以前書いた記事では、資産の譲渡等の時期についての原則的な取扱いと特殊な方式で資産の譲渡等が行われた場合の取扱いについて解説しました。

今回は、資産の譲渡等の時期の特例についてのまとめを掲載します。

 

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リース譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例

リース譲渡(所得税法第65条第1項又は法人税法第63条第1項に規定するリース譲渡に該当する資産の譲渡等をいう。)を行った場合は、原則として、そのリース 譲渡を行った日が資産の譲渡等の日となりますが、リース 譲渡を行った事業者が、所得税法第65条第1項又は法人税法第63条第1項の規定の適用を受けるためそのリース譲渡の対価の額について延払基準の方法により経理することとしているときは、そのリース譲渡の賦払金の額でそのリース譲渡をした日の属する課税期間にその支払の期日が到来しないもの(その課税期間に支払を受けたものを除く。)は、その課税期間に資産の譲渡等を行わなかったものとみなして、その課税期間におけるそのリース譲渡に係る対価の額から控除することができます。

控除した残額は、延払基準の方法による経理が継続される限り、賦払金の支払期日が到来する各課税期間(その課税期間前に既に支払を受けたものはその課税期間前の各課税期間、また、翌各課税期間以後に支払期日が到来するものでその課税期間中に支払を受けたものはその課税期間)において資産の譲渡等が行われたものとみなされます。

契約の変更があった場合の取扱い

消費税法第16条第1項《リース譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例》の規定によりその賦払金の額に係る資産の譲渡等の時期につき特例を適用しているリース譲渡についてその後契約の変更があり、賦払金の支払期日又は各支払期日ごとの賦払金の額が異動した場合には、その変更後の支払期日及び各支払期日ごとの賦払金の額に基づいて同項に規定するその賦払金の額に係る資産の譲渡等の時期の特例の計算を行います。ただし、その変更前に既に支払期日の到来した賦払金の額については、この限りではありません。

対価の額に異動があった場合の調整

消費税法第16条第1項《リース譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例》の規定によりその賦払金の額に係る資産の譲渡等の時期につき特例を適用しているリース譲渡に係る対価の額につきその後値増し、値引等があったため当該リース譲渡に係る賦払金の額に異動が生じた場合には、その異動を生じた日の属する課税期間(以下「異動課税期間」という。)以後の各課税期間における当該賦払金の額に係る延払基準の方法の適用については、その異動後の賦払金の額(異動課税期間前の各課税期間において資産の譲渡等が行われた部分の金額を除く。)及び異動課税期間開始の日以後に受けるべき賦払金の額の合計額を基礎としてその賦払金の額に係る資産の譲渡等の時期の特例の計算を行うものとします。ただし、事業者がその値増し、値引等に係る金額をこれらの事実の生じた日の属する課税期間において行った資産の譲渡等に係るものとしているときは、これを認めることとされています。

消費税法施行令第36条の2第1項又は第2項《リース譲渡の特例計算の方法により経理した場合のリース譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例》の規定の適用についても同様に取り扱います。

資産を下取りした場合の対価の額

事業者がリース譲渡を行うに当たり、頭金等として相手方の有する資産を下取りした場合において、当該資産の価額をその下取りをした時における価額を超える価額としているときは、その超える部分の金額については、当該下取りをした資産の譲受けに係る支払対価の額に含めないものとし、そのリース譲渡をした資産につき、値引きをしたものとして取り扱います。

なお、下取りに係る資産を有していた事業者におけるその下取りに係る資産の譲渡に係る対価の額は、当該頭金等とされた金額となります。

支払期日前に受領した手形

リース譲渡に係る賦払金のうち当該課税期間において支払期日が到来しないものについて事業者が手形を受領した場合には、その受領した手形の金額は、消費税法第16条第1項括弧書《リース譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例》に規定する当該課税期間において支払を受けたものには含まれません。

債務不履行に伴うリース譲渡に係る資産の取戻し

事業者がリース譲渡をした後において、相手方の代金の支払遅延等の理由により契約を解除し、リース期間の中途において当該リース譲渡をした資産を取り戻した場合には、その取戻しは、その取戻しをした時における当該資産の価額を支払対価とする課税仕入れを行ったことになります。

この場合、その相手方は、当該資産につき代物弁済による資産の譲渡を行ったことになります。

リース期間の終了に伴い返還を受けた資産

リース期間の終了に伴い賃貸人が賃借人からそのリース取引の目的物であった資産の返還を受けた場合における当該資産の返還は、資産の譲渡等に該当しません。

なお、この場合において、当該資産に係るリース契約の残価保証額の定めに基づき賃貸人が賃借人から収受する金銭は、その収受すべき金額が確定した日の属する課税期間における資産の譲渡等の対価の額に加算するものとされます。

残価保証額とは、リース期間終了の時にリース資産の処分価額がリース取引に係る契約において定められている保証額に満たない場合にその満たない部分の金額を当該リース取引に係る賃借人がその賃貸人に支払うこととされている場合における当該保証額をいいます。

 

長期割賦販売等に係る資産の譲渡等の時期の特例の経過措置

法人税法において長期割賦販売等に係る延払基準が廃止されたことに伴い、消費税の取り扱いも改正され、経過措置が設けられることとなりました。

平成30年4月1日前に長期割賦販売等(リース譲渡を除く。)を行った事業者について、個人事業者にあっては令和5年12月31日までに開始する年、法人にあっては令和5年3月31日までに開始する事業年度に含まれる各課税期間について現行の規定により資産の譲渡等を行ったものとみなすこと等ができることとするとともに、平成30年4月1日以後に終了する年又は事業年度にその適用を受けないこととした場合等において、所得税又は法人税における10年均等で計上される収入金額又は収益の額に係る部分について資産の譲渡等を行ったものとみなすことができます。

