この度、前回の記事でもご報告させていただいたとおり、当サイト運営者(税理士 川上悠季)が第45回日税研究賞で入選を果たし、日税連の定期総会の場で執り行われる表彰式に参加するために、第66回日税連定期総会に参加してきました。
また、日税研究賞受賞者代表スピーチもさせていただくことになり、ガチガチに緊張しながら非常にやんごとない場でしゃべらせていただきました。
日税連の定期総会は、普通の税理士は参加することができない特別な総会で、これに参加できるというのは超激レアな体験となります。
税理士業界では、日税連の定期総会に参加したことがあるという人はかなりの激レアさんです。
おそらく税理士の方でも、日税連の定期総会に参加したことがある人は周りにほとんどいないと思います。
そこで今回は、せっかく激レアな体験ができたので、日税連の定期総会とは一体どんなところなのかについてご紹介したいと思います。
式典動画の最後の方で当サイト運営者(税理士 川上悠季)がスピーチを行っています。
https://www.nichizeiren.or.jp/member/66soukai_live-page/
日税連(日本税理士会連合会)とは
日税連(日本税理士会連合会)とは、税理士法に基づいて設立された法人であり、全国の税理士会がその会員となります。
ここで注意なのが、日税連の会員は全国の「税理士」ではなく「税理士会」であるということです。
(会員)
第5条 本会の会員は、全国の税理士会とする。
全国に15ある各地方の税理士会(名古屋税理士会、東京税理士会、近畿税理士会など)が日税連の会員となります。
つまり、日税連の定期総会に参加できるのは原則として「税理士会」としての立場の人(各地方の税理士会の会長、副会長など)だけであり、普通の税理士は日税連の会員ではないため、参加したくても参加できないのです。
なお、各地方の税理士会の定期総会は、税理士であれば誰でも参加することができます。
日税連の定期総会に参加するためには
「税理士会」としての立場の人の他にも、以下のような人は日税連定期総会に参加することができます。
当サイト運営者は、第45回日税研究賞受賞者として参加させていただくことができました。日税研究賞受賞者でも、定期総会に参加できるのは入選以上(入選、優秀賞、最優秀賞)の受賞者だけで、選考委員会賞の場合は参加できません。
なお、税理士であれば事前に手続きをすることで傍聴者として参加することもできるそうです。(傍聴に関しての詳細はあまりよくわからないので、興味ある方は詳しくは日税連にお問い合せください。)
これら以外では、尋常ではないほど偉い地位の方でなければ参加することができないため、おそらく今回の参加が人生最初で最後になるかと思います。_(┐「ε:)_チーン
いざ帝国ホテル東京へ!
第66回(令和4年度)の日税連定期総会は、令和4年7月28日(木)、帝国ホテル東京にて執り行われました。
このようなやんごとない場でスピーチをさせていただけるようになったのも、「消費税法 無敵の一問一答」アプリのおかげだと思っています。
スーツには、本物の税理士バッヂだけでなく、アプリのアイコンとして使用しているオリジナルの税理士バッヂマークもつけて行きました。
それでは、いざ帝国ホテル東京へ!
