コロナ禍でアウトドアレジャーの需要が増えている中、潮干狩りや釣堀で貝や魚の採取を楽しんでいる方も多いかと思います。
今回は、潮干狩りや釣り堀の入場料や持ち帰り料金に関する消費税の取扱いについて解説したいと思います。
軽減税率が適用される取引とは
令和元年10月1日から、日本で初めて消費税の軽減税率制度が導入されることとなりました。
軽減税率8%が適用される取引は、以下の2つです。
・定期購読契約に基づき配送される新聞(週2回以上発行されるもの)の譲渡
「飲食料品」を持ち帰り販売する場合は軽減税率の適用対象となりますが、飲食設備のある場所において飲食料品を飲食させる役務の提供については、「外食」として軽減税率の適用対象外とされています。
入場料は標準税率10%、持ち帰り料金は軽減税率8%
国税庁が公表している資料『消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)』の問32において、潮干狩りや釣り掘に関して次のような記載があります。
(果物狩り、潮干狩り、釣り堀)
問32 いちご狩りや梨狩りなどのいわゆる味覚狩りの入園料は、軽減税率の適用対象となりますか。
【答】
果樹園での果物狩りの入園料は、顧客に果物を収穫させ、収穫した果物をその場で飲食させるといった役務の提供に該当しますので、「飲食料品の譲渡」に該当せず、軽減税率の適用対象となりません。
なお、収穫した果物について別途対価を徴している場合のその果物の販売は、「飲食料品の譲渡」に該当し、軽減税率の適用対象となります。
また、潮干狩りや釣り堀等についても、同様の取扱いになります。
以前書いた記事では、果物狩りの入園料や持ち帰り料金に適用される消費税率の取り扱いについて解説しました。
潮干狩りや釣り掘の取扱いについては、果物狩りに関する取扱いのおまけとして、最後の行に「潮干狩りや釣り堀等についても、同様の取扱いになります。」と記載されているだけです。
しかし、この書き方では正直説明が足りていないと思います。
果物狩りについては、「収穫した果物をその場で飲食させるといった役務の提供に該当しますので~」という理由で軽減税率の適用対象外という説明がされていますが、潮干狩りで採取した貝や釣り堀で釣った魚をその場ですぐに食べる人なんていますでしょうか?
相当ワイルドな人でない限り、採取した貝や魚をその場で食べるなんてことはないため、上記の Q & A の回答では説明がつきません。
では、潮干狩りや釣り堀の入場料についてはどう考えればいいかというと、これは「漁業権」や「入漁権」の貸付けの対価であると考えることになります。
「漁業権」や「入漁権」などの無形固定資産の貸付けは軽減税率の適用対象取引ではないため、潮干狩りや釣り堀の入場料には標準税率10%が適用されます。
なお、貝や魚を入場料とは別に持ち帰り料金などの対価を徴収して販売している場合は、「外食」ではなく、飲食料品(=魚介類)の持ち帰り販売であるため、軽減税率が適用されます。
なお、一定量お持ち帰りできることとしている場合でも、持ち帰る分について別途対価を徴収していないときは、その全体が入場料として取り扱われ軽減税率は適用されません。
簡易課税の場合、入場料は第三種、持ち帰り料金は第二種
軽減税率制度の実施に伴い、令和元年10月1日以後、農林水産業のうち消費税の軽減税率が適用される飲食料品の譲渡を行う事業については、第二種事業に移行することとなりました。
農業、林業、漁業はすべて第3種事業(みなし仕入率70%)
↓
[令和元年(2019年)10月1日から]
農業、林業、漁業のうち飲食料品の譲渡を行う事業は第2種事業(みなし仕入率80%)
潮干狩りや釣り堀で魚介類を採取させる事業は「漁業」に該当します。
そのため、軽減税率が適用される持ち帰り料金については第二種事業、軽減税率の適用対象とならない入場料については第三種事業となります。
なお、持ち帰る分について別途対価を徴収していないときは、その全体が入場料として取り扱われ第三種事業となります。
まとめ
果物狩りの入園料及び果物の持ち帰り料金についての消費税の取り扱いをまとめると、以下の表のようになります。
消費税率 | 簡易課税の事業区分 | |
潮干狩りや釣り堀の入場料 | 標準税率10% | 第三種事業 |
入場料とは別に徴収する持ち帰り料金 | 軽減税率8% | 第二種事業 |
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GKY01 | 潮干狩りの入園料 |
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