 

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工事の請負に係る資産の譲渡等の時期の特例

長期大規模工事(所得税法第66条第1項又は法人税法第64条第1項に規定する長期大規模工事をいう。)の請負に係る契約に基づき資産の譲渡等を行った事業者は、その長期大規模工事の目的物のうち所得税法第66条第1項又は法人税法第64条第1項規定する工事進行基準の方法により計算した収入金額又は収益の額に係る部分については、その収入金額が総収入金額に算入されたそれぞれの年の12月31日の属する課税期間又はその収益の額が益金の額に算入されたそれぞれの事業年度終了の日の属する課税期間に、資産の譲渡等を行ったものとすることができます。

また、工事(所得税法第66条第2項又は法人税法第64条第2項規定する工事をいう。)の請負に係る契約に基づき資産の譲渡等を行った事業者は、その工事の請負に係る対価の額について工事進行基準の方法により経理することとしているときは、その工事の目的物のうち工事進行基準の方法により計算した収入金額又は収益の額に係る部分については、その収入金額が総収入金額に算入されたそれぞれの年の12月31日の属する課税期間又はその収益の額が益金の額に算入されたそれぞれの事業年度終了の日の属する課税期間に、資産の譲渡等を行ったものとすることができます。

長期大規模工事又は工事の目的物の引渡しを行った場合は、特例の適用があった対価の額の合計額を、長期大規模工事又は工事の請負に係る対価の額から控除します。

相続人又は合併法人が特定工事の目的物の引渡しを行った場合

なお、特例の適用を受けている個人事業者が死亡した場合又は特例の適用を受けている法人が合併により消滅した場合において、その事業を承継した相続人又は合併法人が特定工事(長期大規模工事又は工事)の目的物の引渡しを行ったときは、その特定工事の請負に係る資産の譲渡等のうちその個人事業者又は法人が資産の譲渡等を行ったものとされた部分については、その相続人又は法人が資産の譲渡等を行ったものとみなして、その長期大規模工事又は工事の請負に係る対価の額から控除します。

損失が見込まれる場合の工事進行基準の適用

所得税法基本通達66-9《損失が見込まれる場合の工事進行基準の適用》又は法人税法基本通達2-4-19《損失が見込まれる場合の工事進行基準の適用》により所得税法第66条第2項《工事の請負に係る収入及び費用の帰属時期》又は法人税法第64条第2項《工事の請負に係る収益及び費用の帰属事業年度》に定める「工事進行基準の方法により経理したとき」に該当しないとは取り扱わない工事については、消費税法第17条第2項本文《工事の請負に係る資産の譲渡等の時期の特例》の規定を適用することができます。

 

小規模事業者に係る資産の譲渡等の時期等の特例の適用関係

所得税につき現金主義の適用を受ける個人事業者の資産の譲渡等及び課税仕入れを行った時期は、その資産の譲渡等に係る対価の額を収入した日及びその課税仕入れに係る費用の額を支出した日とすることができます。

適用を受けないこととした場合

この特例の適用を受ける個人事業者がその適用を受けないこととした場合には、売掛金等、買掛金等、前受金、前払金について、この特例の適用を受けないこととなった課税期間の初日の前日とその適用を受けることとなった課税期間の初日の前日における合計額の差額に相当する額の資産の譲渡等、課税仕入れ又は特定課税仕入れが行われたものとみなされます。

手形又は小切手取引に係る資産の譲渡等及び課税仕入れの時期

消費税法第18条第1項《小規模事業者に係る資産の譲渡等の時期等の特例》の規定の適用を受けている小規模事業者が資産の譲渡等に係る対価の額及び課税仕入れに係る支払対価の額を手形又は小切手で受取り又は支払った場合における当該資産の譲渡等及び課税仕入れを行った時期は、次に掲げる区分に応じ、次によります。

(1) 手形取引
 イ 受取手形にあっては、その手形の支払を受けたものについてはその支払を受けた時にその金額を対価とする資産の譲渡等を行ったものとし、割引したものについてはその割引した時にその手形金額を対価とする資産の譲渡等を行ったものとする。この場合において、当該割引した手形の不渡りにより、その割引に係る対価をそ求に応じて支払ったときは、その支払った時の属する課税期間の資産の譲渡等の対価の額からその支払った金額に相当する金額を減額する。
 ロ 支払手形にあっては、その手形の支払をした時にその金額に係る課税仕入れを行ったものとする。
(2) 小切手取引 
 小切手取引にあっては、その受取り又は振出しの時にその小切手金額に係る資産の譲渡等又は課税仕入れを行ったものとする。この場合において、その小切手が不渡りとなったときは、その不渡りとなった時の属する課税期間の資産の譲渡等の対価の額又は課税仕入れに係る支払対価の額からその小切手金額に相当する金額を減額する。

 

国、地方公共団体等の特例

国又は地方公共団体が行った資産の譲渡等の時期については、その資産の譲渡等の対価を収納すべき会計年度の末日に行われたものとすることができます。

また、公共法人、公益法人等のうち、定款等に定める会計処理の方法が国又は地方公共団体における方法に準じているものとして税務署長の承認を受けた法人も、承認があった課税期間以後については同様に取扱います。

 

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