第71回 税理士試験消費税法 無敵の解答速報(第二問・計算問題)

第71回税理士試験消費税法の解答速報の後編として、[第二問]計算問題について解説します。

前編[第一問]理論問題については、下記の記事をご覧ください。

 

スポンサーリンク

はじめに

前回の記事でも書きましたが、この解答速報は、消費税法一問一答アプリシリーズ制作者である私が一人で個人的に制作したものです。

大手資格学校のように複数人でチェックする体制はなく、スピード重視でいち早く公開するため徹夜で書いているため、集中力の欠如による誤字・脱字や問題の読み違い、計算ミスがある状態で公開してしまっているかもしれないということをあらかじめご了承ください。

なお、計算問題編についてはどんな書き方にするか非常に悩んだのですが、今回は配点が振られると予想した箇所についてのみピックアップして解説する形式にさせていただきます。

予想配点箇所については、問題全体を見て、もし自分が問題制作者だったらどこに配点を振るかといった妄想や、大手資格学校の過去の本試験における予想配点箇所を参考にしながら独自にピックアップしました。

解答中の赤丸で囲った数字は予想配点です。

文中の数字の単位はすべて円です。

 

スポンサーリンク

問1

不動産業と小売業を営む個人事業者の問題です。

まず、個人事業者甲が営んでいる小売業についてのイメージですが、問題文を見ると、飲食料品やお酒のほか、たばこや郵便切手類を販売しているとのことなので、本問の試験委員は以下のイラストのような昭和レトロなたばこ屋、駄菓子屋、酒屋等を併営する個人商店をイメージして問題を作っていることがうかがえます。

今はあまり見かけることはありませんが、昔のたばこ屋や駄菓子屋、酒屋は、なぜか郵便切手類販売所や印紙売りさばき所も兼ねて営業しているところが多くありました。

このことを知っていると、飲食料品の他にお酒やたばこ、郵便切手、印紙といった一見無関係に見えるものを色々と扱っていることに対して違和感を覚えることなく、スムーズに問題を解き進めることができたのではないでしょうか。

さて、以下、試験問題全体から見て、配点箇所の振られそうな箇所のみピックアップして解説していきます。

なお、問1全体の予想配点は40点です。

納税義務の判定

【資料】
⑵ 甲の酒類等小売業に係る前年及び前々年の取引等の状況は、次のとおりである。
  なお、甲の各課税期間に係る基準期間における課税売上高は、いずれも1千万円を超えている。
 

取引の状況 自平成31年1月1日 至令和元年12月31日 自令和2年1月1日 至令和2年12月31日
Ⅰ 資産の譲渡等の金額

86,744,369 

(うち23,756,092)

72,221,390 
 Ⅰのうち飲食料品の譲渡に係るもの

5,128,896 

(うち1,382,224)

3,926,576 
 Ⅰのうち非課税取引に係るもの

811,925 

(うち327,981)

736,997 
Ⅱ Ⅰの売上げに係る対価の返還等(イに係るものではない)

2,339,612 

(うち604,903)

2,018,424 
 Ⅱのうち飲食料品の譲渡に係るもの

83,409 

(うち19,863)

75,101 

 (注)前々年のかっこ内の金額は令和元年10月1日から令和元年12月31日までの期間に係るものである。

【解答】

⑴ {(86,744,369-23,756,092)-(811,925-327,981)}×100/108 + (23,756,092-1,382,224-327,981)×100/110 + 1,382,224×100/108 = 79,195,934

⑵(2,339,612-604,903)×100/108 + (604,903-19,863)×100/110 + 19,863×100/108 = 2,156,457

⑶ ⑴-⑵ = 77,039,477 >10,000,000 ∴ 納税義務あり 

コメント
旧税率8%と新税率10%、軽減税率8%が混在する非常にややこしい問題ですが、図を書いて整理する等して、落ち着いて解けば正答できる問題なので、ここは確実に得点しておきたいところです。(とは言うものの、これだけボリュームが多い本試験のプレッシャーの中でこのややこしい問題を落ち着いて解くのは簡単なことではないと思います。)
なお、令和3年中に乙から相続により事業を承継していますが、基準期間における課税売上高の段階で1000万円を超えているため、相続があった場合の特例について考慮する必要はありません。

中間納付額の算定

甲の前課税期間(令和2年1月1日から令和2年12月31日まで)に係る確定申告書の提出(期限内申告)により、確定した消費税額(当課税期間における中間申告により納付すべき消費税額の計算の基礎となる消費税額)は1,229,400円である。

【解答】

⑴ 一月

 1,229,400 ÷ 12 = 102,450 ≦ 4,000,000 ∴ 適用なし

⑵ 三月

 1,229,400 ÷ 12 × 3 = 307,350 ≦ 1,000,000 ∴ 適用なし

⑶ 六月

 ① 1,229,400 ÷ 12 × 6 = 614,700 > 240,000円 ∴ 適用あり

 ② 614,700(百円未満切捨) 