\ ド ー ン ! /
中に入ったらちゃんと看板がありました。なんか自分が日税連の定期総会に参加することになるなんて、実は誰かが仕組んだデマ・いたずら若しくはドッキリなんじゃないかとどこかで思ってましたが、看板を見て「あ、マジなんだ。。。」と思いました。
いざ会場に近づくと一気に緊張が増してきて、このあたりのタイミングで「モニタリング」か「水曜日のダウンタウン」あたりのスタッフの人が「実はこれ、ドッキリです!テッテテーン!!」というタネ明かしでもしに来てくれないかなという気分になりました。_(┐「ε:)_
会場に到着しました。ヘラヘラした顔に見えますがめちゃくちゃ緊張しています。_(┐「ε:)_
この後、鈴木財務大臣や金子総務大臣、阪田国税庁長官、岸田総理大臣、金子宏教授、中里実教授などの錚々たるメンバーがスピーチをしたあとで、僕がスピーチをすることになります。
このときたぶん人生で一番緊張していて、本当に吐きそうでした。(´﹃`)
ちなみに、僕はいい歳して今まで一度も名刺を作ったことがなかったのですが、今回はさすがに作った方が良いだろうと急ごしらえで作っていきました。
会場に到着して、僕が生まれて初めて名刺交換をさせていただいた相手は中里実教授(東京大学名誉教授・政府税制調査会会長)でした。色んな意味でヤヴァいです。フオオオ(((卍(^ω^)卍)))フオオオ
定期総会の構成
第66回(令和4年度)の日税連定期総会は次のような段取りで行われました。
② 税理士制度80周年・第6次税理士法改正記念式典
③ 懇親会
まず最初に、一番メインの会議で、事業報告の承認や決算承認、予算の決定などの議案に関する審議が行われます。
日税研究賞の受賞者は、この会議をやっている間に別室で写真撮影等をするので、僕が参加したのは②税理士制度80周年・第6次税理士法改正記念式典からです。
定期総会(本会)
一番最初に行われるこの会議は地方の各税理士会のみが議決権を有しています。
僕はこの時間別室で写真撮影等があり参加していないため詳しくはわかりませんが、配られた書類によると、決算承認や予算決定、会則の一部変更などの他、次のような事項の実現に向けて取り組むことを決定したそうです。
・電子申告の利便性向上
・ICTの活用による会務運営の効率化
・適格請求書等保存方式(インボイス制度)の導入延期又は中小企業の実務を踏まえた柔軟な運用を求めて関係各所と折衝を行うこと
・上記の一方で、令和5年10月の制度導入を見据えた制度周知、適格請求書発行事業者登録の勧奨等
・事業承継サイトの普及・推進
・研修受講機会の拡大及び登録時研修の受講義務化に向けた検討
・対外広報の強化(メディアへの広告展開、全国の大学での「税理士による租税講座」の開設、対外広報キャラクター「にちぜいくん」の普及定着など)
・書面添付制度の普及・定着
・公益活動への取り組み(成年後見制度の利用促進など)
とにもかくにも、日税連としても税理士全体の高齢化を深刻に問題視しているようで、若い働き手の確保が一番喫緊の課題であるようです。
税理士試験の「簿記論」と「財務諸表論」の受験資格を撤廃することで、若い世代が税理士業界に参入しやすくなることを狙っているようです。
税理士制度80周年・第6次税理士法改正記念式典
僕が参加したのはここからです。式典と懇親会の段取りは以下のとおりです。
おわかりいただけますでしょうか?
この式典でスピーチをする人を順番にまとめると次のようになります。
パワーバランスおかしくないですか?
なんですかこの文字列見ただけで圧縮死されそうなメンツは?(꒪ཫ꒪; )
ミュウツーとかルギアとかグラードンみたいな伝説級の群れにLv.5くらいのキャタピーが何かの間違いで紛れ込んでしまったような感じです。_(꒪ཀ꒪」∠)_
この流れで僕みたいな小僧がスピーチをやるなんて、質の悪いジョークやドッキリなんじゃないかという気分でした。
聴衆の皆様も、普通に生活していたら絶対に出会うことのないやんごとないお方々ばかりです。
ただ用意してきた原稿を読むだけなのですが、人生で一番緊張しました。。。
以下、スピーチの内容について順番にご紹介します。
① 日税連会長 神津信一先生のスピーチ
まずは、日税連会長 神津信一先生のスピーチです。
税理士80周年だよ!おめでたいね〜的なことを言っていた気がしますが、緊張でほとんど覚えていません。
② 鈴木俊一財務大臣のスピーチ
続いて、鈴木俊一財務大臣のスピーチです。
テレビなどでも見たことがある人が目の前でしゃべっているという事実が信じられないというか、この後で自分がしゃべるなんてウソでしょという気持ちでした。
