消費税相当額を本体価格とは別に授受している場合の注意点

この記事の内容は、2025年1月現在の最新の税制に対応しています。

事業者間において外税方式で取引を行っている場合に、消費税相当額を本体価格とは別に授受することがあります。

今回は、消費税相当額を本体価格とは別に授受している場合の注意点について解説したいと思います。

 

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本体価格と消費税相当額を別に授受する場合とは

事業者間で、商品価格の消費税を外税方式で表示している場合に、商品の本体価格と消費税相当額が別々に授受されることがあります。

例えば、商品を550,000円(本体価格500,000円+消費税等50,000円)で販売した場合に、先に本体価格500,000円を収受し、消費税相当額50,000円は後日振り込まれるということがあります。

このように、商品の本体価格と消費税相当額が別々に授受される場合は、少し注意が必要です。

 

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税込みの取引額が課税資産の譲渡等の対価の額

消費税法基本通達10-1-1において、課税資産の譲渡等の対価の額について次のような記載があります。

(譲渡等の対価の額)
10-1-1 法第28条第1項本文《課税標準》に規定する「課税資産の譲渡等の対価の額」とは、課税資産の譲渡等に係る対価につき、対価として収受し、又は収受すべき一切の金銭又は金銭以外の物若しくは権利その他の経済的利益の額をいい、消費税額等を含まないのであるが、この場合の「収受すべき」とは、別に定めるものを除き、その課税資産の譲渡等を行った場合の当該課税資産等の価額をいうのではなく、その譲渡等に係る当事者間で授受することとした対価の額をいうのであるから留意する。

太字の部分がポイントとなります。

消費税法において、課税標準となる金額は「当事者間が授受することとした対価の額」であり、取引当事者間の双方の合意のうえで取り決めた実際の取引額に対して課税されることになります。

したがって、商品の本体価格と消費税相当額を別々に収受している場合であっても、それぞれが取引当事者間で授受することとした金額であるため、税込価格の全額が課税資産の譲渡等の対価の額となります。

 

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消費税相当額を収受できなくなった場合

商品の本体価格のみを先に収受し、その後、消費税相当額の支払いを受けることができなくなった場合は、その取引に係る消費税は納めなくても良いのでしょうか?

残念ながら、このような場合でも、消費税を納める必要があります。

課税対象となる取引については、個々の取引において事業者と消費者との間で消費税相当額の負担についていかなる合意があったか、また、その合意に基づく金額が実際に支払われたかどうかにかかわらず、事業者においては消費税の納税義務を免れることはできないこととされています。

例えば、税込550,000円の商品のうち本体価格500,000円のみを先に収受したもの、後日50,000円分の消費税相当額を収受できなくなった場合は、収受できた本体価格500,000円に係る消費税額(地方消費税含む)500,000円×10/110=45,454円を納付しなければなりません。

 

本体価格と消費税相当額を別に授受する場合の貸倒れに係る消費税額の控除

消費税相当額を別に授受している場合に貸倒れの事実が生じたとしても、貸倒れに係る消費税額の控除の規定はそれぞれ適用することができます。

例えば、消費税相当額50,000円のみ貸倒れとなった場合は、その金額に含まれる消費税額(地方消費税含む)50,000円×10/110=4,545円が控除されます。

また、本体価格500,000円のみ貸倒れとなった場合は、その金額に含まれる消費税額(地方消費税含む)500,000円×10/110=45,454円が控除されます。

よくある間違いとして、「消費税相当額が貸倒れとなったらその全額を控除でき、本体価格が貸倒れとなったら控除できない」という解釈がありますが、これは誤りなので注意しましょう。

 

まとめ

本体価格と消費税相当額を別々に授受している場合であっても、それぞれが取引当事者間で合意した対価の額となり、貸倒れが生じたとしても、それぞれの金額に含まれる消費税額が控除されることになります。

 

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