コメント
例題レベルの非常に簡単な中間納付額の計算です。この問題は落としてはいけません。

酒類、料理酒、調味料の売上高

付記事項イ(イ)
・・・(中略)・・・
A 酒類の売上高   22,523,739円
  上記金額には、顧客が支払い方法としてビール券を使用したもの325,998円及び甲が店舗前に設置している自動販売機によるもの1,738,626円が含まれている。
B 料理酒の売上高   205,034円
  上記金額のうち67,598円は不可飲処置されていない料理用清酒の売上高であり、残額は不可飲処置された料理酒の売上高である。なお、不可飲処置されていない料理用清酒は酒類に該当し、不可飲処置された料理用清酒は酒類に該当しない(以下同じ。)。
C 調味料の売上高  1,514,518円
  上記金額のうち118,206円はみりんの売上高であり、残額はその他の調味料の売上高である。なお、みりんは酒類に該当し、その他の調味料に酒類に該当するものは含まれていない(以下同じ。)。

【解答】

[課税標準額の計算過程欄の7.8%課税売上高の集計欄]

 22,523,739 + 67,598 + 118,206  ② +・・・

コメント
Aについては、ビール券(物品切手等)と引き換えて販売した酒類の販売額325,998円は7.8%課税売上げとなります。(消費税法基本通達9-1-22)
また、自動販売機による販売額1,738,626円については、持ち帰り販売ですが酒類なので7.8%課税売上げとなります。
Bについては、「不可飲処置?何それ?」と一瞬戸惑ったかもしれませんが、問題文にヒントが書かれているため、それに従って、不可飲処置されていない料理用清酒の売上高67,598円は7.8%課税売上げ、残額の不可飲処置された料理用清酒の販売額は6.24%課税売上げと判断できます。(問題には書いてありませんが、不可飲処置された料理用清酒とは「みりん風調味料」や「発酵調味料」のことです。)
Cについても、みりんは酒類に該当する旨が問題文に記載されているため、みりんの売上高118,206円は7.8%課税売上げと判断できます。なお、その他の調味料の販売額は6.24%課税売上げとなります。
一見知らないと解けない問題に見えますが、問題文にヒントが書かれているため、落ち着いて問題文の指示に従えば正答できたかと思います。この問題は、A~Cまですべて合っていて2点とします。
なお、みりんの取扱いや不可飲処置については、以下の記事で詳しく解説しています。
【本問と類似するアプリの問題】
消費税法 無敵の一問一答:問題番号64「商品券と引き換えに販売する商品
消費税法 プラスの一問一答:問題番号49「調味料の本みりん
消費税法 プラスの一問一答:問題番号50「みりん風調味料
消費税法 プラスの一問一答:問題番号51「発酵調味料
消費税率判定クイズ:問題番号SP102「調理用のみりん風調味料
消費税率判定クイズ:問題番号SP103「調理用の純米本みりん
消費税率判定クイズ:問題番号SP104「調理用の発酵調味料

ギフトセットの売上高

付記事項イ(イ)
・・・(中略)・・・
E ギフトセットの売上高   260,549円
  中元・歳暮用として販売している酒類と飲食料品を組み合わせたギフトセットの売上高であり、上記金額のうち83,229円は下記ニ(ホ)Aに係るものであり、残額は下記ニ(ホ)Bに係るものである。なお、ギフトセットの販売価格が税抜10,000円を超えるものはなく、当該ギフトセットに含まれる酒類及び飲食料品の価格の割合は不明である。
・・・(中略)・・・
付記事項ニ(ホ)
  ギフトセットは全て卸売業者 X社が酒類と飲食料品を組み合わせて販売しているものを仕入れており、上記金額の内訳は、次の通りである。
  A X社発行の請求書等に記載されている消費税等の適用税率が8%であるもの    54,087円
  B X社発行の請求書等に記載されている消費税等の適用税率が10%であるもの  126,536円

【解答】

[課税標準額の計算過程欄の6.24%課税売上高の集計欄]

・・・+ 83,229  +・・・

コメント
本問は国税庁が公表している資料「消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)」の問70を基にした出題です。
 

(合理的な割合が不明な小売事業者等)
問70 当社は、小売業を営んでおり、食玩を販売しています。その食玩に含まれる食品に係る部分の価格に占める割合が不明ですが、仕入れの際に仕入先が適用した税率を適用して販売することも認められますか。
【答】ご質問のように、小売業や卸売業等を営む事業者が、一体資産に該当する商品を仕入れて販売する場合において、販売する対価の額(税抜き)が1万円以下であれば、その課税仕入れの時に仕入先が適用した税率をそのまま適用して差し支えありません。

上記回答にしたがって、付記事項ニ(ホ)Aに係る仕入商品の売上高83,229円については、仕入れ時に適用された税率8%が、そのまま販売時にも適用され、6.24%課税売上げとなります。
残額(260,549-83,229)円は、仕入れ時に適用された税率10%がそのまま販売時にも適用され、7.8%課税売上げとなります。
個別事例からの出題なので、難易度は高めの問題だと思います。
【本問と類似するアプリの問題】
消費税法 プラスの一問一答:問題番号45「仕入先が軽減税率を適用していた場合の一体資産の販売

ビール券の売上高

付記事項イ(ロ)
A ビール券の売上高   689,676円
  上記金額は、全国酒販協同組合連合会が発行するビール共通券を、甲が所属する小売酒販組合から購入したものを顧客に販売しているものである。

【解答】

[課税売上割合の計算過程欄の非課税売上高の集計欄]

