この記事の内容は、2025年1月現在の最新の税制に対応しています。
以前書いた記事では、年1回の中間申告(六月中間申告)を行っている場合の消費税の中間納付額の合計額から国税と地方税の内訳を計算する方法についてご紹介しました。
今回は、応用編として年11回の中間申告(一月中間申告)を行っている場合と年3回の中間申告(三月中間申告)を行っている場合における中間納付額の合計額から国税と地方税の内訳を計算する方法について解説したいと思います。
年1回の中間申告(六月中間申告)の場合の内訳の計算方法(再掲)
おさらいのために、以前紹介した中間納付額の消費税と地方消費税の内訳の計算方法(年1回の申告=六月中間申告の場合)を再掲します。
詳しくは以下の記事をご覧ください。
税率10%の場合
① 消費税額(国税)の計算
中間納付額全額×78/100+78円(百円未満切捨)
または
中間納付額全額×78/100ー22円(百円未満切上)
② 地方消費税額(地方税)
消費税額(国税)×22/78(百円未満切捨)
税率8%の場合
① 消費税額(国税)の計算
中間納付額全額×63/80+78.75円(百円未満切捨)
または
中間納付額全額×63/80ー21.25円(百円未満切上)
② 地方消費税額(地方税)の計算
消費税額(国税)×17/63(百円未満切捨)
税率5%の場合
① 消費税額(国税)の計算
中間納付額全額×4/5+80円(百円未満切捨)
または
中間納付額全額×4/5ー20円(百円未満切上)
② 地方消費税額(地方税)の計算
消費税額(国税)×1/4(百円未満切捨)
年11回の中間申告(一月中間申告)を行っている場合と年3回の中間申告(三月中間申告)を行っている場合についても、この考え方を基礎として計算します。
年11回の中間申告(一月中間申告)を行っている場合の内訳の計算方法
年11回の中間申告(一月中間申告)を行っている場合の中間納付額の国税と地方税の内訳は、以下のように計算します。
税率10%の場合
⑴ 消費税額(国税)の計算
① 1回あたりの納付額
中間納付額全額÷11×78/100+78円(百円未満切捨)
または
中間納付額全額÷11×78/100ー22円(百円未満切上)
② 年額
上記⑴①×11回
⑵ 地方消費税額(地方税)
① 1回あたりの納付額
上記⑴①×22/78(百円未満切捨)
② 年額
上記⑵①×11回
税率8%の場合
⑴ 消費税額(国税)の計算
① 1回あたりの納付額
中間納付額全額÷11×63/80+78.75円(百円未満切捨)
または
中間納付額全額÷11×63/80ー21.25円(百円未満切上)
⑵ 地方消費税額(地方税)の計算
① 1回あたりの納付額
上記⑴①×63/80(百円未満切捨)
税率5%の場合
⑴ 消費税額(国税)の計算
① 1回あたりの納付額
中間納付額全額÷11×4/5+80円(百円未満切捨)
または
中間納付額全額÷11×4/5ー20円(百円未満切上)
⑵ 地方消費税額(地方税)の計算
① 1回あたりの納付額
上記⑴①×1/4(百円未満切捨)
なお、上記計算式は当課税期間が1年である場合を前提としています。
当課税期間が1年でない場合は、計算式中の青字の部分を当期中の申告回数にして計算してください。(例えば、当課税期間が9か月の場合は一月中間申告による申告回数は8回なので、青字部分を8にして計算します。)
年3回の中間申告(三月中間申告)を行っている場合の内訳の計算方法
年3回の中間申告(三月中間申告)を行っている場合の中間納付額の国税と地方税の内訳は、以下のように計算します。
税率10%の場合
⑴ 消費税額(国税)の計算
① 1回あたりの納付額
中間納付額全額÷3×78/100+78円(百円未満切捨)
または
中間納付額全額÷3×78/100ー22円(百円未満切上)
② 年額
上記⑴①×3回
⑵ 地方消費税額(地方税)
① 1回あたりの納付額
上記⑴①×22/78(百円未満切捨)
② 年額
上記⑵①×3回
税率8%の場合
⑴ 消費税額(国税)の計算
① 1回あたりの納付額
中間納付額全額÷3×63/80+78.75円(百円未満切捨)
または
中間納付額全額÷3×63/80ー21.25円(百円未満切上)
⑵ 地方消費税額(地方税)の計算
① 1回あたりの納付額
上記⑴①×63/80(百円未満切捨)
税率5%の場合
⑴ 消費税額(国税)の計算
① 1回あたりの納付額
中間納付額全額÷3×4/5+80円(百円未満切捨)
または
中間納付額全額÷3×4/5ー20円(百円未満切上)
⑵ 地方消費税額(地方税)の計算
① 1回あたりの納付額
上記⑴①×1/4(百円未満切捨)
なお、上記計算式は当課税期間が1年である場合を前提としています。
当課税期間が1年でない場合は、計算式中の青字の部分を当期中の申告回数にして計算してください。(例えば、当課税期間が9か月の場合は三月中間申告による申告回数は2回なので、青字部分を2にして計算します。)
一月中間申告を行っている場合の数値例
年11回の中間申告(一月中間申告)を行っている場合の中間納付額の国税と地方税の内訳について、具体的な数値をもとに金額を計算してみます。
数値例(税率10%の場合)
中間納付税額の全額:65,810,800円
一月中間申告を行っており、当課税期間は1年である。
⑴ 消費税額(国税)
① 1回あたりの納付額
65,810,800円÷11×78/100+78円=4,666,662円 → 4,666,600円(百円未満切捨)
または
65,810,800円÷11×78/100ー22円=4,666,562円 → 4,666,600円(百円未満切上)
② 年額
