原則課税方式により消費税の申告を行っている場合、仕入税額控除を受けるためには帳簿及び請求書等の保存が必要となります。

仕入先から請求書等を受け取っていない場合でも、自ら作成した仕入明細書を保存しているときは、仕入税額控除の適用を受けることができるということをご存知でしょうか?

今回は、仕入明細書を請求書等として保存している場合の仕入税額控除の要件について解説したいと思います。

 

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仕入税額控除を受けるためには帳簿及び請求書等の保存が必要

仕入税額控除を受けるためには、課税仕入れの事実を記録した帳簿及び課税仕入れの事実を証明するための請求書等が必要になります。

7 第一項の規定は、事業者が当該課税期間の課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿及び請求書等(同項に規定する課税仕入れに係る支払対価の額の合計額が少額である場合、特定課税仕入れに係るものである場合その他の政令で定める場合における当該課税仕入れ等の税額については、帳簿)を保存しない場合には、当該保存がない課税仕入れ、特定課税仕入れ又は課税貨物に係る課税仕入れ等の税額については、適用しない。ただし、災害その他やむを得ない事情により、当該保存をすることができなかったことを当該事業者において証明した場合は、この限りでない。

仕入税額控除の適用を受けるために保存すべき「請求書等」には、次の3種類があります。

① 課税資産の譲渡等を行う事業者が交付する請求書等
② 事業者自らが作成する仕入明細書、仕入計算書等
③ 保税地域からの課税貨物の引き取りに係る輸入許可書

国内における課税仕入れについて仕入税額控除を受けるためには、上記①又は②の保存が必要になります。

これは令和元年10月1日から導入された区分記載請求書等保存方式においても同じです。

「① 課税資産の譲渡等を行う事業者が交付する請求書等」とは相手方から交付を受ける請求書や領収書などが該当します。

以下、「② 事業者自らが作成する仕入明細書、仕入計算書等」を保存することにより仕入れ税額控除を受けるための要件について解説します。

 

事業者自らが作成する仕入明細書、仕入計算書等に係る記載事項

事業者が、国内において行なった課税仕入れについて、上記②の自ら作成した仕入明細書、仕入計算書等を保存することにより仕入税額控除の適用を受ける場合には、次の事項が記載しなければなりません。

イ 書類の作成者の氏名又は名称
ロ 課税仕入れの相手方の氏名又は名称
ハ 課税仕入れを行った年月日(課税期間の範囲内で一定の期間内に行った課税仕入れにつきまとめて当該書類を作成する場合には、当該一定の期間)
ニ 課税仕入れに係る資産又は役務の内容(軽減対象資産の課税仕入れである場合には、その旨)
ホ 第一項に規定する課税仕入れに係る支払対価の額(税込金額)

なお、これらの記載事項については、その課税仕入れの相手方の確認を受けたものでなければなりません。

課税仕入れの相手方の確認を受ける方法については、消費税法基本通達11-6-5に次のような記載があります。

(課税仕入れの相手方の確認を受ける方法)
法第30条第9項第2号《請求書等の範囲》に規定する「課税仕入れの相手方の確認を受けたもの」とは、保存する仕入明細書等に課税仕入れの相手方の確認の事実が明らかにされているもののほか、例えば、次のものがこれに該当する。

(1) 仕入明細書等への記載内容を通信回線等を通じて課税仕入れの相手方の端末機に出力し、確認の通信を受けた上で自己の端末機から出力したもの

(2) 仕入明細書等の写し等を課税仕入れの相手方に交付した後、一定期間内に誤りのある旨の連絡がない場合には記載内容のとおり確認があったものとする基本契約等を締結した場合における当該一定期間を経たもの

金又は白金の課税仕入れについては本人確認書類の保存も必要

令和元年10月1日から、金又は白金の地金の課税仕入れを行った場合には、その課税仕入れの相手方の住民票の写しなどの本人確認書類の保存が必要となります。

国外から金を密輸することにより不法に消費税の還付を受ける手口が横行したため、平成31年度税制改正によりこのような規定が設けられました。

金の密輸による消費税還付の手口について詳しく知りたい方は、次の記事をご覧ください。

また、金又は白金の課税仕入れについて仕入税額控除を受けるための適用要件については、次の記事で詳しく解説しています。

 