・・・+ 689,676  +・・・

コメント
物品切手等の譲渡は非課税取引となります。この問題は落としてはいけません。
【本問と類似するアプリの問題】
消費税法 無敵の一問一答:問題番号476「ビール券の譲渡
消費税法 プラスの一問一答:問題番号1061「贈答用ビール券の購入
消費税法 基本の一問一答:問題番号157「ビール券の譲渡
消費税率判定クイズ:問題番号KKS01「ビール券」

郵便切手等の売上高

付記事項イ(ロ)
・・・(中略)・・・
B 郵便切手等の売上高   205,282円
  上記金額にはゆうパック用の包装材料の売上高28,620円が含まれており、残額は全て郵便局から買い受けた郵便切手類及び印紙の売上高である。なお、甲は郵便切手類販売者として日本郵便株式会社より郵便切手類及び印紙の販売並びにゆうパックの引受等の業務を受託しており、店舗は郵便切手類販売所及びゆうパック取引所に該当する。

【解答】

[課税売上割合の計算過程欄の非課税売上高の集計欄]

・・・+ (205,282-28,620)    ② +・・・

コメント
郵便切手及び印紙の販売が非課税取引になります。
(お詫び)
記事公開当初、ゆうパックの包装材料について、レターパックと同様非課税取引になると記載していましたが、正しくは課税売上げでした。訂正してお詫び申し上げます。

売上返品及び売上値引高

付記事項イ(ホ)売上返品及び売上値引高
 上記金額の内訳は、次の通りである。
 A 上記(イ)Aの売上高(店舗における酒類の売上高)  △836,524円   
 B 上記(イ)Dの売上高(店舗における飲食料品の売上高)  △72,887円
 C 上記(ハ)Aの売上高(配達による酒類の売上高)に係る売上返品及び売上値引高  △1,486,445円
 D 上記(ハ)C及びDの売上高(配達によるみりん以外の調味料及び飲食料品の売上高)に係る売上返品及び売上値引高  △30,503円
   上記金額にみりんの売上高に係るものは含まれていない。
 E 上記(ニ)Aの売上高(インターネット通販による酒類の売上高)に係る売上返品高   △118,405円
 (注)赤字部分は本試験では書かれていません。

【解答】

売上げに係る対価の返還等に係る消費税額の計算過程欄]

⑴ 7.8%

 ① 836,524 + 1,486,445 + 118,405 = 2,441,374

 ② 2,441,374 × 7.8/110 = 173,115

⑵ 6.24%

 ① 72,887 + 30,503 = 103,390

 ② 103,390 × 6.24/108 = 5,973

⑶ ⑴ + ⑵ = 179,088 

コメント
資料の読み取りがあっち行ったりこっち行ったりで面倒ですが、しっかり正答すべき問題です。
【本問と類似するアプリの問題】
消費税法 プラスの一問一答:問題番号1001「飲食料品の譲渡に係る売上値引
消費税法 プラスの一問一答:問題番号1002「卸売業者が品違いにより返品して払い戻したロースハムの代金
消費税法 プラスの一問一答:問題番号1003「飲食料品の売上げに係る売上割戻

家事消費等

付記事項ロ「家事消費等」の内訳は、次のとおりである。
(イ)甲が家族と共に消費した商品の仕入価額を計上したもの   198,322円
   上記商品は全て酒類であり、通常の販売価額の合計額は263,328円である。なお、甲が販売している酒類のうち仕入価額が通常の販売価格の70%未満となるものはない。   
(ロ)甲が得意先である飲食店に贈答した商品の仕入価額を計上したもの   87,199円
   上記商品は全て酒類であり、通常の販売価額の合計額は115,266円である。

[課税標準額の計算過程欄の7.8%課税売上高の集計欄]

・・・+ 198,322(※) +・・・

(※)263,328 × 50% =131,664 < 198,322 ∴ 198,322 

コメント
個人事業者及びその同一生計親族による家事消費はみなし譲渡に該当します。棚卸資産のみなし譲渡に係る売上計上金額は、通常の販売価格×50%又は仕入価額のいずれか大きい方の金額となります。
なお、「仕入価額が通常の販売価格の70%未満となるものはない」という指示は、所得税の観点からも出題不備にならないようにするための配慮であり、消費税法の問題を解くうえでは無関係なので無視してOKです。この点について気になる方は、以下の記事をご覧ください。
また、(ロ)については不課税取引となります。
【本問と類似するアプリの問題】
消費税法 無敵の一問一答:問題番号504「個人事業者の同一生計親族による商品の家事消費
消費税法 プラスの一問一答:問題番号2431「個人事業者の同一生計親族による製品の家事消費
消費税法 無敵の一問一答:問題番号773「商品の無償譲渡
消費税法 基本の一問一答:問題番号259「商品の無償譲渡

雑収入

付記事項イ(ホ)「雑収入」の内訳は、次のとおりである。
(イ)上記イ(ニ)のインターネット通販における購入金額が税抜き1万円未満の注文につき、一律に収受している配送料収入  609,400円
(ロ)飲料メーカー Z社が店舗前に設置している清涼飲料の自動販売機について、清涼飲料の販売数量に応じて Z社から収受している自動販売機の設置手数料収入  77,155円
(ハ)日本郵便株式会社から収受している郵便切手類の販売手数料収入等  33,622円
   上記金額は、郵便切手類及び印紙の販売に係る手数料19,652円とゆうパックの引受けに係る手数料13,970円の合計額である。
(ニ)破損商品弁償金  33,961円
   上記イ(ニ)に係る配達業務を委託している運送会社Y社が配達中に商品を破損したため、Y社から破損商品の仕入価額相当額を損害賠償金として収受したものである。なお、破損商品は全て甲が回収し、適切に処分している。

