2019年4月1日以後のGoogle広告(旧Google Adwords)の消費税の取扱い

この記事の内容は、2025年1月現在の最新の税制に対応しています。

Googleが提供するインターネット上で手軽かつ安価で広告を出稿できるサービス「Google広告(旧Google AdWords)」を活用している事業者の方も多いかと思います。

実際に、僕も自分で制作・販売しているアプリ「消費税法 無敵の一問一答」の宣伝のためにGoogle広告を利用したことがあり、低予算でも十分広告効果がありとても便利でした。

Google広告は事業者にとって便利なサービスではあるのですが、外国企業が提供するサービスであるため消費税の取扱いが複雑です。2019年4月1日以後は、Googleの組織形態の変更に伴い消費税の取り扱いも変わったため注意が必要です。

今回はGoogle広告を使って広告を出稿した場合の広告料金に係る消費税の取扱いについて解説したいと思います。

 

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Google広告(旧Google Adwords)とは

「Google広告」は、以前は「Google Adwords(グーグルアドワーズ)」という名称でしたが、2018年7月に名称が変更になりました。

Google広告を使えば、Googleの検索結果やGoogleと提携しているウェブサイト等に広告を掲載することができます。

実際に、このサイトもGoogleと提携しているため、文章の合間などに広告が表示されます。上の方や下の方の「スポンサーリンク」と書かれたところに広告が表示されていると思いますが、それがまさしくGoogle広告を利用して配信された広告です。

参考

広告主がGoogleと提携しているウェブサイト等に広告を出稿するサービスが「Google広告」であるのに対し、サイト運営者が自らのウェブサイトに広告を掲載するプログラムのことを「Google AdSense(グーグルアドセンス)」といいます。

google AdSenseとGoogle広告の違いのイラスト

Google AdSenseに関する消費税の取扱については、以下の記事で詳しく解説しています。

 

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2019年4月1日以後はGoogle広告の広告料は課税仕入れとなる

Google広告を使って広告を出稿した場合の広告料金の支払先はGoogle合同会社という日本国内の法人となります。

したがって、Google広告への広告の出稿は日本国内での取引ということになるため、消費税がかかる課税取引となります。

ただし、この取扱いは2019年4月1日以後の料金の支払いについて適用されます。

 

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Google広告(旧Google AdWords)の消費税の取扱いの変遷

Google広告(旧Google AdWords)の消費税の取扱いは、過去に2度変更となりました。

次の各期間ごとにそれぞれ消費税の取扱いが異なることに注意しましょう。

Google広告(Google Adwords)広告費の消費税の取扱いの変遷

① 2015年9月30日以前:不課税仕入れ

② 2015年10月1日~2019年3月31日:特定課税仕入れ(リバースチャージ方式)

③ 2019年4月1日以後:課税仕入れ

① 2015年9月30日以前

消費税は、次の4要件を満たす取引が課税の対象となります。

課税の対象の4要件
① 国内において行うものであること
② 事業者が事業として行うものであること
③ 対価を得て行うものであること
④ 資産の譲渡・貸付け、役務の提供であること

Google Adwords(現Google広告)の広告費に消費税が課税されるかどうかは、「① 国内において行うものであること」の要件を満たしているかどうかがポイントとなります。

Google Adwordsの広告費の支払先は、当時はGoogle合同会社ではなく、Google Asia Pacific Pte. Ltdというシンガポールに本店を置く法人でした。

また、当時は平成27年度税制改正(国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税関係の見直し)が施行される前だったため、「電気通信利用役務の提供」という概念はありませんでした。

したがって、当時はインターネットを用いた広告配信などのサービスについても国内及び国外にわたって行われる役務の提供については、役務の提供を行う者の役務の提供に係る事務所等の所在地が国内であるかどうかにより国内取引の判定を行うこととされていたため、Google Adwordsの広告費の支払いは「① 国内において行うものであること」の要件を満たさず、不課税取引とされていました。

2015年9月30日以前のイラスト

② 2015年10月1日~2019年3月31日

平成27年度税制改正(国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税関係の見直し)により、2015年10月1日から「電気通信利用役務の提供」に該当する取引については、電気通信利用役務の提供を受ける者の住所又は本店若しくは主たる事務所等の所在地が国内にあるかどうかにより国内取引の判定を行うこととされました。

