国外の排他的経済水域内の漁業権を譲渡した場合の消費税の内外判定
Lars_Nissen_Photoart / Pixabay

この記事の内容は、2025年1月現在の最新の税制に対応しています。

今年1月30日に、日本海でベニズワイガニ漁を行っていた島根県の漁船「第68西の丸」がロシアの警備艇に連行される事件がありました。

ロシアの排他的経済水域(EEZ)内で無許可で違法にカニ漁を行った疑いが持たれており、漁船の操業に必要な書類を所持していたかどうかの操作が行われています。

ここで、多くの人が「国外の排他的経済水域内の漁業権を他者に譲渡した場合、消費税の国内取引に該当するのだろうか?」という疑問を抱くかと思います。

今回は、漁業権の譲渡に係る消費税の取扱いについて解説したいと思います。

 

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課税の対象の4要件

消費税は、次の4要件を満たす取引が課税の対象となります。

課税の対象の4要件
① 国内において行うものであること
② 事業者が事業として行うものであること
③ 対価を得て行うものであること
④ 資産の譲渡・貸付け、役務の提供であること

漁業権の譲渡が課税の対象になるかどうかは、「① 国内において行うものであること」の要件を満たしているかどうかがポイントとなります。

 

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漁業権の譲渡の内外判定

国外の排他的水域内における漁業権については、国外において漁業を行う権利であるため、国内取引には該当しないのではないか?と思う方も多いかもしれません。

しかし、漁業権を譲渡した場合、消費税法上国内取引に該当するかどうかについては、消費税法施行令第6条において次のように規定されています。

(資産の譲渡等が国内において行われたかどうかの判定)
・・・(中略)・・・
八 営業権又は漁業権若しくは入漁権 これらの権利に係る事業を行う者の住所地

漁業権等については、漁業を行う場所が国内であるかどうかではなく、「これらの事業を行う者の住所地」が国内であるかどうかにより国内取引の判定を行います。

なお、「住所地」とは、住所や本店、主たる事務所等の所在地のことをいいます。

したがって、国外の排他的経済水域内における漁業権を譲渡した場合であっても、その譲渡した事業者の「住所地」が国内である場合は「① 国内において行うものであること」の要件を満たすこととなるため、課税の対象となります。

一方、日本の排他的経済水域内における漁業権を譲渡した場合であっても、その譲渡した事業者の「住所地」が国外である場合は、国内取引に該当せず不課税取引となります。

なお、関連論点として、公海上で資産の譲渡を行った場合や日本の排他的経済水域内において資産の譲渡を行った場合の消費税の内外判定については、下記の記事をご覧ください。

 

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まとめ

漁業権を譲渡した場合の消費税の取扱いについてまとめると、次のようになります。

漁業を行う事業者の住所地が国内 → 課税取引
漁業を行う事業者の住所地が国外 → 不課税取引

 

関連するアプリの問題

消費税法 無敵の一問一答

問題番号 タイトル
373 ロシア領海の入漁権の譲渡

 

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