【解答】

[課税標準額の計算過程欄の7.8%課税売上高の集計欄]

・・・+ 609,400 + 77,155 + 33,622  ② +・・・

コメント
(イ)配送料収入については、預り金や仮受金等として経理している場合は不課税売上げとなりますが、本問の場合は「雑収入」として計上しているため、配送に係る対価として7.8%課税売上げとなります。
(ロ)国税庁が公表している資料「消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)」の問43を基にした出題です。
 

(自動販売機の手数料)
問43 当社は、清涼飲料の自動販売機を設置しており、飲料メーカーから、この自動販売機による清涼飲料の販売数量等に応じて計算された販売手数料を受領しています。この販売手数料は、軽減税率の適用対象となりますか。
【答】
ご質問のような販売手数料は、自動販売機の設置等に係る対価として支払いを受けるものであるため、その対価の額が販売数量等に応じて計算されるものであったとしても、飲食料品の売上げ(又は仕入れ)に係る対価の返還等には該当せず、「役務の提供」の対価に該当することから、軽減税率の適用対象となりません。

清涼飲料水の自販機の販売数量に応じて収受する自販機の設置手数料については、自動販売機の設置等に係る対価として支払いを受けるものであるため、その対価の額が販売数量等に応じて計算されるものであったとしても、飲食料品の仕入れに係る対価の返還等(6.24%)には該当せず、自動販売機の設置に係る対価として7.8%課税売上げとなります。
自販機の設置手数料に、関する消費税の取扱いについては、次の記事で詳しく解説しています。
(ハ)郵便切手類の販売手数料収入等についても、日本郵便株式会社に対する役務の提供の対価であり、郵便切手類や印紙の譲渡対価ではないため非課税とはならず、7.8%課税売上げとなります。
(ニ)破損商品弁償金の収受は対価性のない取引なので不課税売上げです。なお、破損商品は全て甲が回収し、適切に処分していることから、損害を受けた商品が加害者に引き渡される場合で軽微な修理で修復可能なものに係る損害賠償金には該当しません。
【本問と類似するアプリの問題】
消費税法 プラスの一問一答:問題番号93「別途収受している配送料
消費税法 プラスの一問一答:問題番号165「自動販売機における飲料の販売数量に応じて支払われる販売手数料
消費税法 無敵の一問一答:問題番号295「自動販売機の基本設置料
消費税法 無敵の一問一答:問題番号439「損害を受け破棄した備品の損害賠償金

仕入返品、仕入値引及び仕入割戻高

付記事項イ(ヌ)仕入返品、仕入値引及び仕入割戻高
 上記金額の内訳は、次のとおりである。
 A 上記(イ)及び(ロ)の仕入高(酒類及び料理酒に係る仕入高)に係る仕入返品及び仕入値引高  △487,862円   
   上記金額に不可飲処置された料理酒の仕入れ等に係るものは含まれていない。
 B 上記(ハ)及び(ニ)の仕入高(調味料及び飲食料品に係る仕入高)に係る売上返品及び売上値引高  △34,782円
   上記金額にみりんの仕入高に係るものは含まれていない。
 C 上記(へ)の仕入高(ビール券の仕入高)に係る仕入割戻高   △18,960円
 D 上記(ト)の仕入高(郵便切手類の仕入高)に係る仕入返品高   △768円
   上記金額にゆうパック用の包装材料の仕入高に係るものは含まれていない。
 (注)赤字部分は本試験では書かれていません。

【解答】

[控除対象仕入税額の計算過程欄の酒類等小売業に係る仕入れに係る対価の返還等に係る消費税額の計算]

⑴ 7.8%

 487,862 × 7.8/110 = 34,593

⑵ 6.24%

 34,782 × 6.24/108 = 2,009

⑶ ⑴ + ⑵ = 36,602 

コメント
売上げ返還等と同様、資料の読み取りがあっち行ったりこっち行ったりで面倒ですが、しっかり正答すべき問題です。
【本問と類似するアプリの問題】
消費税法 プラスの一問一答:問題番号153「飲食料品の譲渡に係る仕入値引
消費税法 プラスの一問一答:問題番号154「品違いにより返品をした冷凍食品に係る払戻し額
消費税法 プラスの一問一答:問題番号155「飲食料品の仕入れに係る仕入割戻
消費税法 プラスの一問一答:問題番号156「酒類の仕入れに係る仕入割戻

旅費交通費

付記事項ト
「旅費交通費」のうち425,618円は新規仕入先開拓のために国内各地の酒造会社を訪問した際の出張旅費であり、残額は全て共通課税仕入れに該当する。

【解答】

[控除対象仕入税額の計算過程欄の7.8%課税売上対応課税仕入れの集計欄]

・・・+ 425,618  ① +・・・

コメント
お酒の販売はすべて課税売上げなので、お酒の新規仕入先開拓のための出張旅費は課税売上対応課税仕入れ等に該当します。
【本問と類似するアプリの問題】
消費税法 無敵の一問一答:問題番号719「国内出張旅費
消費税法 基本の一問一答:問題番号239「国内出張旅費

