同業者団体・組合などに加入している場合やクレジットカード・ゴルフクラブ・フィットネスクラブなどに加入している場合は、会費や入会金を支払うことがあるかと思います。
会費や入会金については、消費税が課税されるものと課税されないものとがあるため、判断に迷ってしまうことが多いのではないでしょうか?
そこで、今回は、会費や入会金が消費税の課税対象となるかどうかの考え方について解説します。
課税の対象の4要件
消費税は、次の4要件を満たす取引が課税の対象となります。
同業者団体や組合などに対する会費や入会金の支払いは、上記①、②、④の要件は満たすため、課税の対象となるかどうかは「③対価を得て行うものであること」の要件を満たすかどうかがポイントとなります。
会費や入会金が課税対象となるかどうかの考え方
国税庁が公表しているタックスアンサーNo.6467『会費や入会金の仕入税額控除』において会費や入会金の消費税の取扱いについて記載されているため、少し長文ですが引用します。
同業者団体や組合などに支払う会費や組合費などが課税仕入れになるかどうかは、その団体から受ける役務の提供などと支払う会費などとの間に明らかな対価関係があるかどうかによって判定します。
したがって、セミナーや講座などの会費は、講義や講演の役務の提供などの対価ですから課税仕入れとなり、仕入税額控除の対象になります。
対価性があるかどうかの判定が困難なものについては、その会費などを支払う事業者とその会費などを受ける同業者団体や組合などの双方が、その会費などを役務の提供や資産の譲渡等の対価に当たらないものとして継続して処理している場合はその処理が認められます。なお、この場合には、同業者団体や組合などは、その旨をその構成員に通知するものとされています。
また、その団体の業務運営に必要な通常会費については、一般的には対価関係がありませんので、同業者団体や組合などは資産の譲渡等の対価に当たらないものとして取り扱って差し支えないこととされており、この場合には、その構成員においてはその通常会費は課税仕入れとならず、仕入税額控除の対象になりません。
さらに、同業者団体や組合などに支払う入会金も、役務の提供などとの間に明らかな対価関係があるかどうかによって判定します。
したがって、ゴルフクラブ、宿泊施設、体育施設、遊戯施設その他のレジャー施設を利用するための会員となる入会金は、役務の提供などとの間に明らかな対価関係がありますから、課税仕入れになります。
なお、この場合の入会金は、脱退などに際し返還されないものに限られます。
上記の説明をフローチャートにしてまとめると、次のようになります。
退会時に返還されるものか
退会時に返還される入会金等については、単に退会時までお金を預かっているだけに過ぎないため、課税の対象の4要件のうち「③対価を得て行うものであること」の要件を満たさないため、消費税の課税対象外取引(不課税取引)となります。
明白な対価性があるか
会費や入会金が、実質的にセミナーや講座、研修などの受講料であると認められる場合や業界紙の購読料と認められる場合は、課税の対象の4要件のうち「③対価を得て行うものであること」の要件を満たすため、消費税の課税対象取引となります。
なお、会費や入会金が実質的に業界紙の購読料であると認められる場合で、その業界誌が週2回以上発行され、定期購読契約に基づいて配送されるものであるときは、軽減税率の適用対象取引となります。
会費や入会金が、その団体の業務運営に必要な通常会費である場合は、一般的に対価性がないため消費税の課税対象外取引(不課税取引)となります。
対価性の判断が困難な場合
対価性があるかどうか判断が困難な場合は、その同業者団体や組合がその会費や入会金が資産の譲渡等の対価に該当しない旨を通知している場合は、継続適用を条件に消費税の課税対象外取引(不課税取引)として処理することが認められています。
例えば、JAF(一般社団法人日本自動車連盟)の年会費については、JAFがホームページで会費や入会金に消費税はかからない旨を記載して構成員に通知しているため、不課税となります。
JAFの年会費の取扱いに関して詳しく知りたい方は、次の記事をご覧ください。
課税対象となる会費や入会金
次のような会費や入会金については、消費税の課税対象取引となります。
課税対象外となる会費や入会金
次のような会費や入会金については、消費税の課税対象外取引(不課税取引)となります。
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組合員に賦課される一般賦課金に係る消費税の取扱いについては、詳しくは次の記事で解説しています。
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