会社説明会や面接、入社試験の来訪者に支払う交通費は課税仕入れ?

この記事の内容は、2025年10月現在の最新の税制に対応しています。

会社説明会や面接、入社試験など、会社の採用活動において、来訪者に対して交通費を支払うことがあります。

この交通費の支払額は、消費税法上課税仕入れとなるのでしょうか?

今回は、会社説明会や面接、入社試験の来訪者に支払う交通費が課税仕入れになるかどうか解説したいと思います。

 

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実費精算する場合は課税仕入れとなる

会社説明会や面接、入社試験の来訪者に対し、交通費や宿泊費について当社宛の領収証の交付を受けて実費精算する場合は、その金額は課税仕入れとして認められます。

ただし、通常必要であると認められる部分の範囲内の金額である必要があるため、あまりに高額すぎる交通費や宿泊費の支払いは、その来訪者に対する贈与として扱われ、課税仕入れとはなりません。

ケースバイケースですが、交通費については所得税法上の非課税限度額の範囲内、宿泊費であれば当社の出張旅費規程に定めた金額の範囲内であれば、おおむね通常必要であると認められる部分の範囲内であると判断されるでしょう。

なお、領収証等の宛名が当社ではなく面接者等の指名となっている場合は、原則として、立替金精算書の保存も必要となります。

立替金精算書を保存して仕入税額控除を受ける場合の要件等については、詳しくは次の記事をご覧ください。

 

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一律に支給する場合は課税仕入れとして認められない

領収証の交付を受けて実費精算する場合は、その交通費は課税仕入れとして認められます。

しかし、実費精算をせず、来訪者に対して一律に交通費や日当を支払っている場合は、会社が交通費を支出したことを示す請求書等を保存できないことになるため、課税仕入れとして認められません。

役員や従業員が国内に出張した際に、出張旅費規程に基づいて一律に支払う日当については、領収書等による実費精算を行わなくても課税仕入れとして認められます。

支払う相手がまだ従業員ではない入社志望者である場合は、原則として上記のような取扱いは認められず、実費精算せずに出張旅費規程に基づき一律に支払う交通費・日当は課税仕入れとなりません。(=出張旅費等特例の対象となりません。)

ただし、出張旅費等特例の対象とならない場合の内定者や採用面接者に対して支払われる旅費交通費等のうち、公共交通機関(船舶、バス、電車)に係るものについては、当社が公共交通機関に直接支払っているものと同視し得る場合には、3万円未満の支払いについて、一定の事項を記載した帳簿のみの保存により仕入税額控除を行うことが認められます。(公共交通機関特例)

飛行機は公共交通機関特例の対象とならないため、3万円未満であっても仕入税額控除を行うことが認められないことに注意しましょう。

 

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内定者に支払う場合は出張旅費特例の対象となる

内定者のうち、企業との間で労働契約が成立していると認められるものに対して支給する交通費等については、通常必要であると認められる部分の金額については、領収書等の適格請求書の保存を要せず、一定の事項を記載した帳簿を保存するのみで仕入税額控除が認められます。(=出張旅費特例の対象となります。)

なお、労働契約が成立しているか否かは、例えば、企業から採用内定通知を受け、入社誓約書等を提出している等の状況を踏まえて判断されることとなります。

(参考:国税庁-お問い合わせの多いご質問 問⑮インボイスQ&A 問107-3

 

まとめ

会社説明会や面接、入社試験の来訪者から領収証の交付を受け、交通費や宿泊費を実費精算して支払う場合は、通常必要であると認められる部分の範囲内の金額であれば課税仕入れとなります。

労働契約が成立した内定者に係る交通費については、出張旅費特例の適用があるほか、公共交通機関特例や実費精算による仕入税額控除も認められます。

上記以外の採用面接者については、出張旅費特例の適用は認められませんが、公共交通機関特例や実費精算による仕入税額控除が認められます。

出張旅費特例 公共交通機関特例 実費精算
労働契約が成立した内定者
上記以外の採用面接者 ×

なお、実費精算による場合、宛名が会社名になっていないときは、立替金精算書の保存も必要となります。

立替金精算書については、次の記事で詳しく解説しています。

 

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消費税法 無敵の一問一答

問題番号 タイトル
679 入社試験の受験者に支払う交通費

 

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