ホームページの作成及びメンテナンスにかかる費用

付記事項リ「広告宣伝費」の内訳は、次のとおりである。
(イ)ホームページの作成及びメンテナンスにかかる費用  228,459円
   上記金額は、国内の広告会社W社に依頼しているホームページの作成及びメンテナンスに係るものであり、当該作成及びメンテナンス業務は電気通信利用役務の提供に該当する。なお、ホームページは上記イ(ニ)(インターネット通販による酒類の販売)のインターネット通販専用のサイトである。
(注)赤字部分は本試験では書かれていません。

【解答】

[控除対象仕入税額の計算過程欄の7.8%課税売上対応課税仕入れの集計欄]

・・・+ 228,459  ① +・・・

コメント
電気通信利用役務の提供に該当しますが、よく見ると「国内の」広告会社W社に依頼しているとあるため、特定課税仕入れには該当せず、普通の課税仕入れとなります。地味なひっかけ問題です。
お酒のインターネット通販売上げ(すべて課税売上げ)に係るものなので、課税売上対応課税仕入れとなります。
【本問と類似するアプリの問題】
消費税法 無敵の一問一答:問題番号655「ホームページの制作委託
消費税法 基本の一問一答:問題番号221「ホームページの制作委託

デジタルサイネージの掲載費用

付記事項リ「広告宣伝費」の内訳は、次のとおりである。
・・・(中略)・・・
(ハ)デジタルサイネージの掲載費用  58,640円
   上記金額は、最寄りの地下鉄駅構内に設置されている大型液晶モニターに店舗の広告を掲載するための費用である。

【解答】

[控除対象仕入税額の計算過程欄の酒類等小売業に係る7.8%共通対応課税仕入れの集計欄]

・・・+ 58,640  ① +・・・

コメント
「店舗の広告」のためのデジタルサイネージの掲載費用なので、店舗で扱っているすべての商品売上げに対応する課税仕入れとなります。したがって、課税売上げとなるお酒や飲食料品、たばこの他、非課税売上げとなる郵便切手や印紙、ビール券の譲渡に対応する共通対応課税仕入れとなります。

接待交際費

付記事項ヌ「接待交際費」(339,964円)には、得意先の飲食店が新店をオープンした際に送った装花の購入費用22,000円と祝金30,000円が含まれており、残額は全て共通課税仕入れに該当し、うち58,751円は軽減税率対象品目の仕入れに該当する。
(注)赤字部分は本試験では書かれていません。

【解答】

[控除対象仕入税額の計算過程欄の酒類等小売業に係る7.8%共通対応課税仕入れの集計欄]

・・・+ (339,964 - 22,000 - 30,000 - 58,751) ① +・・・

コメント
得意先に送った装花の購入費用については、問題の指示不足な気もしますが、当該得意先は「飲食店」であるため、一般的に考えると、課税取引となる酒類や飲食料品の譲渡のみ行い、非課税とされる郵便切手類や印紙の譲渡は行っていないものと考えられます。したがって、装花の購入費用22,000円は課税売上対応となります。
また、祝金30,000円は不課税仕入れであり、58,751円は6.24%課税仕入れなので、それぞれ7.8%共通対応課税仕入れからはじき出します。
【本問と類似するアプリの問題】
消費税法 プラスの一問一答:問題番号1067「贈答用花輪の購入
消費税法 無敵の一問一答:問題番号385「祝金の受け取り
消費税法 基本の一問一答:問題番号131「祝金の受け取り

消耗品費

付記事項ヌ「消耗品費」(339,922円)のうち7,040円はビール券用のギフト券袋の購入費用であり、残額は全て共通課税仕入れに該当する。なお、ギフト券袋はビール券の販売の際に無償で提供している。
(注)赤字部分は本試験では書かれていません。

【解答】

[控除対象仕入税額の計算過程欄の7.8%非課税売上対応課税仕入れの集計欄]

・・・+ 7,040 ② +・・・

コメント
ビール券用のギフト券袋の購入費用は、ビール券の販売(非課税売上げ)に係る課税仕入れなので、非課税売上対応課税仕入れに該当します。

貸倒金

付記事項ヨ「貸倒金」(197,619円)は甲の得意先である飲食店を経営する個人事業者丙が、当課税期間において自己破産の免責許可決定を受けたことにより、丙に対する当課税期間における酒類の販売に係る売掛金の全額を回収することができないこととなったため、当該売掛金額を計上したものである。
(注)赤字部分は本試験では書かれていません。

【解答】

貸倒れに係る消費税額の控除の計算過程欄]

 197,619 × 7.8/110 = 14,012 

コメント
自己破産した顧客の破産手続終結の決定があった場合や、破産管財人から内容証明郵便により配当がない旨の通知を受けた場合には、債務に係る債務者の財産の状況、支払能力等からみて当該債務者が債務の全額を弁済できないことが明らかであり、消費税法第39条第1項に規定する貸倒れの事実が生じたことに該当するため、貸倒れに係る消費税額の控除の規定の適用を受けることとなります。(平成20年国税不服審判所裁決)
免責許可決定を受けたということは、破産手続が終結して完結していることになるため、貸倒れに係る消費税額の控除の適用を受けます。
【本問と類似するアプリの問題】
消費税法 無敵の一問一答:問題番号942「自己破産した顧客に対する販売代金

