Go To イートキャンペーンで付与されたポイントの仕訳例と消費税の取扱い

この記事の内容は、2025年1月現在の最新の税制に対応しています。

朝夕すっかり涼しくなり過ごしやすい季節となりました。

スポーツの秋、読書の秋など、いろいろと楽しみの多い季節ですが、なんといっても「秋といえば、食欲の秋!」という方も多いのではないかと思います。

そんなグルメなみなさんにとっては嬉しいキャンペーン「Go To Eatキャンペーン」が始まりました。

今回は、「Go To Eatキャンペーン」で付与されるポイントに関する具体的な仕訳例と消費税の取扱いについて解説したいと思います。

 

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Go To Eatキャンペーンの仕組み

Go To Eatキャンペーンとは、新型コロナウイルス感染拡大により落ち込んだ外食需要を喚起するために、飲食店における飲食代金の一部を国が補助する経済政策です。

補助の内容は、オンライン飲食予約の利用によるポイント付与登録飲食店で使えるプレミアム付食事券の発行から成りますが、この記事ではオンライン飲食店予約の利用によるポイント付与についての仕訳例と消費税の取扱いについて解説します。

Go To Eatキャンペーンの内容
オンライン飲食予約の利用によるポイント付与 ← この記事で解説
登録飲食店で使えるプレミアム付食事券の発行

② 登録飲食店で使えるプレミアム付食事券の発行を受けた場合の仕訳例と消費税の取り扱いの考え方については、次の記事をご覧ください。

 

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オンライン飲食予約の利用時に付与されるポイントとは

農林水産省が実施した公募により決定した、オンライン飲食店予約サイト事業者の提供するサイト経由で、期間中にキャンペーン対象の飲食店を予約・来店した利用者に対し、次回以降の飲食店利用時に使用できるポイントが付与されます。

「Go To Eatキャンペーン」の対象となるオンライン飲食店予約サイトとして認定された13事業者は次のとおりです。

Go To Eat キャンペーン対象サイト
⑦ Retty
⑧ LUXA
⑨ ヒトサラ
⑩ EPARKグルメ
⑪ favy・トレタ
⑫ 大阪グルメ
⑬ シェフル

夕食時間帯(15:00~)の来店予約なら1人当たり1,000円分のポイントが付与されます(昼食時間帯の予約は1人当たり500円分のポイントになります)。ポイント付与の上限は、1回の予約当たり10人分(最大10,000円分のポイント)です。

ポイント付与の対象期間は2021年1月末まで、利用可能期間は同年3月末までとなっています。

 

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ポイントが付与されてから使用するまでのお金の流れ

例えば、得意先の接待のために、「Go To Eatキャンペーン」の対象となる飲食店予約サイトを利用して2人で12,000円の料理を注文した場合、その予約サイトから次回以降に使用できる2,000円分のポイントが付与されます。(初回は値引きされません。)

ポイント付与時のイラスト

別の日に、また同じ飲食店予約サイトを経由して同じ店に行き、2人で同じ料理12,000円分を注文したとします。

この場合、前回付与されたポイント2,000円分を使用できるため、料理代12,000円から2,000円が値引きされ、支払額は10,000円となります。

ポイント使用時のイラスト

 

飲食店は、使用されたポイント相当額2,000円について、後日飲食店予約サイトから支払いを受けます。

また、飲食店予約サイトは、後日国から使用されたポイント相当額2,000円分の補助金を受け取ることになります。

 

お客さん側の仕訳と消費税の取扱い

まず、飲食店を利用したお客さん(消費者)側の仕訳と取扱いについて考えます。

初回利用時(ポイント付与時)の仕訳

上記の数値例と同様、得意先の接待のために、「Go To Eatキャンペーン」の対象となる飲食店予約サイトを利用して2人で12,000円の料理を注文し、飲食店予約サイトから2,000円分のポイントが付与された場合について考えます。

この場合は、料理代12,000円を支払ったという普通の仕訳を行うだけでOKです。

初回利用時(ポイント付与時)の仕訳

次回以降利用時(ポイント使用時)の仕訳

次に、また同じ飲食店予約サイトを経由して同じ店に行き、2人で同じ料理12,000円分を注文し、前回付与された2,000円分のポイントを使用した場合について考えます。

