第45回日税研究賞受賞者代表挨拶全文

当サイト運営者(税理士川上悠季)が、2022年7月28日に帝国ホテル東京にて開催された第66回日税連定期総会の席上において、第45回日税研究賞受賞者代表挨拶として読んだスピーチの全文です。

「社会不適合者だった自分に活躍の場を与えてくれた税理士という資格の魅力」というテーマで、スピーチさせていただきました。

第45回日税研究賞受賞者代表 川上悠季(当サイト運営者)のスピーチ
名古屋税理士会昭和支部所属の川上悠季と申します。
この度は、第45回日税研究賞入選という大変名誉ある賞をいただき、誠にありがとうございます。身に余る光栄なことと、喜びを噛みしめています。
このような賞を取ることができたのは、私自身が税理士という資格そのものに支えられてきたからだと思っています。
今回は、この場を借りて税理士という資格の素晴らしさについてお話させていただきたいと思います。
まず、自分語りで恐縮ですが、私は、大学生のころから税理士試験の勉強を始め、23歳のときに運よく官報合格することができました。
本来であれば、試験に合格した次は、バリバリ仕事をこなして実務経験をたくさん積みに行くところなのですが、私の場合はそれが思うようにいきませんでした。
実は、私は不眠症を患っており、睡眠リズムをうまくコントロールできない体質を持っています。
不眠症にも色々と種類がありますが、私の場合は「入眠障害」という、寝ようとしてもなかなか寝つけない症状に悩まされてきました。
特に、勉強や仕事などで、頭が集中モードに入ったときほどこの症状がひどく、日によっては布団に入ってから10時間ほど寝つけないこともざらにあり、結局一睡もできず徹夜で大学や仕事に行くこともありました。
20代前半頃までの若いうちはそれでも平気だったのですが、年を重ねるごとにだんだん体力的につらくなってきて、生活リズムがどんどん狂っていき、いつしか昼夜逆転の生活が当たり前となり、社会から断絶されたような不安から一時は引きこもりに近い生活を送っていたこともあります。
そんな、どん底の状態の自分を支えてくれたのが、税理士の資格でした。
まず、「腐っても自分は税理士有資格者なんだ」と自分に言い聞かせることで、こんな社会不適合者のような状態の中でも、自信を保つことができました。
また、請け負う仕事の量や、仕事をする時間を自由に調整できるのも税理士の魅力のひとつなので、体力的に無理のない範囲で、記帳や申告などの仕事を少しずつこなすようにしていました。
さらに、そのような生活の中で、生活リズムが狂っていてもあまり支障なくできることはないかと模索した結果として、書籍の執筆やスマートホンアプリの開発、ウェブサイトの運営、資格学校の講師など、税理士としての知識を活かした副業も色々と手掛けるようになりました。
ちなみに、少し宣伝となってしまいますが、私は「消費税法 無敵の一問一答」という名前のスマートホンアプリを制作・販売しています。
今回受賞した論文は、このアプリに収録する問題を制作していた際に「現物出資と事業譲渡の課税標準の取扱いが違うのは何でだろう?」と疑問に感じた論点について執筆しました。
日税研究賞に論文を書いて応募しようと思い立ったのも、税理士資格のおかげで自分の体質に合ったゆとりある生活を送れるようになったからこそ、できたことです。
このように、社会不適合者だった私にも、幅広い活躍のチャンスを与えてくれた「税理士」という資格には、本当に感謝の念に堪えません。
今回、私が日税研究賞に入選したことが、私と同様に何らかの生きづらさを抱えており社会のレールから外れてしまった人を勇気づけることにつながれば、この上なく嬉しい限りです。
また、自分で言うのはおこがましいかもしれませんが、私の年齢は今30歳でありまして、平均年齢が60歳を超えている税理士全体の中では、かなり若い世代に分類されます。
税理士業界は今、若い人材の人手不足が深刻な問題となっていると言われています。
今回、社会不適合者だった若手税理士の私がこのような栄えある賞を受賞したことにより、働き方やライフスタイルが多様化している現代において、税理士という資格は選択肢の幅を広げてくれる非常に魅力的なツールであるということを、とりわけ若い世代の人たちに広く知っていただくきっかけとなり、もって税理士業会全体の活性化のための一助となれば幸いです。
そして最後に、私は、スピーチの中で私自身のことを社会不適合者と表現していましたが、今はもう自分のことを社会不適合者だとは思っていません。
今でもまだ睡眠リズムには問題があり、通常の勤務形態で働くことは難しいですが、そんな体質を持っていながらも、自分だけの道を見つけて、一歩ずつ、少しずつ、自分だけの歩幅で歩いてきて、こうして今、非常に栄えある賞の受賞者代表挨拶まで任せていただけるようになったのも、すべて税理士という資格に支えられてきたおかげです。
税理士という資格は、昭和や平成までの時代の価値観では考えられなかったような、新しい働き方や生き方を実現し、そして成功へと導いてくれる最高のパートナーなんだと、身をもって強く実感した次第であります。
以上、長くなりましたが、これをもちまして私の挨拶とさせていただきます。
ご清聴ありがとうございました。

 

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