2階以上の賃貸料収入

不動産に係る付記事項イ
・・・(中略)・・・
(ロ)2階以上の居住部分に係る賃貸料収入  16,715,690円
  上記のうち201号室に係るものは、令和3年6月末に退去した前賃借人に係るもの360,000円と、現在の賃借人V社と同年8月より新たな賃貸借契約を締結したもの385,000円の合計額である。V社はマンションの近隣に所在する法人であり、201号室をV社の従業員の社宅又はテレワーク用のスペースとして転貸したい旨を希望したため、契約書に用途の記載がない(用途を問わない)賃貸借契約を締結している。なお、甲はV社と従業員との間における契約の内容及び当該従業員が201号室を居住の用に供していないことを把握していない。

【解答】

[課税売上割合の計算過程欄の非課税売上高の集計欄]

・・・+ 16,715,690 (360,000円と385,000円をマイナスしていないこと) +・・・

コメント
令和2年税制改正により、令和2年4月1日以後の貸付けについては、契約において明らかでなくても「その貸付け等の状況からみて人の居住の用に供されていることが明らかな場合」には、これを非課税とされる住宅の貸付けの範囲に含むこととされました。
消費税法基本通達6-13-11において、「貸付け等の状況から見て人の居住の用に供されていることが明らかな場合」の具合例として「住宅の賃借人が当該住宅を第三者に転貸している場合であって、当該賃借人と入居者である転借人との間の契約において貸付けに係る用途が明らかにされていないが、当該転借人が個人であって、当該住宅が人の居住の用に供されていないことを賃貸人が把握していない場合」が挙げられています。
本問においては、転借人である従業員は個人であり、甲はV社と従業員との間における契約の内容及び当該従業員が201号室を居住の用に供していないことを把握していないことから、「その貸付け等の状況からみて人の居住の用に供されていることが明らかな場合」に該当するため、8月以後V社から収受した賃貸料385,000円は非課税売上げとなります。
この点について詳しくは、次の記事をご覧ください。
【本問と類似するアプリの問題】
消費税法 無敵の一問一答:問題番号131「貸付け等の状況から見て居住用であることが明らかな建物の貸付け

礼金・権利金

不動産に係る付記事項ロ 「礼金・権利金」(462,000円)はV社より201号室の契約時に収受したものであり、返還を要しないものである。
(注)赤字部分は本試験では書かれていません。

[課税売上割合の計算過程欄の非課税売上高の集計欄]

・・・+ 462,000  +・・・

コメント
返還を要しない礼金・権利金は、資産の譲渡等の対価に該当します。
上記賃貸料収入と同様の考えから、当該礼金・権利金の収受額は非課税売上げとなります。
【本問と類似するアプリの問題】
消費税法 無敵の一問一答:問題番号529「住宅の貸付けに係る返還を要しない権利金の受け取り

修繕費

不動産に係る付記事項ハ 「修繕費」(1,704,420円)は、201号室の原状回復工事費用79,420円及び紫外線により劣化した7階の共用廊下の防滑性ビニル床シートの張り替え費用1,625,000円の合計額である。
(注)赤字部分は本試験では書かれていません。

【解答】

[控除対象仕入税額の計算過程欄の7.8%非課税売上対応課税仕入れの集計欄]

・・・+ 1,704,420 ② +・・・

コメント
賃借人が退居する際の原状回復費用は課税仕入れに該当し、住宅の貸付けに係る課税仕入れとして非課税売上対応課税仕入れに該当します。
原状回復費用に係る取扱いについては、詳しくは次の記事をご覧ください。
また、7階の共用廊下の防滑性ビニル床シートの張り替え費用も、居住用スペースのみにかかる修繕費なので非課税売上対応となります。
【本問と類似するアプリの問題】
消費税法 無敵の一問一答:問題番号755「社宅の敷金から差し引かれる原状回復費用相当額
消費税法 無敵の一問一答:問題番号851「住宅の修繕費用

管理費

不動産に係る付記事項ニ
・・・(中略)・・・
(ハ)管理費  986,040円
   上記金額は、マンションの管理を委託している管理会社T社に支払っている管理費である。

【解答】

[控除対象仕入税額の計算過程欄の不動産賃貸業に係る7.8%共通対応課税仕入れの集計欄]

・・・+ 986,040 ② +・・・

コメント
店舗用及び住宅用として貸し付けているマンション全体に係る費用なので、共通対応課税仕入れに該当します。

課税売上割合に準ずる割合(計算パターンの形式)

【資料】
・・・(中略)・・・
⑷ 甲は令和3年11月5日に甲の納税地を所轄する税務署長に対し、「消費税課税売上割合に準ずる割合の適用承認申請書」(消費税法第30条第3項に規定する申請書)を提出し、酒類等小売業及び不動産賃貸業それぞれに係る課税売上高及び非課税売上高を基礎として課税売上割合と同様の方法により求めた割合を、個別対応方式の計算上、酒類等小売業及び不動産賃貸業それぞれに係る共通課税仕入れについて適用することにつき、令和3年12月23日に承認を受けている。

以下、全体の課税売上割合をA、酒類等小売業に係る課税売上割合をB、不動産賃貸業に係る課税売上割合をCとします。

【解答】

( 計算パターンの形式

[控除対象仕入税額の個別対応方式の計算過程欄]

