
 ④ 無形固定資産の譲渡、貸付けで非居住者に対するもの
 ⑤ 非居住者に対する役務の提供で次のもの以外のもの
  イ 国内に所在する資産に係る運送、保管
  ロ 国内における飲食、宿泊
  ハ イ・ロに準ずるもので、国内において直接便益を享受するもの

「免税仕入れ」とは、上記に該当する仕入れをいいます。

例えば、国際通話料金や国際航空運賃、外国貨物に係る通関業務料金などは免税仕入れに該当します。

 

不課税仕入れ、非課税仕入れ、免税仕入れは仕入税額控除できない

「不課税仕入れ」「非課税仕入れ」「免税仕入れ」は、いずれも仕入税額控除を受けることはできません。

これらはいずれも消費税額の計算上一切影響を与えないため、会計ソフトで入力する際に区別する必要は全くありません。

会計ソフトにもよりますが、例えば、弥生会計では消費税の税区分に「対象外」(要するに不課税取引)という区分があるため、僕は面倒なので「非課税仕入れ」「非課税仕入れ」「免税仕入れ」はいずれも「対象外」として処理しています。

 

不課税売上げ、非課税売上げ、免税売上げは区分しなければならないことに注意

不課税、非課税、免税について税区分をしなくてもいいのは「仕入れ」の場合です。

不課税売上げ、非課税売上げ、免税売上げについては、いずれも消費税はかからない売上げですが、課税売上割合の計算や納税義務の計算等に影響を与えることになるため、必ず区分する必要があります。

非課税売上げは、課税売上割合の分母に算入される金額が「全額算入」か「5%算入」か「全額不算入」かをさらに区別する必要があります。

課税売上割合の分母に算入される非課税売上高の注意点については、次の記事で詳しく解説しています。

 

まとめ

「不課税仕入れ」「非課税仕入れ」「免税仕入れ」は、いずれも消費税額の計算に一切影響を与えないため、実務上これらを区分する必要はありません。

ただし、「不課税売上げ」「非課税売上げ」「免税売上げ」については必ず区分しなければならないことに注意しましょう。

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