個人事業者が事業を廃止した後の消費税の中間申告納付に関する注意点

この記事の内容は、2025年1月現在の最新の税制に対応しています。

法人でも個人事業者でも、前課税期間の確定消費税額に応じて、中間申告納付を行う必要があります。

今回は、個人事業者が事業を廃止した後の中間申告納付に関する注意点について解説したいと思います。

 

スポンサーリンク

事業を廃止した場合は事業廃止届出書を提出する必要あり

個人事業者が事業を廃止した場合は、納税地の所轄税務署に「事業廃止届出書」を提出する必要があります。

これは消費税に関する届出書ですが、実はこの届出書を提出し忘れている方が結構多いのです。

その理由は、所得税における「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出すれば、消費税に関しては特段届出は必要ないと勘違いしている人が多いからです。

そのため、事業を廃止した個人事業者の方は、消費税における「事業廃止届出書」の提出も忘れないよう注意しましょう。

 

スポンサーリンク

事業廃止届出書を提出した場合は、廃業年の翌年以後は中間申告義務はない

消費税の中間申告は、事業者(法人及び事業を行う個人)に対して義務付けられている手続きです。

個人事業者が「事業廃止届出書」を提出した場合は、事業者ではなくなるため消費税の中間申告義務はありません。

この場合、廃業年の翌年は中間申告義務はなく、中間申告の納付書も送られてこないため何もする必要はありません。

 

スポンサーリンク

事業廃止届出書を提出し忘れた場合の対処法

所得税における「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出し、消費税については特段何も手続きが必要ないと勘違いし、消費税における「事業廃止届出書」を提出し忘れた場合は、廃業年の翌年も(廃業年の確定消費税額が一定額を超えていれば)中間申告義務が生じることになります。

「所得税では廃業になっているのに消費税の中間申告義務があるの?」と不思議に思うかもしれませんが、所得税法における事業者と消費税法における事業者の範囲は実は異なっているのです。

そのため、所得税とは別に消費税においても個別に廃業に関する手続きを行う必要があるのです。

以下、消費税における「事業廃止届出書」を提出し忘れてしまった場合の対処法について詳しく解説します。

翌年6月30日までに事業廃止届出書を提出する

本来なら、「事業廃止届出書」は事業を廃止した後速やかに提出する必要があります。

しかし、出し忘れてしまったのなら仕方ないので、六月中間申告(年に1回中間申告をしている場合)の場合は、中間申告対象期間(1月1日~6月30日)の末日(6月30日)までに「事業廃止届出書」を提出すれば、廃業年の翌年の中間申告義務は生じなくなります。

(なお、確定消費税額が多額な場合は三月中間申告、一月中間申告による中間申告義務が生じることもあるため、その場合は各中間申告対象期間の末日までに提出する必要があります。)

(間に合わなかった場合1)納付した後に確定申告で還付申告をする

中間申告対象期間末日までに「事業廃止届出書」の提出が間に合わなかった場合や、そもそも納付書が届いて初めて提出のし忘れに気づいた場合は中間申告義務を取り消すことはできません。

その場合、いったん納付書の通りに中間納付額を納めて、その後、確定申告で中間納付額分の還付申告をしましょう。

(間に合わなかった場合2)仮決算により中間納付額0円として中間申告する

上記のように、いったん中間納付額を納めてその後で還付申告をするのが、経済的な事情等により厳しい場合は「仮決算」により中間申告を行うという方法もあります。

もう事業を行っていないのであれば、売上げも仕入れもなく納付税額は0円になるはずなので、仮決算を組んで中間納付税額0円として中間申告を行いましょう。

そうすれば、中間納付を行う必要はありません。

 

まとめ

個人事業者が事業を廃止した場合は、速やかに「事業廃止届出書」を提出する必要があります。

これを提出すれば、廃業年の翌年の中間申告義務はなくなります。

しかし、所得税の「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出したため消費税については特段届出は必要ないと勘違いしてしまった場合は、廃業年の翌年も消費税の中間申告義務が生じてしまいます。

その場合は、対処法として以下の方法を試みましょう。

① 翌年6月30日までに事業廃止届出書を提出する
② 納付した後に確定申告で還付申告をする
③ 仮決算により中間納付額0円として中間申告する

 

スポンサーリンク
その隙間時間、もったいないと思いませんか?

通勤・通学中などの隙間時間は、有効に使えていますか?1日にしたらたった数十分程度の時間でも、塵も積もれば山となって膨大な時間となります。もし1日30分の隙間時間があったとしたら、1年に換算すると182.5時間になります。これだけの時間を有効活用することができたら、非常に大きなアドバンテージとなります。

消費税法一問一答アプリでは、隙間時間を有効活用して消費税の課否判定のトレーニングができるのはもちろん、アプリケーションプログラムを利用して短時間で多くの問題を解くことができるため、紙ベースの問題集よりもはるかに高い効率性で消費税の学習ができます!

おすすめ記事