課税売上対応課税仕入れ等に係る税額の合計額 + 酒類等小売業に係る共通対応課税仕入れ等に係る税額の合計額 × B + 不動産賃貸業に係る共通対応課税仕入れ等に係る税額の合計額 × C

[控除対象仕入税額の一括比例配分方式の計算過程欄]

課税仕入れ等に係る税額の合計額 × A

コメント
近年の本試験では珍しい課税売上割合に準ずる割合に関する問題です。
どのように配点が振られるか悩んだのですが、おそらく計算パターンの形式に配点が振られるのではないかと思います。
課税売上割合に準ずる割合は個別対応方式による共通対応の計算にしか採用できないため、一括比例配分方式では通常の課税売上割合を乗じて計算することがポイントです。
ただ、これだけボリュームがある中で、課税売上割合に準ずる割合の計算フォームまで辿り着けた受験生は少ないと思います。
課税売上割合に準ずる割合について詳しくは、次の記事をご覧ください。
(追記)課税標準額や共通対応課税仕入れは事業ごとに分けていないとすべて×になるか?
本問では、酒類等小売業と不動産賃貸業とそれぞれ別々に課税売上割合に準ずる割合を用いることとしているため、それぞれの業種ごとの課税売上高、非課税売上高、共通対応課税仕入れを集計する必要があります。
ただし、解答用紙の計算過程欄で、業種ごとに区別せずに課税売上高、非課税売上高、共通対応課税仕入れを集計してしまった場合、これらに振られた配点はすべて×になるかというと、そんなことはないと思います。なぜなら、付表2-3では全体の課税標準額、非課税売上高の金額や共通対応課税仕入れ等に係る税額の合計額を記載する必要があるため、これらの全体の合計額を計算することは申告書の作成上間違ったことをしているわけではないからです。
むしろ、計算の流れとしては、一度全体の金額を出してから、その後準ずる割合を用いた計算のために業種ごとの課税売上高、非課税売上高、共通対応課税仕入れの金額をそれぞれ求めることになるのが本来なら自然な流れです。
とはいえ、はじめから業種ごとに区別して課税売上高、非課税売上高、共通対応課税仕入れを集計しても、それぞれを合計すれば全体の金額も求められるため、それはそれで間違った方法とはいえません。
要するに、課税売上高、非課税売上高、共通対応課税仕入れは業種ごとに区別して集計しても、区別せずに全体の金額を集計していても、どちらの方法でも配点は来るんじゃないかと、個人的には思います。

納付税額

納付税額があっていること 

コメント
最終的な納付税額が合っていたら2点プラスです。
正直ここに配点あっても無意味なんじゃないかと個人的には毎回思っています。

 

スポンサーリンク

問2

居住用賃貸建物、調整対象固定資産に係る調整の問題です。

問2の予想配点は10点です。

丙株式会社(以下「丙社」という。)は不動産賃貸業を営む法人である。次の【資料】に基づき、丙社が令和3年中に取得した建物について、仕入れに係る消費税額の調整を行うべき課税期間を答えた上でその調整税額を計算しなさい。なお、消費税法第30条第10項の規定により同条第1項の規定が適用されないこととなる課税期間及び課税仕入れ等の税額については解答を要しない。

【計算にあたっての前提事項】

⑴ 丙社は、会計帳簿における経理については、全て消費税及び地方消費税を含んだ金額により処理(税込経理)している。

⑵ 取引等は全て国内において行われたものとする。

⑶ 【資料】のすべての課税期間について、消費税の納税義務があり、個別対応方式(消費税法第30条第2項第1号に規定する計算方法)により仕入れに係る消費税額の計算を行っているものとする。

【資料】

⑴ 丙社は3月決算法人であり、事業年度(課税期間)の状況は次のとおりである。

事業年度 期 間
第20期 自令和2年4月1日 至令和3年3月31日
第21期 自令和3年4月1日 至令和4年3月31日
第22期 自令和4年4月1日 至令和5年3月31日
第23期 自令和5年4月1日 至令和6年3月31日

⑵ 丙社は、令和3年中に次の建物を購入により取得した。なお、全ての建物の取得について、売買契約は令和2年4月1日以降に締結されており、取得価額は全て課税仕入れに該当する。

取得年月日 名称 取得価額 用途等
令和3年3月25日 建物A 64,350,000円 居住・店舗併用3階建マンション※1
令和3年6月1日 建物B 38,500,000円 居住用2階建アパート※2
令和3年11月1日 建物C 10,780,000円 居住用平屋建アパート※3

※1 取得時より1階全2室を店舗用として、2階以上全6室(各階3室)を居住用として貸し付けていたが、うち2階の全3室を令和3年5月20日より時間貸しのワークスペースとして貸し付けている。その後、令和5年8月31日にこの建物Aを58,520,000円で売却している。

 なお、各階の床面積はすべて144㎡で同一であり、各階には店舗用部分と居住用部分に共通して使用される部分はなく、丙社は店舗用部分と居住用部分の床面積の比(以下「使用面積比」という。)により取得価額を区分している。使用面積比による区分は、建物Aの実態に応じた合理的な区分方法であるものとする。

※2 取得時より全4室を居住用として貸し付けていたが、うち1階の1室を令和4年10月1日より整体師である個人事業者に治療院として貸し付けている。

※3 取得時より全2室を居住用として貸し付けていたが、借主の退去後、居住用として借り手が付かなかったため、2室を令和4年11月1日より通所介護サービスを営む法人に倉庫及び待機所として貸し付けている。

