新型コロナウイルスのPCR検査費用を会社が負担した場合の会計処理と消費税

この記事の内容は、2025年4月現在の最新の税制に対応しています。

新型コロナウイルス(COVID-19)が猛威を振るっています。

企業にとっても、従業員の感染症の罹患の有無を確認することは、社内の職番環境の維持や取引先との関係維持のためにも非常に重要となってきました。

そこで、今回は、新型コロナウイルスのPCR検査費用を会社が負担した場合の会計処理と消費税の取扱いについて解説したいと思います。

 

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PCR検査とは

ニュース等で連日報道されているためご存知の方が多いと思いますが、PCR検査とは、唾液や鼻咽頭などから採取した検体の中に、新型コロナウイルスの遺伝子(RNA)が含まれるかどうかを調べる検査です。

PCR検査は誰でも受けることができますが、自己負担の場合の検査費用はおよそ3万円程度(病院により異なります)であり、決して安いとはいえない金額です。

しかし、次のような一定の条件に該当する場合は保険適用となるため7割は健康保険負担となり、さらに、残りの3割も公費負担となるため患者の費用負担は発生しないことになります。

・新型コロナウイルスと疑われる症状が発症してから9日以内である場合
・症状はないが、新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA)から陽性者との接触通知が来た場合
・症状はないが、医師や保健所から濃厚接触者と判断された場合

 

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自己負担で行うPCR検査は非課税とならない

消費税法第6条の規定により、健康保険法等に基づく社会保険医療の給付等に係る資産の譲渡等は非課税取引とされています。

上述の条件に該当しない場合に、PCR検査を自己負担で受ける場合は保険適用対象外となるため非課税取引に該当せず、自己負担のPCR検査費用は課税仕入れとなります。

PCR検査は軽減税率の適用対象取引ではないため、標準税率10%が適用されます。

なお、PCR検査費用が保険適用となるかどうかは、検査を受ける時点で上述の要件に該当しているかどうかで判断されるため、検査時は上述の条件に該当していなかったが検査の結果が陽性だった場合でも、保険は適用されません。

 

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その他の検査費用

保険適用となる場合、PCR検査費用の自己負担はありませんが、採血やレントゲンなどの検査費用は発生します。

この場合、採血やレントゲンなどの検査費用にも保険が適用されるため3割負担となり、その支払額は非課税仕入れとなります。

なお、検査会社発行の結果用紙の郵送料や診断書、陰性証明書などの発行手数料は非課税とりません。

 

従業員のPCR検査費用等は「福利厚生費」で処理

従業員のPCR検査費用を会社が負担して医療機関に支払った場合は、その支払額は「福利厚生費」として処理します。

ただし、「福利厚生費」として計上し、消費税法上も課税仕入れとして処理するためには、全ての従業員を一律に対象としており、社会通念上常識の範囲内の金額である必要があります。

一部の従業員のみを対象としてPCR検査費用を負担している場合(役員のみ会社負担でPCR検査を行う場合など)や検査に関連して常識の範囲外の金額を負担している場合(検査のために入院が必要となる場合に不必要な高額の差額ベッド代を支払っている場合など)には、「福利厚生費」ではなく「給与」として扱われることになるため、課税仕入れとして計上することはできず、所得税等の源泉徴収も必要になります。

なお、福利厚生費が消費税の課税仕入れに該当するかどうかの考え方については、詳しくは次の記事で解説しています。

また、検査会社発行の結果用紙の郵送料や診断書、陰性証明書などの発行手数料については、「支払手数料」勘定で処理します。

 

(参考)個人事業者の場合は課税仕入れにできない

個人事業者が自己負担でPCR検査を受けた場合の費用は経費にすることはできず、課税仕入れにすることもできません。

また、個人が支払った自己負担のPCR検査費用は、所得税法上の医療費控除の対象にすることもできません。

ただし、PCR検査の結果が陽性であり、その治療のために入院又は通院をしたときは、そのPCR検査費用は医療費控除の対象となります。

 

まとめ

新型コロナウイルスの罹患の有無を確認するために自己負担でPCR検査を行った場合は、保険の適用対象外のため非課税取引とはなりません。

ただし、発症してから9日以内である場合やアプリ(COCOA)から陽性者との接触通知があった場合、医師や保健所から濃厚接触者と判断された場合は保険が適用され、公費で検査が行われるため患者負担は0円となります。

PCR検査費用は「福利厚生費」として処理しますが、全従業員一律に受けられない場合や常識的な範囲外の金額の場合などは「給与」として扱われることに注意しましょう。

PCR検査費用が課税仕入れになるかどうかの考え方は、人間ドック費用や健康診断費用の考え方と基本的に同じです。

以下の記事で人間ドック費用や健康診断費用に消費税はかかるかどうかの解説をしているため、是非合わせて読んでみてください。

 

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