4,666,600円×11回=51,332,600円
⑵ 地方消費税額(地方税)
① 1回あたりの納付額
4,666,600円×22/78=1,316,220.512…円 → 1,316,200円(百円未満切捨)
② 年額
1,316,200円×11回=14,478,200円
⑶ 合計
51,332,600円(国税)+14,478,200円(地方税)=65,810,800円
数値例(税率8%の場合)
中間納付税額の全額:65,810,800円
一月中間申告を行っており、当課税期間は1年である。
⑴ 消費税額(国税)
① 1回あたりの納付額
65,810,800円÷11×63/80+78.75円=4,711,533.75円 → 4,711,500円(百円未満切捨)
または
65,810,800円÷11×63/80ー21.25円=4,711,433.75円 → 4,711,500円(百円未満切上)
② 年額
4,711,500円×11回=51,826,500円
⑵ 地方消費税額(地方税)
① 1回あたりの納付額
4,711,500円×17/63=1,271,357.142…円 → 1,271,300円(百円未満切捨)
② 年額
1,271,300円×11回=13,984,300円
⑶ 合計
51,826,500円(国税)+13,984,300円(地方税)=65,810,800円
数値例(税率5%の場合)
中間納付税額の全額:65,810,800円
一月中間申告を行っており、当課税期間は1年である。
⑴ 消費税額(国税)
① 1回あたりの納付額
65,810,800円÷11×4/5+80円=4,786,320円 → 4,786,300円(百円未満切捨)
または
65,810,800円÷11×4/5ー20円=4,786,220円 → 4,786,300円(百円未満切上)
② 年額
4,786,300円×11回=52,649,300円
⑵ 地方消費税額(地方税)
① 1回あたりの納付額
4,786,300円×1/4=1,196,575円 → 1,196,500円(百円未満切捨)
② 年額
1,196,500円×11回=13,161,500円
⑶ 合計
52,649,300円(国税)+13,161,500円(地方税)=65,810,800円
三月中間申告を行っている場合の数値例
年3回の中間申告(三月中間申告)を行っている場合の中間納付額の国税と地方税の内訳について、具体的な数値をもとに金額を計算してみます。
数値例(税率10%の場合)
中間納付税額の全額:4,518,600円
三月中間申告を行っており、当課税期間は1年である。
⑴ 消費税額(国税)
① 1回あたりの納付額
4,518,600円÷3×78/100+78円=1,174,914円 → 1,174,900円(百円未満切捨)
または
4,518,600円÷3×78/100ー22円=1,174,814円 → 1,174,900円(百円未満切上)
② 年額
1,174,900円×3回=3,524,700円
⑵ 地方消費税額(地方税)
① 1回あたりの納付額
1,174,900円×22/78=331,382.051…円 → 331,300円(百円未満切捨)
② 年額
331,300円×3回=993,900円
⑶ 合計
3,524,700円(国税)+993,900円(地方税)=4,518,600円
数値例(税率8%の場合)
中間納付税額の全額:4,518,600円
三月中間申告を行っており、当課税期間は1年である。
⑴ 消費税額(国税)
① 1回あたりの納付額
4,518,600円÷3×63/80+78.75円=1,186,211.25円 → 1,186,200円(百円未満切捨)
または
4,518,600円÷3×63/80ー21.25円=1,186,111.25円 → 1,186,200円(百円未満切上)
② 年額
1,186,200円×3回=3,558,600円
⑵ 地方消費税額(地方税)
① 1回あたりの納付額
1,186,200円×17/63=320,085.714…円 → 320,000円(百円未満切捨)
② 年額
320,000円×3回=960,000円
⑶ 合計
3,558,600円(国税)+960,000円(地方税)=4,518,600円
数値例(税率5%の場合)
中間納付税額の全額:4,518,600円
三月中間申告を行っており、当課税期間は1年である。
⑴ 消費税額(国税)
① 1回あたりの納付額
4,518,600円÷3×4/5+80円=1,205,040円 → 1,205,000円(百円未満切捨)
または
4,518,600円÷3×4/5ー20円=1,204,940円 → 1,205,000円(百円未満切上)
② 年額
1,205,000円×3回=3,615,000円
⑵ 地方消費税額(地方税)
① 1回あたりの納付額
1,205,000円×1/4=301,250円 → 301,200円(百円未満切捨)
② 年額
301,200円×3回=903,600円
⑶ 合計
3,615,000円(国税)+903,600円(地方税)=4,518,600円
計算式に矛盾が起きる場合
中間納付額の金額によっては、この計算式で計算した結果、消費税額と地方消費税額の合計が中間納付額と一致しない、または、消費税額の金額が一意に定まらないなどの矛盾が起きることがあります。
「計算式が間違っているのでは?」と思うかもしれませんが、そうではありません。
それは、前提となるその中間納付額の金額そのものが誤っているからです。
この計算式が間違っているからではありません。
詳しくは、以下の記事をご覧ください。