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帳簿及び請求書等の保存期間

仕入税額控除を受けるための帳簿及び請求書等は、これを整理し、帳簿については決算日から7年間、請求書等については確定申告期限の翌日から7年間保存する必要があります。

ただし、6年目及び7年目については、課税仕入れ等の事実が帳簿及び請求書等の両方に記録されていれば、いずれか一方を保存することで足ります。また、最後の2年間は一定の要件を満たすマイクロフィルムにより保存することもできます。なお、マイクロフィルムによる保存を行う場合には、一定の基準を満たすマイクロフィルムリーダ又はマイクロフィルムリーダプリンタを設置する必要があります。

また、帳簿及び請求書等は単に物理的に「保存」しておくだけでなく、税務調査が入った際には適時に「提示」できるように整理しておく必要があります。ちゃんと保存していたとしても税務調査の際にどこにしまってあるかわからなかったり、正当な理由なく提示することを拒んだ場合には、仕入税額控除が認められない可能性があるので注意しましょう。

この点について詳しく知りたい方は次の記事をご覧ください。

 

請求書等の保存が不要な場合

次の①又は②に該当する場合には、法定事項を記載した帳簿を保存していれば、区分記載請求書等の保存がなくても、適用要件を満たしているものとして仕入税額控除の適用を受けることができます。

① 課税仕入れが3万円未満である場合
② 1回の取引が3万円以上であるが請求書等の交付を受けなかったことにつきやむを得ない理由がある場合

① 課税仕入れが3万円未満である場合とは

一回の取引の課税仕入れに係る税込みの金額が3万円未満である場合は、請求書等の保存がなくても法定事項が記載された帳簿を保存している場合には、 仕入税額控除を受けることができます。

ただし、適格請求書等保存方式(インボイス制度)が導入される令和5年(2023年)10月1日からは、自販機から商品を購入する場合や公共交通機関による旅客の運送を除き、支払対価の額が3万円未満の場合に請求書等の保存がなくても仕入税額控除ができる規定は廃止されます。

② 1回の取引が3万円以上であるが請求書等の交付を受けなかったことにつきやむを得ない理由がある場合とは

「請求書等の交付を受けなかったことにつきやむを得ない理由がある場合」とは、次のような場合をいいます。

やむを得ない理由
(1) 自動販売機を利用して課税仕入れを行った場合
(2) 入場券、乗車券、搭乗券等のように課税仕入れに係る証明書類が資産の譲渡等を受ける時に資産の譲渡等を行う者により回収されることとなっている場合
(3) 課税仕入れを行った者が課税仕入れの相手方に請求書等の交付を請求したが、交付を受けられなかった場合
(4) 課税仕入れを行った場合において、その課税仕入れを行った課税期間の末日までにその支払対価の額が確定していない場合
 なお、この場合には、その後支払対価の額が確定した時に課税仕入れの相手方から請求書等の交付を受け保存するものとする。
(5) その他、これらに準ずる理由により請求書等の交付を受けられなかった場合

なお、請求書等の交付を受けなかったことについてやむを得ない理由があるときに該当する場合に仕入税額控除を受けるためには、その「やむを得ない理由」及び「課税仕入れの相手方の住所又は所在地」を帳簿に記載する必要があります。

ただし、次の者からの課税仕入れについては、相手方の住所又は所在地の記載は不要です。

相手方の住所又は所在地の記載が不要な場合
① 電車などの旅客輸送に係る一般乗合旅客自動車運送事業者又は航空運送事業者
② 郵便役務の提供を受けた場合の郵便局など
③ 出張旅費等を支払った場合のその出張旅費等を受領した使用人など
④ 再生資源卸売業者等がが不特定かつ多数の者から課税仕入れを行った場合の相手方

 

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問題番号 タイトル
583 請求書の保存のない商品の仕入代金
634 請求書のない自販機で購入した3万円未満のお茶の代金
1032 請求書の交付を受けられなかったトラックの購入代金

 

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