消費税の確定申告を行う際に、中間納付額の合計額はわかるけど、国税(消費税)と地方税(地方消費税)の内訳がわからなくなってしまったことはないでしょうか?
中間納付税額の内訳は、税務署から送付される「消費税及び地方消費税の確定申告書」又は「『確定申告のお知らせ』はがき」を見れば、消費税と地方消費税それぞれの金額がすぐにわかります。
しかし、これらの書類が手元にない場合や、会計ソフトの記録や納付書の控えしかなく、中間納付額の合計額しかわからない場合でも、その合計額から国税(消費税額=中間納付税額)と地方税(地方消費税額=中間納付譲渡割額)の金額の内訳を計算することができます。
今回は、消費税及び地方消費税の中間納付額の合計額はわかるけどその内訳がわからない場合に、国税(消費税)と地方税(地方消費税)の内訳を計算する方法についてご説明します。
消費税と地方消費税の中間納付額の内訳の計算方法
結論から先に書きます。中間納付税額の消費税及び地方消費税の内訳は、以下のように計算します。
消費税額(国税)は2パターンの計算方法を記載していますが、どちらの方法で計算しても必ず同じ金額になるため、どちらで計算してもかまいません。
(軽減税率8%を含む場合も、下記の「税率10%の場合」の方法で計算します。)
上記の計算方法は六月中間申告(年1回申告)を行っている場合の計算方法になります。
年11回の中間申告(一月中間申告)を行っている場合と年3回の中間申告(三月中間申告)を行っている場合の国税と地方税の内訳の計算方法については以下の記事で解説しています。
なお、これらの計算方法は僕が独自に考えたものになります。
計算式の導出方法が気になる方は、下記の記事をご覧ください。
また、中間納付額の金額によっては、この計算式で計算した結果、消費税額と地方消費税額の合計が中間納付額と一致しない、または、消費税額の金額が一意に定まらないなどの矛盾が起きることがあります。
「計算式が間違っているのでは?」と思うかもしれませんが、そうではありません。
それは、前提となるその中間納付額の金額そのものが誤っているからです。
この計算式が間違っているからではありません。
詳しくは、以下の記事をご覧ください。
数値例
具体的な数値をもとに金額を計算してみます。
(参考)国税が3,900の倍数の金額のときは注意(税率10%の場合)
税率10%の場合において、国税である消費税額の金額が3,900の倍数であるときは、地方消費税額の計算方法に注意が必要です。
「22/78」を分数のまま掛けるか、少数(22/78=0.282051…)にしてから掛けるかで地方消費税額の計算結果が異なってきます。
この点については、詳しくは次の記事をご覧ください。
国税庁の「よくある質問」における計算方法は不正確
国税庁のHPに、中間納付税額と中間納付譲渡割額の内訳が分からない場合の計算方法として以下のような記載がありますが、この方法では計算を誤る可能性があります。
中間納付した金額の合計をあん分して入力してください。
あん分に際しては、中間納付税額が63/80、中間納付譲渡割額が17/80として計算してください。
なお、計算結果に100円未満の端数が出る場合は、それぞれの合計が中間納付した金額となるよう調整してください。
(例)
中間納付の全額:692,100円
中間納付税額:692,100×63/80=545,028.75→545,100円
中間納付譲渡割額:692,100×17/80=147,071.25円→147,000円
そもそも、中間納付譲渡割額は国税の消費税の中間納付額をもとに計算するため、計算式自体が正確なものではありません。
また、100円未満の端数の取扱いの指示が曖昧で、納税者の解釈次第で金額が変わってくる可能性があります。
たかが国税と地方税に分けるだけのことかもしれませんが、両者の関係は意外と複雑です。
天下の国税庁がこんなお粗末な計算方法を紹介しているというのは、いち税理士として看過できなかったため、自分で消費税と地方消費税の内訳の計算方法を導出しました。
計算式の導出方法については、詳しくは以下の記事をご覧ください。