通販は送料込みの方がお得になる!配送料の消費税の取扱いについて

この記事の内容は、2025年1月現在の最新の税制に対応しています。

Amazonや楽天などのネット通販サイトで商品を購入した場合には、配送料を支払うこととなります。

実は、飲食料品などの軽減税率の対象となる商品を買う場合は、商品代金に配送料が含まれているときの方が、配送料別の場合よりもお得になるということをご存知でしょうか?

今回は、配送料に関する消費税の取扱いについて解説したいと思います。

 

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Amazonや楽天などの配送料には原則として消費税がかかる

消費税は、次の4要件を満たす取引が課税の対象となります。

課税の対象の4要件
① 国内において行うものであること
② 事業者が事業として行うものであること
③ 対価を得て行うものであること
④ 資産の譲渡・貸付け、役務の提供であること

「④ 資産の譲渡・貸付け、役務の提供であること」の「資産の譲渡・貸付け」とは商品などを販売したりレンタルさせること、「役務の提供」とはサービスを提供することをいいます。

荷物の配送は「役務の提供」に該当し、配送業者が事業として対価を得て行うものであるため、国内において宅配便を利用した時の配送料には消費税が課されることとなります。

したがって、Amazonや楽天などのネット通販で商品を購入した場合の配送料には消費税がかかります。

 

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軽減税率の対象となる商品に係る送料

飲食料品などの軽減税率8%の対象となる商品を購入した場合の送料については、消費税は何パーセントになるのでしょうか?

この点については、国税庁が公表している「消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)」の問39において、次のように記載されています。

(飲食料品の譲渡に要する送料)
問39飲食料品の譲渡に要する送料については、軽減税率の適用対象となりますか。
【答】
飲食料品の譲渡に要する送料は、飲食料品の譲渡の対価ではありませんので、軽減税率の適用対象となりません。
なお、例えば、「送料込み商品」の販売など、別途送料を求めない場合、その商品が「飲食料品」に該当するのであれば、軽減税率の適用対象となります(改正法附則34①一)。

つまり、飲食料品などの軽減税率の対象となる資産を買った場合の送料は、送料が商品代金とは区分されて別途請求される場合(=送料別の場合)は消費税10%(標準税率)、送料が商品代金に含まれている場合(=送料込みの場合)は消費税8%(軽減税率)が課されるということになります。

飲食料品などの軽減税率対象資産を買った場合の送料
・送料別 → 消費税10%(標準税率)
・送料込み → 消費税8%(軽減税率)

例えば、本体価格2,000円のお菓子を買い、お菓子の配送料として税抜300円がかかったとします。

お菓子と配送料の本体価格

送料別の場合

通販サイトの販売ページに、商品の販売価格と配送料が区分して記載されている場合は配送料には消費税10%がかかるため、本体価格と配送料はそれぞれ次のように計算されます。

お菓子の販売価格:2,000円(税抜本体価格)+2,000円×8%(消費税)=2,160円

配送料:300円(税抜本体価格)+300円×10%(消費税)=330円

合計:2,160円+330円=2,490円

この場合の通販サイトの販売ページの価格表記は、次のイラストのようになります。

送料別の場合の通販サイトの価格表記

送料込みの場合

通販サイトの販売ページに、送料の記載がなく商品の販売価格に送料が含まれている場合は、その全体が軽減税率の対象となる「飲食料品の譲渡」に該当するものとして、送料についても消費税8%(軽減税率)が適用されます。

この場合の商品の送料込みの販売価格は次のようになります。

商品の販売価格:2,000円+300円+(2,000円+300円)×8%(消費税)=2,484円

また、通販サイトの販売ページの価格表記は、次のイラストのようになります。

送料込みの場合の通販サイトの価格表記

送料込みの場合の方がお得になる

飲食料品などの軽減税率の適用対象となる商品については、送料込みの場合の方が、送料×消費税2%分お得になります。

上述の例では、お得になる金額は6円であり、節約になる金額としてはわずかですが、ちりも積もれば山となるでしょう。

 

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非課税となる商品に係る配送料

車椅子などの新身体障害者用物品や教科用図書などの消費税が非課税とされる商品を購入した場合にかかる配送料についても、上記の軽減税率の適用対象となる商品を購入する場合と同様に、原則として配送料については消費税10%の課税対象となりますが、別途送料を求めない場合はその全体が非課税とされます。

 

事業者が顧客から収受する配送料を「預り金」として処理している場合は不課税

事業者が顧客から収受する配送料を「預り金」として処理している場合は、その配送料の収受については消費税の課税対象外(不課税取引)となります。

この点については、詳しく知りたい方は次の記事をご覧ください。

なお、これは一般消費者の方には関係ない話になります。一般消費者の方が商品を購入し、その商品の配達サービスを受けた場合は、事業者の経理処理方法の如何に関わらず送料について消費税を払う必要があることに注意しましょう。

 

まとめ

飲食料品などの軽減税率の適用対象となる商品にかかる配送料については、送料込みの場合は消費税8%(軽減税率)となり、送料別の場合は消費税10%(標準税率)となります。

国際輸送にかかる配送料については消費税はかかりません。

事業者が顧客から収受する配送料を「預り金」として処理している場合は不課税取引となりますが、商品を購入した顧客にとっては不課税取引とはなりません。

 

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