自動車を購入する時の諸費用の勘定科目と消費税の取扱いのまとめ

この記事の内容は、2025年1月現在の最新の税制に対応しています。

自動車を購入するときは、非常に多くの諸費用が発生するため、どうやって処理すればいいのか悩ましいところだと思います。

この記事では、自動車を購入する時の諸費用の勘定科目と消費税の取扱いについてまとめました。

 

スポンサーリンク

車両購入費用

車両本体価格

車両の本体価格は課税となります。

ただし、下肢・体幹機能障害がある方向けの身体障害者用改造自動車は「身体障害者用物品」に該当するため、非課税となります。

勘定科目は「車両運搬具」で処理します。

付属品

カーナビやカーオーディオなどの付属パーツにかかる「オプション費用」は課税となります。

ただし、これらの付属品の身体障害者用改造自動車への取付費用は、付属品を含めた全体が身体障害者用の自動車に該当するため非課税となります。

勘定科目は「車両運搬具」で処理します。

 

スポンサーリンク

法定費用

車庫証明取得費用

自動車を購入する際は、新車か中古車かを問わず保管する場所を登録する必要があります。

その際に登録する必要があるのが「車庫証明書」で、費用は収入証紙をもって支払います。

車庫証明の取得費用は非課税とされる行政手数料に該当するため、消費税は非課税となります。

勘定科目は「支払手数料」で処理します。

検査・登録費用

申請の区分や車の種類によって、車検や名義変更など車の登録に手数料がかかります。

これらの費用も現金ではなく収入証紙をもって支払うことになります。

車検や名義変更などにかかる検査・登録費用は非課税とされる行政手数料に該当するため、消費税は非課税となります。

勘定科目は「支払手数料」で処理します。

 

スポンサーリンク

ナンバープレート取得費用

普通車・大型車などの「登録ナンバー」の場合

普通車・大型車などの陸運局に登録してナンバープレートが発行されるものについては「登録ナンバー」といいます。

「登録ナンバー」の取得費については、非課税とされる行政手数料に該当するため、消費税は非課税となります。

なお、希望番号(たとえば「名古屋お7777」の「7777」部分)の取得費は、一連番号(特に希望をしない場合にランダムで付される番号)の場合よりも高くなりますが、その場合でも消費税は非課税となります。

また、ペイント式でなく字光式のナンバープレートを取得する場合も非課税となります。

勘定科目は「支払手数料」で処理します。

軽自動車や軽二輪などの「届出ナンバー」の場合

軽自動車や軽二輪などは陸運局に登録する必要はなく、市区町村へ届出をすることによりナンバープレートの交付を受けます。

このようなナンバーを「届出ナンバー」といいます。

「届出ナンバー」の取得費用は、非課税とされる行政手数料に該当しないため、消費税が課税されます。

勘定科目は「支払手数料」で処理します。

 

業者に支払う手数料

納車費用

ディーラーや販売店に、購入した車を指定場所まで届けてもらう費用は、役務の提供の対価として課税されます。

納車費用は車両を事業の用に供するために必要な付随費用なので取得価額に含める必要があり、勘定科目は「車両運搬具」で処理します。

車庫証明手続代行手数料

車庫証明の取得費用自体は非課税とされていますが、車庫証明の取得を業者に代行したことにより業者に支払う手数料は行政手数料ではないため、消費税は課税されます。

勘定科目は「支払手数料」で処理します。

検査・登録手続代行手数料

検査・登録費用自体は非課税とされていますが、上記と同様の理由から検査登録手続代行手数料として業者に支払う手数料については消費税は課税されます。

勘定科目は「支払手数料」で処理します。

ナンバープレート取得代行手数料

ナンバープレートの取得費用自体は非課税とされていますが、上記と同様の理由からナンバープレート取得代行手数料として業者に支払う手数料については消費税は課税されます。

勘定科目は「支払手数料」で処理します。

クリーニング費用

中古車購入時に内外装のクリーニングや洗車を行う費用は、役務の提供の対価として課税されます。

勘定科目は「支払手数料」で処理します。

割賦販売手数料

自動車ローンを組み分割払いで自動車の代金を支払う場合は、割賦販売手数料を支払います。

割賦販売手数料の取扱いについては、契約書に割賦販売手数料の金額が明示されている場合は非課税、明示されていない場合は課税となります。

契約書に明示されているかどうかが判断のポイントとなるため、たとえ請求書や見積書に記載されていたり、見積現金購入価額や推定利率から合理的に計算できる場合であっても、契約書に金額が明示されていない場合は課税となります。

この点については、詳しくは次の記事をご覧ください。

勘定科目は、契約書に割賦販売手数料の金額が明示されていて非課税となる場合は「前払費用」(割賦代金支払時に「支払利息」に振り替えます。)、契約書に割賦販売手数料の金額が明示されておらず課税となる場合は車両の取得価額に含めるため「車両運搬具」で処理します。

 

税金

新規登録に係る自動車税(種別割)・軽自動車税(種別割)

