前回書いた記事では、キャッシュレス・ポイント還元事業により付与されるポイントは消費税法上「不課税取引」になるということをしました。

前回書いた記事では、キャッシュレス決済を行った場合の購入者側の仕訳例の一部をご紹介しましたが、記事のボリュームの問題上すべてのパターンをご紹介することはできませんでした。

今回は、キャッシュレス・ポイント還元事業に係るポイントが付与された場合の購入者側の仕訳例について、すべてのパターンを網羅して解説したいと思います。

 

スポンサーリンク

キャッシュレス決済の精算方法は3パターンに分けられる

キャッシュレス決済の方法は、次の3つのパターンに分けられます。

「前払方式」・・・あらかじめお金をICカードなどに入れておく方法で、「プリペイド」とも呼ばれます。nanacoやWAONなどの大手小売事業者が独自に発行する電子マネーやSuicaやPASMOなどの交通系電子マネーにこのタイプが多いです。
「即時振替」・・・カード利用と同時に銀行口座からお金が引き落とされる方式です。デビットカードなどがこれに該当します。
「後払方式」・・・商品購入後にまとめて支払いをする精算方法で、「ポストペイド」とも呼ばれます。最も一般的なものはとしてはクレジットカードがこれに該当し、携帯電話料金と一緒に払うキャリア決済やメルペイなどのスマホ決済に後払方式が採用されています。交通系電子マネーの中にも後払方式のものがあります。

 

ポイント還元の種類は2パターンに分けられる

キャッシュレス・ポイント還元事業によるポイント還元の方法は、次の2つのパターンに分けられます。

「後日還元」・・・商品購入後に、決済額に応じたポイントを電子マネーに加算したり、口座に付与してその後決済に充当する方法です。
 
「即時充当」・・・商品購入時に、即時、購入金額2ポイント相当額を充当する方法です。

 

スポンサーリンク

経理処理は6パターンに分けられる

上記を踏まえると、経理処理のパターンは、次のようにそれぞれのパターンを掛け合わせて3×2=6パターンに分けることができます。

①「前払方式」×「後日還元」
②「前払方式」×「即時充当」
③「即時振替」×「後日還元」
④「即時振替」×「即時充当」
⑤「後払方式」×「後日還元」
⑥「後払方式」×「即時充当」

これらの6パターンについて、それぞれ解説していきたいと思います。

 

①「前払方式」×「後日還元」の場合の消費税の取扱いと仕訳例

具体例
1月10日:ICカードに20,000円チャージした。
1月15日:11,000円(10%税込み)の消耗品を購入し、ICカードで決済した。
1月31日:ICカード運用会社から220円分のポイントが付与された(220円分チャージ額が増加した)。なお、そのポイントはキャッシュレス・ポイント還元事業の対象となるものである。

チャージ時の仕訳

ICカードにチャージした金額は、「電子マネー」などの勘定科目を新しく作って資産計上すると管理がしやすくなります。なお、この他にも「前払費用」「前払金」「預け金」「仮払金」「貯蔵品」などの勘定科目を用いても構いません。

1月10日:チャージ時の仕訳

購入時の仕訳

商品の購入額は、キャッシュレス・ポイント還元事業の対象となるか否かにかかわらず、消費税法上はその全額が課税仕入れとなります。

1月15日:購入時の仕訳

ポイント付与時の仕訳

ポイントが付与されたことにより増加したチャージ額については、「雑収入」で処理します。

キャッシュレス・ポイント還元事業にかかるポイントの付与は消費税法上は課税の対象外(不課税取引)となることに注意しましょう。

1月31日:ポイント付与時の仕訳

 

②「前払方式」×「即時充当」の場合の消費税の取扱いと仕訳例

具体例
1月10日:ICカードに20,000円チャージした。
1月15日:11,000円(10%税込み)の消耗品を購入し、ICカードで決済した。なお、購入時に220円分のポイントが即時充当され、差額の10,780円がICカード残高から引き落とされた。

チャージ時の仕訳

上記と同様、ICカードにチャージした金額は、「電子マネー」などの資産の勘定科目に計上します。

1月10日:チャージ時の仕訳

購入時の仕訳

商品の購入額は、キャッシュレス・ポイント還元事業の対象となるか否かにかかわらず、消費税法上はその全額が課税仕入れとなります。

購入時に即時充当されたポイント相当額は「消耗品費」勘定と相殺するのではなく「雑収入」(不課税売上げ)を計上します。

1月15日:購入時の仕訳(即時充当の場合)

 