ここで、注意すべきは、お客さんが飲食店に実際に支払うのは10,000円ですが、仕訳上はいったん国からポイント相当額2,000円の補助金をもらってから、飲食代の全額12,000円を支払ったと考えます。

仕訳上の考え方のイラスト

このように考えるのは、Go To Eatキャンペーンによる割引の受益者は消費者(飲食店利用者)だからです。

本来であれば、消費者一人ひとりに対して直接補助金を交付することが望ましいのですが、それだと手続きがあまりにも煩雑になるため、飲食店予約サイトがポイントを付与することによって消費者に値引きサービスを行い、後日飲食店予約サイトが消費者の代わりに補助金の交付を受けているのです。

① ポイント使用額分の補助金を受け取ったと考える

まず、料理代を支払う前に、Go To イートキャンペーンによるポイント使用額分の補助金2,000円を受け取ったと考えます。

消費税は、次の4要件を満たす取引が課税の対象となります。

課税の対象の4要件
① 国内において行うものであること
② 事業者が事業として行うものであること
③ 対価を得て行うものであること
④ 資産の譲渡・貸付け、役務の提供であること

補助金の受け取りは、上記4要件のうち「③ 対価を得て行うものであること」の要件を満たさないため不課税取引となります。

② 料理代は全額を支払ったと考える

次に、手元資金10,000円と国から受け取った補助金2,000円を合わせて、料理代の全額12,000円を支払ったと考えます。

この場合、消費者と飲食店との間で合意した飲食サービスに係る対価の額は12,000円であるため、料理代の全額12,000円が課税仕入れとなります。

料理代は全額を支払ったと考える仕訳

③ まとめ

上記①と②をまとめると、以下のような仕訳になります。

Go to イートキャンペーンの仕訳まとめ

参考
これは、キャッシュレス・ポイント還元事業の考え方と同じです。
キャッシュレス・ポイント還元事業でも、本来ならPayPayやクレジットカードなどのキャッシュレス決済で商品等を購入した消費者一人ひとりに対して国がポイントを直接付与するのが望ましいのですが、現実的にそれは不可能なので、キャッシュレス決済事業者が代わりに補助金を受け取っています。
しかし、仕訳を考えるうえでは、消費者が国から直接ポイントの付与を受けたものとして考えます。
キャッシュレス・ポイント還元事業に関する仕訳例と消費税の取り扱いについては、以下の記事を参照してください。
また、Go To Travelキャンペーンによる旅行代金の割引きについても同様の考え方をします。詳しくは次の記事をご覧ください。

 

飲食店側の仕訳と消費税の取扱い

上記と同様の数値例で、飲食店側の仕訳と消費税の取扱いについて考えます。

初回利用時(ポイント付与時)の仕訳

初回利用時は、お客さんから料理代の全額12,000円が支払われるため、普通に売上を計上する仕訳を行います。

次回以降利用時(ポイント使用時)の仕訳

Go To イートキャンペーンによるポイントが使用された場合は、そのポイント使用額は後日飲食店予約サイトから支払いを受けることになるため「売掛金」などの資産の勘定科目で処理します。

ポイントが使用された場合であっても、料理代の全額12,000円が課税売上げとなります。

飲食店側の次回以降利用時(ポイント使用時)の仕訳

ポイント相当額の支払いを受けたときの仕訳

後日、飲食店予約サイトから使用されたポイント相当額分の支払いを受けた場合は、料理代受け取り時に計上した売掛金などの資産勘定を取り崩します。

ポイント相当額の支払いを受けたときの仕訳

 

まとめ

Go To Eatキャンペーンにより付与されたポイントを使用して料理代金の値引きを受けたとしても、値引き前の料理代金の全額が課税資産の譲渡等の対価の額となります。

値引き前の金額で仕訳処理を行わないように注意しましょう。

 

関連記事

値引きが行われた場合の消費税の取扱いの基本的な考え方は、次の記事で詳しく解説しています。

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