新車を購入する場合など、年度の途中で自動車を新規登録した場合の自動車税(種別割)・軽自動車税(種別割)は、「新規登録をした月の翌月から3月までの月割り分」で計算され、登録時に納付します。

当該自動車税(種別割)または軽自動車税(種別割)の納付は、車両の購入の対価ではなく税金の納付なので、資産の譲渡等の対価として支払うものではないため、消費税の課税対象外(不課税)となります。

なお、中古車を売買する際に精算する未経過分の自動車税(種別割)・軽自動車税(種別割)は資産の譲渡等の対価として消費税の課税対象となるので注意しましょう。(この点については、詳しくは後で解説します。)

勘定科目は「租税公課」で処理します。

名称について
税制改正により、令和元年10月1日以降「自動車税」は「自動車税(種別割)」に、「軽自動車税」は「軽自動車税(種別割)」に名称が変更されました。

自動車税環境性能割

自動車税環境性能割は、車の取得時に課せられる税金で、燃費性能などにより税率が変わります。

自動車税環境性能割の納付は、車両の購入の対価ではなく税金の納付なので、資産の譲渡等の対価として支払うものではないため、消費税の課税対象外(不課税)となります。

勘定科目は「租税公課」で処理します。

名称について
税制改正により、令和元年10月1日以降「自動車取得税」が廃止され、代わりに燃費性能に応じて、登録車は0~3%、軽自動車は0~2%の税率で課税される「自動車税環境性能割」が導入されることとなりました。電気自動車は非課税(0%)となります。

自動車重量税

自動車重量税とは、自動車の区分や重量、経過年数に応じて課税される税金で、原則として、自動車重量税印紙を購入し所定の納付書に貼付して納付します。

自動車重量税の納付は、車両の購入の対価ではなく税金の納付なので、資産の譲渡等の対価として支払うものではないため、消費税の課税対象外(不課税)となります。

勘定科目は「租税公課」で処理します。

 

保険料

自動車損害賠償責任保険

自動車損害賠償責任保険(いわゆる自賠責保険)とは、自動車損害賠償保障法によって、自動車および原動機付自転車を使用する際、全ての車の所有者に加入が義務づけられている損害保険です。

保険料の支払いは消費税法上非課税取引とされているため、消費税は非課税です。

勘定科目は「保険料」で処理します。

任意保険

任意保険は、自賠責保険と違い必ずしも加入する必要はない保険ですが、自動車事故のリスクに備えて加入している方が多いと思います。

任意保険に係る保険料についても、自賠責保険の場合と同様、消費税は非課税となります。

勘定科目は「保険料」で処理します。

 

未経過分の諸費用の清算金

未経過分の自動車税(種別割)・軽自動車税(種別割)

自動車を年の中途に売却した場合には、所有者の変更に伴い、所有期間に応じて自動車税の精算処理を行う慣行があります。

中古車を購入した場合に、売り主に対し未経過分の自動車税(種別割)・軽自動車税(種別割)を支払うことがありますが、これらは資産の譲渡等の対価に含まれるため、消費税の課税対象となります。

未経過分の自動車税(種別割)・軽自動車税(種別割)は車両の取得価額の一部であるため、勘定科目は「車両運搬具」で処理します。

新車購入時の自動車税と未経過自動車税の違い
上述のとおり、新車を購入する際に支払う自動車税(種別割)・軽自動車税(種別割)は、新車の買い主が登録時に都道府県に納付するものなので、税金の支払いとして課税の対象外(不課税)となります。
新車購入時の自動車税のイラスト
一方、中古車を購入する際に支払う未経過分の自動車税(種別割)・軽自動車税(種別割)の清算金は、中古車の売り主が買い主に対し所有期間に応じて車両代金に上乗せして請求するもので、税金の納付ではないため、車両の売買価格の一部として課税の対象となります。
未経過分の自動車税(種別割)・軽自動車税(種別割)のイラスト
未経過分の自動車税(種別割)・軽自動車税(種別割)の精算を行った場合の具体的な仕訳例については、下記の記事をご覧ください。

未経過分の自賠責保険料

未経過分の自動車税(種別割)・軽自動車税(種別割)と同様に、自動車損害賠償責任保険料についても、自動車を年の中途に売却した場合に所有期間に応じて精算処理が行われることがあります。

未経過分の自動車損害賠償責任保険料も、自動車の売買価格の一部として資産の譲渡等の対価に含まれるため、消費税の課税対象となります。

勘定科目は「車両運搬具」で処理します。

 

リサイクル料金

シュレッダー料金

シュレッダー料金は、車を廃車するときに生じるゴミなどの「シュレッダーダスト」を再利用するためにかかるる料金です。

自動車が廃車されるまで資金管理法人(財団法人自動車リサイクル促進センター)により管理運用されます。

これは、車が廃車されるときにはじめて役務の提供を受けるものなので、自動車の購入時はまだ役務の提供を受けていないことから、廃車費用の前払額としての性質を持っています。