「電気通信利用役務の提供」に該当する取引の具体例としては、以下のようなものがあります。

電気通信利用役務の提供の具体例
○ インターネット等を通じて、対価を得て行われる電子書籍・電子新聞・音楽・映像・ソフトウエア(ゲームなどの様々なアプリケーションを含みます。)の配信
○ 顧客に、クラウド上のソフトウエアやデータベースを利用させるサービス
○ 顧客に、クラウド上で顧客の電子データの保存を行う場所の提供を行うサービス
○ インターネット等を通じた広告の配信・掲載
○ インターネット上のショッピングサイト・オークションサイトを利用させるサービス(商品の掲載料金等)
○ インターネット上でゲームソフト等を販売する場所を利用させるサービス
○ インターネットを介して行う宿泊予約、飲食店予約サイト(宿泊施設、飲食店等を経営する事業者から掲載料等を徴するもの)
○ インターネットを介して行う英会話教室

Google Adwordsへの広告の出稿は「電気通信利用役務の提供」に該当し、電気通信利用役務の提供を受ける者である広告主の住所地が国内の場合は国内取引に該当するため、課税の対象とされることになりました。

2015年10月1日~2019年3月31日のイラスト

なお、電気通信利用役務の提供には①「事業者向け電気通信利用役務の提供」②それ以外(いわゆる「消費者向け電気通信利用役務の提供」)に区分されます。

「事業者向け電気通信利用役務の提供」とは、国外事業者が行う電気通信利用役務の提供のうち、その電気通信利用役務の提供に係る役務の性質又はその役務の提供に係る取引条件等から当該役務の提供を受ける者が通常事業者に限られるものをいい、これに該当する場合はリバースチャージ方式により役務の提供を受けた国内事業者が消費税の申告納税義務を負うことになります。

Google Adwords広告は、「事業者向け電気通信利用役務の提供」に該当するため、広告費は特定課税仕入れとなり、「役務の提供を受けた国内事業者」である広告主がリバースチャージ方式により消費税の申告納税義務を負うこととなります。

なお、次のいずれかに該当する場合は、Google Adwordsの広告費についてリバースチャージ方式により消費税の申告納税を行う必要はありません。ただし、その場合は「事業者向け電気通信利用役務の提供」がなかったものとみなされるため、その広告費について仕入税額控除を行うこともできませんので注意しましょう。

リバースチャージ方式の納税義務を負わない場合

① 一般課税で、かつ、課税売上割合が95%以上の課税期間

② 簡易課税制度が適用される課税期間

③ 2019年4月1日以後

2019年4月1日に、Google Asia Pacific Pte. Ltdが日本でのGoogle Adsアカウントに関連する契約をGoogle合同会社(日本国内に本店を置く法人)に譲渡しました。

「事業者向け電気通信利用役務の提供」とは、国外事業者が行う電気通信利用役務の提供のうち~(以下略)とされているため、Google広告は「事業者向け電気通信利用役務の提供」に該当しないこととなりました。これにより、広告主はリバースチャージ方式により消費税の申告納税義務を負う必要なくなりました。

また、広告費は通常の課税仕入れに該当するため仕入税額控除を受けることができます。

2019年4月1日以後のイラスト

 

まとめ

Google広告(旧Google AdWords)の消費税の取扱いは、表にまとめると次のようになります。

国内取引の判定方法 Google Adwords(Google広告)の契約先 広告費の消費税の取扱い
2015年9月30日以前 役務の提供を行う者の事務所等の所在地(改正前) Google Asia Pacific Pte. Ltd(外国法人) 不課税仕入れ
2015年10月1日~2019年3月31日 役務の提供を受ける者の住所等(改正後) 特定課税仕入れ(リバースチャージ方式)
2019年4月1日以後 Google合同会社(内国法人) 課税仕入れ

 

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Facebook広告については、ビジネスでの利用を前提として広告サービスを提供していることから「事業者向け電気通信利用役務の提供」に該当し、原則としてリバースチャージ方式の適用が必要となります。この点については、詳しくは次の記事で解説しています。

なお、Twitter広告については、利用者が事業者に限られないことから「消費者向け電気通信利用役務の提供」に該当するものの、Twitter者が登録国外事業者に該当しないため仕入税額控除を受けることができません。この点については、詳しくは次の記事で解説しています。

電気通信利用役務の提供を受けた場合の消費税の取扱いのフローチャートは、次の記事で詳しく解説しています。

 

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