消費税の納税が猶予される場合とは?新型コロナの影響は認められる?

この記事の内容は、2025年1月現在の最新の税制に対応しています。

消費税及び地方消費税は、法定の納期限までに納付しなければなりませんが、国税通則法の規定により、災害や休業などの特殊な事情により、納税者が税金を納期限までに納付することができない場合には「納税の猶予」という制度が設けられています。

今回は、「納税の猶予」という制度について解説したいと思います。

 

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災害により損失を受けた場合の納税の猶予

震災、風水害、落雷、火災その他これらに類する災害により納税者がその財産につき相当な損失を受けた場合において、納税者が災害が止んだ日から起算して2月以内に申請をしたときは、被害にあった財産の損失の状況及び当該財産の種類を勘案して、納税が猶予されることがあります。

なお、「相当な損失」とは、災害による損失の納税者の積極財産の価額に占める割合がおおむね20%以上の場合をいいます。(通則法基本通達徴収部関係46-2

猶予の対象となる消費税は、以下の2つです。

① その最大のやんだ日以前に課税期間が経過した課税資産の譲渡等に係る消費税で、その納期限がその損失を受けた日以後に到来するもののうち、その申請の申請に納付すべき税額の確定したもの
② 中間申告の消費税で、その納期限がその損失を受けた日以後に到来するもの

 

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一般的な納税の猶予

次のいずれかに該当する事実に基づき、納税者がその国税を一時に納付することができないと認められるときは、その納付することができないと認められる金額を限度として、納税者の申請に基づき、1年以内の期間に限り、その納税が猶予されることがあります。

① 納税者の財産が震災、風水害、落雷、火災その他の災害を受け、又は盗難にかかったこと
② 納税者又はその者と生計を一にする親族が病気にかかり、または負傷したこと
③ 納税者がその事業を廃止し、又は休止したこと
④ 納税者がその事業につき著しい損失を受けたこと
⑤ 上記①から④に類する事実があったこと

なお、猶予にかかる税額が100万円以下である場合、その猶予の期間が3月以下の場合又は担保を供することができない特別のある場合を除き、その猶予にかかる金額に相当する担保を提供しなければならないこととされています。(次の「確定手続等が遅延した場合の納税の猶予」についても同様です。)

猶予を受けるための要件

納税の猶予を受けるためには、次の要件を満たしている必要があります。

① 一時の納税により、事業の継続・生活維持を困難にするおそれがあること
② 納税について誠実な意思を有すること
③ 猶予を受けようとする国税以外の滞納がないこと
④ 納付すべき国税の納期限から6か月以内に申請書の提出があること

なお、既に滞納がある場合や滞納となってから6月を超える場合であっても、税務署長の職権による換価の猶予を受けられる場合があります。

 

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確定手続等が遅延した場合の納税の猶予

法定申告期限から1年を経過した日以後に納付すべき税額が確定した場合において、納税者がその確定した部分の税額を一時に納付することができない理由があると認められる場合には、その納付することができないと認められる金額を限度として、その国税の納期限内にされたその者の申請に基づいて、その納期限から1年以内の期間を限り、その納税が猶予されることがあります。

なお、税務署長等においてやむを得ない理由があると認められた場合には、その国税の納期限後に申請したときも納税の猶予の対象となります。

 

新型コロナウイルスの影響による納税の猶予の特例

令和2年4月30日の新型コロナ税特法の成立・施行により「納税の猶予の特例(特例猶予)」が創設され、令和2年2月1日から令和3年2月1日までに納期限が到来する国税については、次のような個別の事情がある場合は、納期限までに申請書を提出することにより、納税の猶予が認められることがあります。

① 新型コロナウイルス感染症の患者が発生した施設で消毒作業が行われたことにより、備品や棚卸資産を廃棄した場合
② 納税者ご本人又は生計を同じにするご家族が病気にかかった場合、国税を一時に納付できない額のうち医療費や治療等に付随する費用
③ 納税者の方が営む事業について、やむを得ず休廃業をした場合、国税を一時に納付できない額のうち、休廃業に関して生じた損失や費用に相当する金額
④ 納税者の方が営む事業について、利益の減少等により、著しい損失を受けた場合、国税を一時に納付できない額のうち、受けた損失額に相当する金額

令和3年2月1日より前に納期限が到来する国税について、申請期限までに特例猶予の申請ができなかった場合は、原則として特例猶予を受けることはできません。

ただし、申請できなかったことについて、やむを得ない理由があると認められる場合、申請期限を経過していても申請により特例猶予を受けることができます。

やむを得ない理由があるかどうかについては、納税者の方が申請できなかった理由について、税務署が事情を聞いて柔軟に取り扱うこととしされていますが、例えば、職員から特例猶予の制度を繰り返しご案内していたにもかかわらず、申請がされていないような場合は、やむを得ない理由があるとは認められません。

申請期限を経過している場合は、早めに所轄の税務署に相談するようにしましょう。

 

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新型コロナウイルスの影響を受けた事業者が確定申告期限や中間申告期限を延長する場合の取扱いについては、詳しくは次の記事をご覧ください。

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