したがって、自動車購入時に支払うシュレッダー料金は課税の対象の4要件のうち「対価を得て行うものであること」の要件を満たしていないため課税の対象外(不課税)となります。廃車されたときに課税仕入れとなります。

勘定科目は、廃車されるまでは「リサイクル預託金」(または「長期前払費用」)として計上し、廃車時に「支払手数料」に振り替えます。

エアバッグ類料金

エアバッグ類料金は、車を廃車するときにエアバッグが爆発しないよう適切に処理するための料金です。

これもシュレッダー料金と同様、車が廃車されるときにはじめて役務の提供を受けるものなので、自動車購入時に支払うエアバッグ類料金は課税の対象外(不課税)となり、廃車されたときに課税仕入れとなります。

勘定科目は、廃車されるまでは「リサイクル預託金」(または「長期前払費用」)として計上し、廃車時に「支払手数料」に振り替えます。

フロン類料金

車のエアコンに使用されているフロンガスは強力な温室効果ガスであり、また、太陽からの紫外線を防いでくれるオゾン層を破壊する有害な物質なので、これを適切に処理するためにフロン類料金がかかります。

これも車が廃車されるときにはじめて役務の提供を受けるものなので、自動車購入時に支払うフロン類料金は課税の対象外(不課税)となり、廃車されたときに課税仕入れとなります。

勘定科目は、廃車されるまでは「リサイクル預託金」(または「長期前払費用」)として計上し、廃車時に「支払手数料」に振り替えます。

情報管理料金

廃車時に引き取ってもらったり、車を業者に引き渡しするときに必要な情報を管理してもらうためにかかるのが情報管理料金です。

これも車が廃車されるときにはじめて役務の提供を受けるものなので、自動車購入時に支払う情報管理料金は課税の対象外(不課税)となり、廃車されたときに課税仕入れとなります。

勘定科目は、廃車されるまでは「リサイクル預託金」(または「長期前払費用」)として計上し、廃車時に「支払手数料」に振り替えます。

資金管理料金

資金管理料金については、リサイクル料金の運用・管理等に係るサービス料金としての性質を持っているため、支払ったときから役務の提供を受けることになります。

したがって、自動車廃車時ではなく、支払時に課税されます。

勘定科目は支払時に「支払手数料」で処理します。

 

まとめ

自動車購入時の諸費用の勘定科目と消費税の取扱いをまとめると、以下のようになります。

諸費用の内容 勘定科目 税区分
車両本体価格 一般自動車 車両運搬具 課税
身体障害者用改造自動車 車両運搬具 非課税
付属品 一般自動車取付用 車両運搬具 課税
身体障害者用改造自動車取付用 車両運搬具 非課税
法定費用 車庫証明取得費用 支払手数料 非課税
検査・登録費用 支払手数料 非課税
ナンバープレート取得費用 登録ナンバー 支払手数料 非課税
届出ナンバー 支払手数料 課税
納車費用 車両運搬具 課税
車庫証明手続代行手数料 支払手数料 課税
検査・登録手続代行手数料 支払手数料 課税
ナンバープレート取得代行手数料 支払手数料 課税
クリーニング費用 支払手数料 課税
割賦販売手数料 契約書に明示されている(※1) 前払費用 不課税
契約書に明示されていない 車両運搬具 課税
新規登録時の自動車税(種別割)・軽自動車税(種別割) 租税公課 不課税
自動車税環境性能割 租税公課 不課税
自動車重量税 租税公課 不課税
保険料 自動車損害賠償責任保険 保険料 非課税
任意保険 保険料 非課税
未経過分の自動車税(種別割)・軽自動車税(種別割) 車両運搬具 課税
未経過分の自動車損害賠償責任保険料 車両運搬具 課税
リサイクル料金 シュレッダー料金(※2) リサイクル預託金 不課税
エアバッグ類料金(※2) リサイクル預託金 不課税
フロン類料金(※2) リサイクル預託金 不課税
情報管理料金(※2) リサイクル預託金 不課税
資金管理料金 支払手数料 課税

(※1)割賦代金支払時に「支払利息」(非課税仕入れ)に振り替え。

(※2)廃車時に「支払手数料」(課税仕入れ)に振り替え。

 

スポンサーリンク
その隙間時間、もったいないと思いませんか?

通勤・通学中などの隙間時間は、有効に使えていますか?1日にしたらたった数十分程度の時間でも、塵も積もれば山となって膨大な時間となります。もし1日30分の隙間時間があったとしたら、1年に換算すると182.5時間になります。これだけの時間を有効活用することができたら、非常に大きなアドバンテージとなります。

消費税法一問一答アプリでは、隙間時間を有効活用して消費税の課否判定のトレーニングができるのはもちろん、アプリケーションプログラムを利用して短時間で多くの問題を解くことができるため、紙ベースの問題集よりもはるかに高い効率性で消費税の学習ができます!

おすすめ記事