売掛金や買掛金、前払金、前受金、未払金、未収金の消費税の取引区分

この記事の内容は、2025年1月現在の最新の税制に対応しています。

商売をしていると、商品等の資産を引き渡すタイミングと代金を受け取るタイミングが一致しないことがよくあります。

今回は、商品等の引き渡しのタイミングと代金の授受のタイミングが一致していない場合(先払い又は後払いとなる場合)の消費税の取引区分の考え方について解説します。

 

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先払いや後払いの際に用いる勘定科目

商品代金を後で受け取ったり、支払ったりする取引を掛け取引といい、「売掛金」「買掛金」を用います。

一方、商品代金を先に受け取ったり、支払ったりする場合は「前受金」「前払金」(又は「前渡金」)を用います。

なお、備品や土地、建物などの商品以外のものの代金を後で受け取ったり、支払ったりする場合は「未収金」(又は「未収入金」)や「未払金」を用います。

 

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資産の譲渡等を行った日は「引渡しの日」

消費税法上、棚卸資産の引渡しに係る売上げは、「資産の譲渡等を行った日」の属する課税期間において計上します。

棚卸資産の引渡しに係る「資産の譲渡等を行った日」については、消費税法基本通達9-1-1において次のように規定されています。

(棚卸資産の譲渡の時期)
棚卸資産の譲渡を行った日は、その引渡しのあった日とする。

つまり、商品が実際に引き渡されたときにはじめて課税売上げまたは課税仕入れを計上することになります。

また、備品や土地、建物などの固定資産の譲渡の時期は、消費税法基本通達9-1-13において次のように規定されています。

(固定資産の譲渡の時期)
固定資産の譲渡の時期は、別に定めるものを除き、その引渡しがあった日とする。(後略)

固定資産についても、原則としてその「引渡しの日」が資産の譲渡等の時期とされているため、備品や土地、建物などが実際に引き渡されたときにはじめて課税売上げまたは課税仕入れを計上することになります。

 

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「売掛金」についての消費税の取扱い

売掛金計上時の仕訳

売掛金は、販売者が商品を先に引き渡して、購入者から後日代金の支払いを受ける場合に計上する勘定科目です。

つまり、売掛金計上時点で商品の「引渡し」が行われているため、この時点で課税売上げを計上することになります。

数値例
当社は得意先A社に商品を10,000円で販売し、代金は後日受け取ることとした。

売掛金計上時の仕訳

掛代金回収時の仕訳

掛代金を回収した時点では、すでに商品の引渡しが行われた後であるため、課税売上げは計上されず、不課税取引となります。

数値例
得意先A社に対する売掛金10,000円が決済され、当社の当座預金口座に振り込みを受けた。

掛代金回収時の仕訳

 

「買掛金」についての消費税の取扱い

買掛金計上時の仕訳

買掛金は、購入者が商品を先に受け取って、後日代金を支払う場合に計上する勘定科目です。

つまり、買掛金計上時点で商品の「引渡し」が行われているため、この時点で課税仕入れを計上することになります。

数値例
当社は仕入先B社から商品を8,000円で購入し、代金は後日支払うこととした。

買掛金計上時の仕訳

掛代金支払時の仕訳

掛代金を支払った時点では、すでに商品の引渡しが行われた後であるため、課税仕入れは計上されず、不課税取引となります。

数値例
仕入先B社に対する買掛金10,000円を決済し、当社の当座預金口座からB社の当座預金口座に振り込んだ。

掛代金決済時の仕訳

 

「前受金」についての消費税の取扱い

前受金計上時の仕訳

前受金は、販売者が商品の引き渡しに先立って、購入者から手付金を受け取った場合に計上する勘定科目です。

この場合、前受金を計上した時点では商品の「引渡し」は行われていないため、この時点では課税売上げは計上しません。

数値例
当社は得意先C社に対する商品10,000円の販売に先立ち、手付金 6,000円を受け取った。

前受金計上時の仕訳

商品引渡時の仕訳

消費税法上、商品を引き渡した時点で課税売上げを計上します。

数値例
得意先C社に商品10,000円を販売した。なお、代金のうち、手付金6,000円はすでに受け取っているため、残額4,000円を現金で受け取った。

商品引渡時の仕訳

「前払金」 (または「前渡金」)についての消費税の取扱い

前払金計上時の仕訳

前払金は、購入者が商品の受け取りに先立って、販売者に手付金を支払った場合に計上する勘定科目です。

この場合、前払金を計上した時点では商品の「引渡し」は行われていないため、この時点では課税仕入れは計上しません。

数値例
当社は仕入先D社からの商品 8,000円の仕入れに先立ち、手付金 5,000円を支払った。

前払金計上時の仕訳

商品引取時の仕訳

消費税法上、商品を引き渡した時点で課税仕入れを計上します。

数値例
得意先D社に商品10,000円を販売した。なお、代金のうち、手付金6,000円はすでに受け取っているため、残額4,000円を現金で受け取った。

商品引取時の仕訳

 

「未収金」 (または「未収入金」)についての消費税の取扱い

未収金計上時の仕訳

未収金は、販売者が備品や土地、建物も売却などの営業取引以外の取引により資産を売却した場合などに、購入者から後日代金の支払いを受ける場合に計上する勘定科目です。

つまり、未収計上時点で商品の「引渡し」が行われているため、この時点で課税売上げを計上することになります。

数値例
当社は取引先E社に車両(帳簿価額600,000円)を1,000,000円で売却することとし、車両は先に引き渡し、代金は後日受け取ることとした。

未収金計上時の仕訳

未収金回収時の仕訳

掛代金を回収した時点では、すでに商品の引渡しが行われた後であるため、課税売上げは計上されず、不課税取引となります。

数値例
取引先E社に対する未収金1,000,000円が、当社の当座預金口座に振り込まれた。

未収金回収時の仕訳

 

「未払金」についての消費税の取扱い

未払金計上時の仕訳

未払金は、購入者が備品や土地、建物の購入などの営業取引以外の取引により資産を購入した場合などに、販売者に後日代金を支払う場合に計上する勘定科目です。

つまり、未払金計上時点で商品の「引渡し」が行われているため、この時点で課税仕入れを計上することになります。

数値例
当社は取引先F社から備品を500,000円で購入することとし、代金は後日受け取ることとした。

未払金支払時の仕訳

未払金支払時の仕訳

掛代金を決済時点では、すでに商品の引渡しが行われた後であるため、課税仕入れは計上されず、不課税取引となります。

数値例
取引先Fに対する未払金500,000円につき、当社の当座預金口座からB社の当座預金口座に振り込んだ。

未払金支払時の仕訳

 

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