株式売買に伴う委託売買手数料、投資顧問料、保護預り料の消費税区分

この記事の内容は、2025年1月現在の最新の税制に対応しています。

手持ちの資金で収益を得るために、株式の売買を行っている企業も多いかと思います。

今回は、株式の売買に伴い支出する委託売買手数料、投資顧問料、保護預り料の消費税法上の取扱い、個別対応方式における区分経理について解説します。

なお、この記事では売買目的有価証券に係る諸費用について解説しています。満期保有目的債券、関係会社株式、その他有価証券などに係る諸費用の取扱いについては、詳しくは次の記事をご覧ください。

 

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委託売買手数料、投資顧問料、保護預り料はすべて課税仕入れ

消費税法第6条の規定により「有価証券の譲渡」は非課税取引とされているため、株式の購入費用は非課税仕入となります。

しかし、委託売買手数料、投資顧問料、保護預り料はいずれも株式そのものの購入費用には該当せず、株式の売買に伴って発生する諸々の役務提供の対価として課税仕入れに該当します。

 

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委託売買手数料

国内において株式を売却する際に支払う委託売買手数料は、株式の譲渡(非課税売上げ)に係る課税仕入れなので、非課税売上対応課税仕入れとなります。

なお、購入した株式については、それを売却するまでの間に配当金(不課税売上げ)を収受しますが、株式を購入するための委託売買手数料は配当金の受取のためにのみ利用するものではなく、後日における株式の売却のために要する費用であるため非課税売上対応課税仕入れとなることに注意しましょう。

 

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投資顧問料

投資顧問業者から株式の売買に関する専門的な助言を得る場合があります。

このような助言に対して投資顧問業者に支払う投資顧問料も、委託売買手数料と同様に株式の譲渡(非課税売上げ)に係る課税仕入れなので、非課税売上対応課税仕入となります。

 

株式の保護預り料

保護預り料とは、証券会社が顧客から有価証券の取引などに関連して、株式や現金などを預かるサービスの利用料のことです。

保護預り制度では、証券会社は顧客の資産を証券会社自身の保有する有価証券や現金と分けて分別保管することが義務付けられているため、万が一証券会社が破綻したとしても顧客の資産は保全されることになるため、このサービスを利用している投資家も多くいらっしゃいます。

株式の保護預り料は、後日の株式の売却のための支出なので、株式の譲渡(非課税売上げ)に係る課税仕入れなので、非課税売上対応課税仕入となります。

 

国外に所在する株式を譲渡する場合

国外に所在する株式を譲渡するために、国内の証券会社等に支払う委託売買手数料、投資顧問料、保護預り料は課税売上対応課税仕入となります。

この理由については、詳しくは次の記事をご参照ください。

また、有価証券に係る国内取引の判定については詳しくは次の記事をご参照ください。

なお、国外の証券会社等に支払う委託売買手数料、投資顧問料、保護預り料を支払った場合は不課税仕入れとなります。

 

(参考)根拠法令通達

【照会要旨】
 財テクとして株式の売買を行い、これについて委託売買手数料等を支払っていますが、個別対応方式により仕入控除税額を計算する場合、これらの支出は非課税売上げにのみ要する課税仕入れの支払対価として仕入税額控除の対象とならないことになるのでしょうか。

【回答要旨】
 株式の売買に伴う課税仕入れに係る支払対価としては、委託売買手数料、投資顧問料、保護預り料があり、個別対応方式により仕入控除税額を計算する場合におけるこれらの支払対価は次のように、いずれも、非課税売上げにのみ要する課税仕入れとして取り扱います。

1 株式を売却する際の委託売買手数料は、株式の譲渡のための費用ですから、非課税売上げにのみ要する課税仕入れの支払対価に該当し、個別対応方式により仕入控除税額を計算する場合は仕入税額控除の対象にはなりません。
 一方、購入した株式については、それを売却するまでの間に配当金を収受することもありますが、株式を購入する際の委託売買手数料は、配当金を得るための支払対価というよりも、後日における売却のための取得に要する支払対価と認められますから(所得税、法人税においても配当金収入のための必要経費又は損金としては取り扱われてはいません。)、非課税売上げにのみ要する課税仕入れに係る支払対価に該当することとなります。

2 株式の売買に当たって、投資顧問業者から売買に関して、専門的な助言を得る場合があり、このような助言に対して投資顧問業者に支払う投資顧問料も、委託売買手数料と同様に非課税売上げにのみ要する課税仕入れの支払対価となります。

3 株式の保護預り料は、後日の売却のための支出ですから、非課税売上げにのみ要する課税仕入れの支払対価となります。

【関係法令通達】
 消費税法第30条第2項、消費税法基本通達11-2-15

 

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