③「即時振替」×「後日還元」の場合の消費税の取扱いと仕訳例

具体例
1月15日:11,000円(10%税込み)の消耗品を購入し、即時振替サービスで銀行口座から即座に11,000円が引き落とされた。
1月31日:キャッシュレス決済事業者から220円分のポイントが付与された(普通預金の口座残高が220円増加した)。なお、そのポイントはキャッシュレス・ポイント還元事業の対象となるものである。

購入時の仕訳

商品の購入額は、キャッシュレス・ポイント還元事業の対象となるか否かにかかわらず、消費税法上はその全額が課税仕入れとなります。

 

1月15日:購入時の仕訳(即時振替の場合)

ポイント付与時の仕訳

ポイントが付与されたことにより増加した普通預金の口座残高については、「雑収入」で処理します。

キャッシュレス・ポイント還元事業にかかるポイントの付与は消費税法上は課税の対象外(不課税取引)となることに注意しましょう。

1月31日:ポイント付与時の仕訳 

 

④「即時振替」×「即時還元」の場合の消費税の取扱いと仕訳例

具体例
1月15日:11,000円(10%税込み)の消耗品を購入し、220円分のポイントが即時充当された。また、即時振替サービスを利用し、銀行口座からポイント相当額を差し引いた10,780円が即座に引き落とされた。なお、そのポイントはキャッシュレス・ポイント還元事業の対象となるものである。

購入時の仕訳

商品の購入額は、キャッシュレス・ポイント還元事業の対象となるか否かにかかわらず、消費税法上はその全額が課税仕入れとなります。

購入時に即時充当されたポイント相当額は「消耗品費」勘定と相殺するのではなく「雑収入」(不課税売上げ)を計上します。

1月15日:購入時の仕訳(即時振替・即時充当の場合)

 

⑤「後払方式」×「後日還元」の場合の消費税の取扱いと仕訳例

具体例
1月15日:11,000円(10%税込み)の消耗品を購入し、クレジットカードで決済した。
1月31日:クレジットカード運用会社から220円分のポイントが付与され、引き落とし金額からそのポイント相当額が控除され10,780円が普通預金口座から引き落とされた。

購入時の仕訳

商品の購入額は、キャッシュレス・ポイント還元事業の対象となるか否かにかかわらず、消費税法上はその全額が課税仕入れとなります。

クレジットカード決済の場合、購入金額は後日引き落とされることとなるため貸方は「未払金」として計上します。

1月15日:購入時の仕訳(後払方式の場合)

購入代金引き落とし時の仕訳

購入代金の決済時に支払額から減額されたポイント相当額については、実質的に決済事業者を介して補助金の交付を受けたことになるため、消費税法上は不課税取引となります。

この場合、そのポイント相当額については、「雑収入」などの収益の勘定科目で計上します。

1月31日:購入代金引き落とし時の仕訳

 

⑥「後払方式」×「即時充当」の場合の消費税の取扱いと仕訳例

具体例
1月15日:11,000円(10%税込み)の消耗品を購入し、クレジットカードで決済し、220円分のポイントが即時充当された。
1月31日:10,780円が普通預金口座から引き落とされた。

購入時の仕訳

商品の購入額は、キャッシュレス・ポイント還元事業の対象となるか否かにかかわらず、消費税法上はその全額が課税仕入れとなります。

クレジットカード決済の場合、購入金額は後日引き落とされることとなるため貸方は「未払金」として計上します。

購入時に即時充当されたポイント相当額は「消耗品費」勘定と相殺するのではなく「雑収入」(不課税売上げ)を計上します。

1月15日:購入時の仕訳(後払方式・即時充当の場合)

購入代金引き落とし時の仕訳

購入時に充当されたポイント220円を差し引いた金額が後日引き落とされます。

1月31日:購入代金引き落とし時の仕訳

 

スポンサーリンク
その隙間時間、もったいないと思いませんか?
アプリ使用イメージ

通勤・通学中などの隙間時間は、有効に使えていますか?1日にしたらたった数十分程度の時間でも、塵も積もれば山となって膨大な時間となります。もし1日30分の隙間時間があったとしたら、1年に換算すると182.5時間になります。これだけの時間を有効活用することができたら、非常に大きなアドバンテージとなります。

消費税法一問一答アプリでは、隙間時間を有効活用して消費税の課否判定のトレーニングができるのはもちろん、アプリケーションプログラムを利用して短時間で多くの問題を解くことができるため、紙ベースの問題集よりもはるかに高い効率性で消費税の学習ができます!

おすすめ記事