内容は緊張して何も覚えていません。
③ 金子恭之総務大臣のスピーチ
次は金子恭之総務大臣のスピーチです。
「大臣ってこんなぽんぽん出てくるものなの?」
「白飯もう一杯おかわり!みたいなノリで出てきてたけど大臣だよ?」
とわけのわからないツッコミで頭がいっぱいで、いよいよ危ない精神状態となってまいりました。
スピーチの内容は当然何も覚えてないです。
④ 阪田渉国税庁長官のスピーチ
次は、阪田渉国税庁長官のスピーチです。
阪田国税庁長官はクールな白髪がダンディな雰囲気を醸し出しているイケメン俳優といった感じの格好いい方でした。
なお、僕の頭の中も阪田国税庁長官の髪色と同様に真っ白でしたので、スピーチの内容は何も覚えていません。
⑤ 岸田文雄内閣総理大臣のスピーチ
続いて、岸田文雄内閣総理大臣のスピーチです。
今回スピーチするメンツの中で一番の有名人が出てきました。
岸田総理の挨拶は動画だったことと、あまりにも普段からニュースでよく見る顔なので、なんか家でNEWS7や報道ステーションでも見ているかのような気分になり、逆にリラックスして聞くことができました。
なんか今は国内も国外も大変な状況になってるから、政府としても適切に対処するために頑張るよ的なことを言っていた気がします。
記憶がギリ少しだけ残っている数少ないスピーチでした。
⑥ 参議院議員 宮沢洋一先生のスピーチ
続いて、参議院議員 宮沢洋一先生の動画でのスピーチです。
宮沢洋一先生は、宮沢喜一元内閣総理大臣の甥にあたる方です。
宮沢洋一先生のスピーチはあまりお堅い感じの話ではなく、ところどころ笑いが起きていたのですが、どういった内容の話で笑いが起きていたのかは記憶がありません。
⑦ ドイツ連邦税理士会会長 ハルトムート・シュヴァープ先生のスピーチ
続いて、ドイツ連邦税理士会会長 ハルトムート・シュヴァープ先生の動画でのスピーチです。
ドイツ語だったので何を喋っているのかまったくわかりませんでした。字幕もただ文字を目で追っていただけで内容は何も頭に入ってきませんでした。
「ドイツ連邦税理士会会長として本日皆様にご挨拶させていただけますことを大変光栄に存じます」とドイツ語で言っていたこと以外何も覚えていません。
⑧ 東京大学名誉教授 金子宏先生のスピーチ
続いて、租税法の世界でこの人を知らない人は誰一人いないほど有名な、東京大学名誉教授 金子宏先生のスピーチです。
金子宏先生は租税法の世界では教祖ともいえる存在で、仏教の世界でいうところのブッダ(釈迦)、キリスト教の世界でいうところのキリストのような存在であらせられます。
なお、今回金子宏先生は、諸般の事情によりご欠席されていたため、司会の方が代わりにスピーチを読み上げていました。
租税法の世界では、金子宏先生のお言葉はすなわち神のお言葉でもあり、そんなありがたいお話を聞けるだけでも神に感謝しなければならないにもかかわらず、それを覚えていないだなんて何事だと、税理士界隈の方からぶっ飛ばれてしまうかもしれませんが、緊張で全く覚えておりません。。。
いやもう本当に、普段の生活の中で金子宏先生のスピーチを聞ける機会なんてあったら一言一句全部暗記する勢いで集中して耳を傾けるレベルなのですが、それくらい緊張していたということです。。。
⑨ 東京大学名誉教授・政府税制調査会会長 中里実先生の講演
次は、税理士制度80周年の記念講演として、東京大学名誉教授・政府税制調査会会長 中里実先生が「税理士制度と財政制度-専門的職業人としての税理士の地位」について講演されました。
講演の時間は30分くらいでしたが、この30分はおそらく人生で一番長く感じた30分でした。
体感的に正味8時間くらい喋ってらっしゃったんじゃないかと思います。
僕がしゃべるのは中里先生の次です。いよいよ緊張がピークとなり、先生の講演中「緊張型頭痛」に襲われました。
「緊張型頭痛」とは、文字通り緊張したときなどのストレスにより起きる頭痛で、頭が締め付けられるような感じです。
中里先生は、租税法の世界では金子宏先生に並ぶレジェンド級のお方であり、また、僕が生れて初めて名刺交換をさせていただき、僕が一人前の社会人としての一歩を踏み出すのに貢献いただいた方でもあるので、本来なら講演内容はすべて暗唱できるレベルまでしっかり聞き届けなければならないところなのですが、緊張のあまり頭痛や吐き気までしてくる状況でしたので、本当に申し訳ないですが講演の内容は全然覚えていません。。。
というか、人間としての原型を保つだけでも精一杯という状況でした。
日税研究賞贈呈式
