ビットコインなどの仮想通貨(暗号資産)の売却に消費税はかかる?

この記事の内容は、2025年1月現在の最新の税制に対応しています。

ここ数年の間で、ビットコインをはじめとする仮想通貨(暗号資産)の普及が急速に拡大しています。

仮想通貨(暗号資産)を投機目的で所有する人も多く、中にはここ数年の急激な価格高騰により「億り人」と言われるほど巨額の財産を築いた人まで登場しました。

では、仮想通貨(暗号資産)を売却した場合に、消費税は課税されるのでしょうか?

ビットコインなどの売買を行っている人にとって、売却価格に消費税がかかるのかどうかは気になるところだと思います。

今回は、仮想通貨(暗号資産)を売却した場合の消費税の取扱いについて解説したいと思います。

令和元年度の資金決済法の改正により、「仮想通貨」については「暗号資産」に呼称変更されることとなりました。
ただし、今もなお一般には「仮想通貨」という呼称が広く使われているため、この記事では「仮想通貨(暗号資産)」と表記して解説します。

 

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仮想通貨(暗号資産)は「支払手段に類するもの」に該当する

消費税は、国内で「消費される」モノやサービスに対して課される税金です。

100円玉や千円札などのお金は、商品やサービスの代金を決済するための手段として存在するモノであり、「消費される」モノではありません。

したがって、消費されるモノではない紙幣や硬貨などのお金については消費税法上「支払手段」として位置づけられ、「支払手段の譲渡」は消費税という税の性格に馴染まないため非課税取引とされています。

では、仮想通貨(暗号資産)についてはどのように取り扱うのでしょうか?

消費税法施行令第9条第4項において、仮想通貨(暗号資産)は「支払手段に類するもの」とされています。

4 法別表第二第二号に規定する支払手段に類するものとして政令で定めるものは、資金決済に関する法律(平成二十一年法律第五十九号)第二条第五項(定義)に規定する暗号資産及び国際通貨基金協定第十五条に規定する特別引出権とする。

したがって、仮想通貨(暗号資産)の売却は「支払手段に類するものの譲渡」として、お金を譲渡した場合と同様に消費税は非課税となります。

 

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課税売上割合の計算上、分母(非課税売上高)に含めなくてよい

消費税の確定申告を原則課税方式により行う場合には、仕入控除税額を計算する際、当課税期間の課税売上高、免税売上高及び非課税売上高を基に課税売上割合を算出することとなります。

課税売上割合は次の計算式で表すことができます。

課税売上割合
課税売上割合の計算式

消費税の納付税額を計算する上では、課税売上割合が小さくなるほど控除できる仕入税額が少なくなるため不利になってしまいます。(この点については、詳しくは次の記事をご覧ください。)

お金や仮想通貨(暗号資産)などの支払手段(&類するもの)の譲渡は非課税取引ですが、その譲渡金額を「非課税売上高」として課税売上割合の分母に算入すると、取引回数が多くなればなるほど、どんどん課税売上割合が小さくなり、納付税額の計算上不利になってしまいます。

そうなると、決済手段であるお金や仮想通貨(暗号資産)の円滑な流通の妨げとなってしまい、経済が停滞してしまいます。

そのため、お金や仮想通貨(暗号資産)などの支払手段(&類するもの)の譲渡金額は、課税売上割合の算出に当たって、分母の非課税売上高に含めて計算する必要はないこととされています。

 

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仮想通貨交換業者に支払う手数料は課税仕入れ

仮想通貨交換業者に対して仮想通貨(暗号資産)の売買に係る仲介料として支払う手数料は、仲介に係る役務の提供の対価として支払うものであるため、課税対象になります。

なお、仮想通貨の売買を目的とした購入に係る手数料は、消費税の申告において個別対応方式を採用する場合、課税資産の譲渡等以外にのみ要する課税仕入れ(=非課税売上対応課税仕入れ)に該当することとなります。

 

平成29年6月以前の取引は課税対象

実は、仮想通貨(暗号資産)の譲渡はずっと昔から非課税取引とされていたわけではありません。

仮想通貨の取り扱いに関する法整備ができたのは割と最近で、平成29年(2017年)7月以後に行った仮想通貨の譲渡が非課税取引とされます。

平成29年6月以前に国内において行った仮想通貨の譲渡は、消費税の課税対象となります。

なお、消費税の課税事業者に該当する方が、平成 29 年6月以前に国内において行った仮想通貨の購入に係る課税仕入れについて仕入税額控除の適用を受けるためには、取引の相手方の氏名等一定の事項が記載された帳簿及び請求書等の保存が要件となりますが、仮想通貨交換業者などの媒介者を介して行われる仮想通貨の購入に関し、取引の相手方又は媒介者から請求書等の交付を受けられないなど、やむを得ない理由がある場合には、帳簿にその旨と媒介者の氏名等を記載して保存することとなります。

 

仮想通貨(暗号資産)の貸付けに係る利用料には消費税がかかる

国税庁が公表している資料『暗号資産に関する税務上の取扱いについて(FAQ) 』において、仮想通貨(暗号資産)の貸付けに関する以下のような記載があります。


当社は、国内の暗号資産交換業者との間で暗号資産貸借取引契約を締結し、保有している暗号資産を貸し付けることにより、1年後の契約期間満了時に、当該貸し付けた暗号資産に一定の料率を乗じた金額を利用料として受領しました。
暗号資産交換業者が定める利用規約には、当社が暗号資産交換業者に対して暗号資産を貸し付け、契約期間が満了した後、当該貸し付けた暗号資産と同種及び同等の暗号資産が暗号資産交換業者から当社に返還されるとともに、当該返還に際して、利用料が支払われることが規定されています。
この場合の消費税の課税関係を教えてください。


利用料を対価とする暗号資産の貸付けには、消費税が課されます。
暗号資産交換業者が定める利用規約には、契約期間が満了した後、貸し付けた暗号資産と同種及び同等の暗号資産が暗号資産交換業者から貴社に返還されるとともに、利用料が支払われることが規定されていることから、ご質問の取引は事業者が対価を得て行う「資産の貸付け」に該当します。
また、ご質問の取引は、支払手段(暗号資産)の譲渡、利子を対価とする金銭の貸付け及び有価証券の貸付けのほか、消費税法別表第二に掲げる非課税取引のいずれにも該当しません。
したがって、利用料を対価とする暗号資産の貸付けは、消費税の課税対象となります。

金銭や有価証券を貸し付けた場合の利用料は非課税取引とされますが、仮想通貨(暗号資産)の貸付けに係る利用料については非課税とされず、課税対象取引となります。

仮想通貨(暗号資産)の譲渡は非課税取引になるので、ついつい仮想通貨(暗号資産)の貸付けも非課税取引になるんじゃないかと思いがちですが、取り扱いが異なるため注意が必要です。

 

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