Google AdSense(グーグルアドセンス)広告収入は消費税の不課税取引?

この記事の内容は、2025年1月現在の最新の税制に対応しています。

WordPressなどを使ってブログやウェブサイトを運営されている方は、Google AdSense(グーグルアドセンス)のプログラムに登録して広告収入を得ている方も多いと思います。

基準期間(個人の場合は2年前、法人の場合は原則として前々事業年度)の課税売上高が1,000万円を超えている場合は消費税の納税義務が発生しますが、「Google AdSense(グーグルアドセンス)の広告収入って、消費税はかかるの?」と疑問に感じたことはないでしょうか?

今回は、Google AdSense(グーグルアドセンス)の広告収入に消費税が課されるのかどうかについて解説したいと思います。

 

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Google AdSense(グーグルアドセンス)とは

Google AdSense(グーグルアドセンス)とは、自分(自社)のブログやウェブサイトに広告を掲載することで収益を得ることができる、Googleの子会社であるGoogle Asia Pacific Pte. Ltd.という会社が提供するサイト運営者向けの広告配信サービスです。

実際にこのサイトでもGoogle AdSense広告を配信しています。上の方や下の方のあちこちの「スポンサーリンク」と書かれたところに広告が表示されているのが見えると思いますが、まさしくそれがGoogle AdSense広告です。

Google AdSenseのプログラムでは、ウェブサイトに表示された広告がクリックされるとサイト運営者に広告料が支払われる仕組みになっています。

イメージとしては、以下のイラストのような流れになります。

google adsenseのイラスト

これを踏まえて、Google AdSenseの広告収入に消費税が課税されるかどうか考えてみましょう。

参考

サイト運営者が自らのウェブサイトに広告を掲載するプログラムのことを「Google AdSense(グーグルアドセンス)」というのに対し、広告主がGoogleと提携しているウェブサイト等に広告を出稿するサービスのことを「Google広告(旧Google Adwords)」といいます。

google AdSenseとGoogle広告の違いのイラスト

Google広告(旧Google Adwords)に関する消費税の取扱については、以下の記事で詳しく解説しています。

 

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課税の対象の4要件

消費税は、次の4要件を満たす取引が課税の対象となります。

課税の対象の4要件
① 国内において行うものであること
② 事業者が事業として行うものであること
③ 対価を得て行うものであること
④ 資産の譲渡・貸付け、役務の提供であること

Google AdSenseの広告収入に消費税が課税されるかどうかは、「① 国内において行うものであること」の要件を満たしているかどうかがポイントとなります。

 

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電気通信利用役務の提供に係る内外判定

消費税法上、役務の提供(=サービスの提供)が国内において行われたかどうかの判定は、その役務の提供が行われた場所が国内であるかどうかにより行うこととされています。

ただし、平成27年(2015年)税制改正により「電気通信利用役務の提供」に該当する取引については、電気通信利用役務の提供を受ける者の住所又は本店若しくは主たる事務所等の所在地が国内にあるかどうかにより国内取引の判定を行うこととされています。

「電気通信利用役務の提供」に該当する取引の具体例としては、以下のようなものがあります。

電気通信利用役務の提供の具体例
○ インターネット等を通じて、対価を得て行われる電子書籍・電子新聞・音楽・映像・ソフトウエア(ゲームなどの様々なアプリケーションを含みます。)の配信
○ 顧客に、クラウド上のソフトウエアやデータベースを利用させるサービス
○ 顧客に、クラウド上で顧客の電子データの保存を行う場所の提供を行うサービス
○ インターネット等を通じた広告の配信・掲載
○ インターネット上のショッピングサイト・オークションサイトを利用させるサービス(商品の掲載料金等)
○ インターネット上でゲームソフト等を販売する場所を利用させるサービス
○ インターネットを介して行う宿泊予約、飲食店予約サイト(宿泊施設、飲食店等を経営する事業者から掲載料等を徴するもの)
○ インターネットを介して行う英会話教室

サイト運営者が、自らのウェブサイトにGoogle AdSenseの広告を掲載する行為は「インターネット等を通じた広告の配信・掲載」に該当するため、電気通信利用役務の提供に該当します。

したがって、Google AdSenseの広告をウェブサイトに掲載する行為が国内取引に該当するかどうかは、「電気通信利用役務の提供を受ける者」であるGoogle AdSenseの運営会社の本店・主たる事務所等が日本国内にあるかどうかにより判定を行います。

 

Google AdSenseの運営会社はシンガポールにあるため不課税取引

Google AdSenseを運営しているGoogle Asia Pacific Pte. Ltd.の本店の住所は「70 Pasir Panjang Road,#03-71 Mapletree Business City, Singapore 117371」となっているため、シンガポールに所在していることになります。

したがって、「電気通信利用役務の提供を受ける者」の本店の所在地が国外であることから、課税の対象の4要件のうち「① 国内において行うものであること」の要件を満たさないため、Google AdSenseの広告を掲載する行為は不課税取引となります。

Google AdSenseの国内取引の判定

したがって、Google AdSenseによる広告収入は消費税が課されない不課税売上げとなります。

 

Google AdSenseでいくら稼いでも課税事業者にはならない

消費税の納税義務の有無は、基準期間(個人事業者の場合は前々年、法人の場合は原則として前々事業年度)における課税売上高が1,000万円を超えているかにより判定を行います。

Google AdSenseの広告収入は不課税売上げなので、上記の1,000万円を超えるかどうかの判定に用いません。

したがって、Google AdSenseの広告収入が1,000万円超であったとしても(他に課税売上高が1,000万円超でなければ)2年後に課税事業者(消費税を納める義務がある事業者)になることはありません。

ブロガーの方は消費税のことは気にせずガンガン稼ぎまくりましょう!

 

(参考1)YouTube広告も同様に考える

YouTubeい投稿した動画に広告を掲載して広告収入を得ている場合の消費税の課否判定の考え方も、Google AdSense広告と同様になります。

詳しくは次の記事で解説しています。

 

(参考2)Google AdSense広告料に係る課税仕入れの税区分の考え方

Google AdSense広告料の受け取りに対応する課税仕入れの個別対応方式による区分経理の考え方については、次の記事で詳しく解説しています。

 

まとめ

Google AdSenseプログラムの広告をウェブサイトに掲載する行為は「電気通信利用役務の提供」に該当します。

「電気通信利用役務の提供」が国内取引に該当するかどうかは、電気通信利用役務の提供を受ける者の住所等が国内にあるかどうかにより判定を行いますが、Google AdSenseの運営会社であるGoogle Asia Pacific Pte. Ltd.はシンガポールに所在するため、国内取引の要件を満たさず不課税取引となります。

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