商品やサービスの価格表示で「内税」と「外税」という言葉を聞いたことはありませんか?
たまにレシートや領収書で見かけるけど、どういう意味なのかあまりよくわかっていない方も多いかと思います。
そこで今回は、価格表示の「内税」と「外税」の意味の違いと、商品価格に含まれる消費税の請求書への書き方や計算方法について解説したいと思います。
内税は税込価格、外税は税抜価格という意味
「内税」の意味
「内税」は、消費税込みの価格表示のことで「税込価格」「総額表示」と言われることもあります。
「外税」の意味
「外税」は、消費税を含まない価格表示のことをいい、「税抜価格」「本体価格」と言われることもあります。
「内税」と「外税」の違いの覚え方
「内税」と「外税」の違いは「その商品価格に対して、消費税がどこにあるか」をイメージすると覚えやすいです。
「内税」の覚え方
「内税」は、「消費税がその商品価格の内側にある」とイメージしましょう。
例えば、内税の商品価格が11,000円の場合は、その商品価格の内側に消費税 1,000円(=11,000円×10÷110)があるということになります。
このような図をイメージすると、「内税」は税込価格のことだとすぐにわかります。
「外税」の覚え方
一方、「外税」は、「消費税がその商品価格の外側にある」とイメージしましょう。
例えば、外税の商品価格が10,000円の場合は、その商品価格の外側に消費税 1,000円(=10,000円×10%)があるということになります。
このような図をイメージすると、「外税」は税抜価格のことだとすぐにわかります。
(豆知識)「内税」と「外税」の英語表現
英語では、内税や税込金額のことを「Tax Included」(訳:税金が含まれている)といいます。
一方、外税や税抜金額のことを「Tax Excluded」(訳:税金が除外されている)といいます。
外国の商品を買ったときは、この表記から内税なのか外税なのか判断しましょう。
消費者に販売する場合は「内税表示」が必要
商品を販売したり、サービスを提供しているお店は、不特定多数の消費者に対して商品等を販売する場合は、商品価格は原則として内税(税込価格)で表示しなければならないこととされています。
特例により、令和3年3月までは外税(税抜価格)で表示することも認められ例ましたが、令和3年4月以後はこの特例の有効期限が切れるため、すべての事業者が内税表示に対応する必要があります。この点については、詳しくは次の記事で解説しています。
消費税の計算方法
内税表示の義務付けは、不特定多数の消費者に対して商品等の販売価格を表示する場合に限られ、事業者間の取引における見積書、契約書、請求書等については内税表示は義務付けられていません。
つまり、請求書等を作成する場合は、請求する金額を「内税表示」で記載しても「外税方式」で記載しても、どちらでもかまいません。
内税表示で請求書を作成する場合
内税表示で金額を記載する場合は、以下のように金額は税込みで記載します。
消費税を記載する欄に各税率ごと(標準税率10%対象と軽減税率8%対象)の消費税額を記載し、カッコを付けるなどして商品価格に含まれている税額でるとわかるように記載します。
なお、持ち帰り用の飲食料品など、軽減税率8%が適用される商品については「※」や「T」などの印をつけ、軽減税率対象品目であることがわかるように記載しましょう。
外税表示で請求書を作成する場合
外税表示で金額を記載する場合は、以下のように金額は税抜きで記載します。
消費税を記載する欄に各税率ごと(標準税率10%対象と軽減税率8%対象)の消費税額を記載し、小計の金額に加算して税込みの合計額になるように記載します。
消費税額の計算の仕方
本体価格に上乗せする消費税額に端数が生じたときは、「円未満切捨」「円未満四捨五入」「円未満切上」などどのような方法で処理してもかまいません。
申告書で納付税額を計算する際は、どのような端数処理を行っているかにかかわらず、その事業年度中に収受した税込対価の額に110分の7.8(国税部分)を掛けて計算するため、端数処理の方法は何でもいいのです。
実際のところは、「円未満切捨」により計算している事業者が多いです。
例えば、税率10%が適用される商品(本体価格1,234円)の消費税額は、1,234円×10%=123.4円→123円(円未満切捨)とし、税込価格は1,234円+123円=1,357円と計算している場合が多いです。
なお、「円未満切捨」の場合に、税込金額から消費税額を求める際は、以下のように求めます。
例えば、税込価格 30,000円に含まれる消費税額は
税抜金額 = 30,000円 ÷ 1.1 = 27,272.7272…円 → 27,273円(小数点未満切上)
消費税額 = 27,273円 × 10% = 2,727.3円 → 2,727円(小数点未満切捨)
(または、30,000円 - 27,273円 = 2,727円)
合計:27,273円 + 2,727円 = 30,000円
と求めます。
この計算方法については、詳しくは次の記事で解説しています。
まとめ
「内税」は「税込金額」のことを指し、「外税」は「税抜金額」のことを指します。
どっちがどっちだったか迷ったときは、その言葉の意味から「その商品価格に対して、消費税が内側にあるか外側にあるか」をイメージすると区別しやすいです。