スピーチをやる前に、日税研究賞の贈呈式が行われました。
東京大学名誉教授 神野直彦選考委員長による選考経過の発表の後、ステージで一人ずつ表彰状↓の授与が行われました。
表彰状の授与が終わったら、いよいよ日税研究賞受賞者代表スピーチです。
⑩ 第45回日税研究賞受賞者代表 川上悠季(当サイト運営者)のスピーチ
ついに出番が来てしまいました。
泣いても笑っても、レベル5のキャタピーが伝説級の面々に立ち向かわなければならない時が来ました。
スピーチの内容については、次の記事で全文を記載しています。
ステージに立ったら、生まれたての鹿のように足がプルプル震えて震えて仕方ありませんでした。
スピーチを読む際は、目線や読むスピード、呼吸のタイミングなど色々と気をつけようと思っていたのですが、もはやそんなことを気にしている余裕は全くなく、とにかく足のプルつきを必死で抑えることと、失神しないよう意識を保つことぐらいしかできませんでした_(꒪ཀ꒪」∠)_
何はともあれ無事スピーチを終えることができました。
喋っている際中の記憶はあまりありませんが、周りの方は「すばらしいスピーチでしたよ!」と言ってくださり、同席いただいた皆様の優しさに胸が一杯になりました。
⑪ 税理士制度80周年記念日税連会長特別賞受賞者 中尾隼大先生
最後にスピーチをするのは、税理士制度80周年記念日税連会長特別賞受賞者 中尾隼大先生です。
中尾先生は、第40回(2017年)の日税研究賞で入選されているのですが、中尾先生の入選論文「一般社団法人を利用した租税回避スキームに関する試論」のアイディアが、平成30年度税制改正における相続税の租税回避防止措置として実現したことから、実現可能な提言内容として優れていた点、制度改正に影響を与えた点が評価され、税理士制度80周年記念日税連会長特別賞として再度受賞することになりました。
中尾先生は初めてお会いしたのですが、とても気さくに話しかけてくださり、また5年前に僕と同様に受賞者代表スピーチを行っていることから、どういう段取りで式典が進むのかや、当時スピーチした際にどれくらい緊張したか、この後どういう流れで論文が世に公表されるかなど色々教えていただき、とても頼もしかったです。
もし中尾先生がいらっしゃらなかったら、右も左も分からず緊張のあまり失神していたかもしれません。
そして、それだけお世話になっておいて本当に本当に、本ッ当に申し訳ないのですが、自分のスピーチの時の緊張の余韻がまだ取れておらず、スピーチの内容は全然頭に入ってきませんでした。。。(中尾先生、本当に申し訳ありません。。。m(_ _ )m)
以上で税理士制度80周年・第6次税理士法改正記念式典は終わりです。
このあと、少し休憩時間を挟んで、懇親会が始まります。
懇親会
懇親会では、それまでのお固い感じとは打って変わり、楽しげな雰囲気で始まりました。
まず最初に、日税連会長の神津信一先生が余興として、「色んな動物がお祝いの挨拶のために駆けつけてくれました」と、牛やニワトリ、キジなどの動物の鳴き声の物まねを披露してくださいました。
思いの外かなり上手で、本当に牛やニワトリが来てくれたのかと思いました。
続いて、日本公認会計士協会会長 茂木哲也先生の挨拶です。
茂木先生の挨拶も、あまりお堅い感じではなく楽しげな感じで、全員にビールが振る舞われたところで乾杯の音頭が取られました。(僕は「群発頭痛」という持病がありお酒は飲めないためウーロン茶で乾杯しました。)
懇親会では、席はそのままで、なだ万のお弁当が振る舞われました。
写真を撮るのを忘れてしまったのですが、赤飯、お刺身、鯛の塩焼き、黒豆、お洒落な野菜などが入っていてとても美味しかったです。
食事もそこそこに、たくさんの著名な先生方とお話をしたり、名刺交換をしているうちにあっという間に時間は過ぎ、最後に万歳三唱をして会を締めくくることとなりました。
お土産にいただいた記念品は、税理士制度80周年を記念した「とらや」のお饅頭でした。
帰ってから美味しくいただきました。 (((´~`))) モグモグ
まとめ
日税連の定期総会は普通の税理士は参加することができないのですが、日税研究賞受賞者として参加させていただくことができました。
緊張で頭が真っ白になりつつも、受賞者代表スピーチというとても貴重な経験をさせていただくこともできました。
また、著名な先生方から沢山の激励のお言葉をいただき、身の引き締まる思いがしました。
この記事を通じて、なかなか馴染みのない日税連の定期総会について、どういうことが行われている会なのかを知っていただくきっかけとなれば幸いです。