⑶ ⑵の建物に係る取得後の家賃収入及び使用料収入の状況は次のとおりである。

 イ 建物A

用途 第20期 第21期 第22期 第23期
居住用 43,000 2,600,000 1,750,000 850,000
ワークスペース 0 6,259,000 5,170,000 2,354,000
店舗用 66,000 5,280,000 4,180,000 1,100,000

 ロ 建物B

用途 第20期 第21期 第22期 第23期
居住用 0 4,800,000 4,800,000 3,960,000
治療院 0 0 990,000 1,980,000

 ハ 建物C

用途 第20期 第21期 第22期 第23期
居住用 0 800,000 880,000 0
倉庫・待機所 0 0 825,000 1,980,000

【解答】

【建物Aについて】

(仕入れに係る消費税額の調整を行うべき課税期間)第22期 

〔居住用賃貸建物を課税賃貸用に供した場合等の調整税額の計算〕

⑴ 居住用賃貸建物の判定

  64,350,000 × 100/110 = 58,500,000 ≧ 10,000,000 ∴ 該当する 

⑵ 居住用賃貸建物に係る課税仕入れ等の税額

  64,350,000 × 144㎡ ×2階 ÷ 144㎡ ×3階 = 42,900,000

  42,900,000 × 7.8/110 = 3,042,000

⑶ 課税賃貸割合

 ① 課税

  (6,259,000 + 5,170,000)× 100/110 =10,390,000

 ② 非課税

   43,000 + 2,600,000 + 1,750,000 = 4,393,000

 ③ ① ÷(①+②)=0.7028…

⑷ 調整税額

  3,042,000 × 0.7028… = 2,138,022 

 

【建物Bについて】

(仕入れに係る消費税額の調整を行うべき課税期間)第23期 

〔居住用賃貸建物を課税賃貸用に供した場合等の調整税額の計算〕

⑴ 居住用賃貸建物の判定

  38,500,000 × 100/110 = 35,000,000 ≧ 10,000,000 ∴ 該当する 

⑵ 居住用賃貸建物に係る課税仕入れ等の税額

  38,500,000 × 7.8/110 = 2,730,000

⑶ 課税賃貸割合

 ① 課税

  (990,000 + 1,980,000)× 100/110 =2,700,000

 ② 非課税

   4,800,000 + 4,800,000 + 3,960,000 = 13,560,000

 ③ ① ÷(①+②)=0.1660…

⑷ 調整税額

  2,730,000 × 0.1660… = 453,321 

 

【建物Cについて】

(仕入れに係る消費税額の調整を行うべき課税期間)第22期 

〔居住用賃貸建物を課税賃貸用に供した場合等の調整税額の計算〕

⑴ 居住用賃貸建物の判定

  10,780,000 × 100/110 = 9,800,000 < 10,000,000 ∴ 該当しない 

〔調整対象固定資産を転用した場合の調整税額の計算〕

⑴ 調整対象固定資産の判定

  10,780,000 × 100/110 = 9,800,000 ≧ 1,000,000 ∴ 該当する 

⑵ 調整対象税額

  10,780,000 × 7.8/110  = 764,400

⑶ 調整税額

  764,400 × 2/3 = 509,600(加算) 

  ※ 令和3年11月1日~令和4年11月1日 ∴ 1年超2年以内の転用

コメント
今回の試験のラスボスです。なかなか難しい問題だと思います。
居住用賃貸建物に係る調整を行うのは第三年度の課税期間であることをしっかり覚えているかどうかがポイントです。
建物Cについては居住用賃貸建物に該当しませんが、調整対象固定資産として転用の調整を行うことに注意が必要です。転用時期が令和4年10月31日までなら1年以内の転用となりますが、令和4年11月1日の転用なのでギリギリ1年超2年以内の転用となります。際どいところをついたイヤらしい問題です。
居住用賃貸建物を課税賃貸用に供した場合等の調整措置については、次の記事でも詳しく解説しています。

 

 

第二問(計算問題)の総評

今回の計算問題はとにかくボリュームがすごかったという感想です。

これだけのボリュームがあると、落ち着いて解けば本来なら解けるはずの問題も、時間に追われるプレッシャーで思うように解けなかったところも多いのではないかと思います。

そういったことも考慮して、個人的な合格予想ラインは以下のようになります。

合格確実ライン:38点

ボーダーライン:34点

何度も言いますが、あくまでも個人的な予想であり、大手資格学校様のように受験生の成績に関するビッグデータを持っているわけではないため、参考程度に見ていただけたら幸いです。(予防線を張りまくってすみません。。。)

 

本試験全体の総評

今回は、理論問題、計算問題ともに例年よりもボリュームが多く、時間との戦いになったと思います。

ただし、時間に余裕があればしっかりと解答できたであろう問題も多かったため、マイナーな知識をいかに多く知っているかというよりは、日頃の筆記・計算トレーニングをいかに多く積み重ねてきたかが勝負の分かれ目になったと思います。

今回の理論および計算の解答バランスを考慮すると、全体としての個人的な合格予想ラインは以下のようになります。

合格確実ライン:75点

ボーダーライン:65点

(第一問・理論問題の解答速報はこちら↓)

※ 記事公開時点で、朝8時半まで徹夜した上で公開しています。どこかしらミスがある可能性は高めです。

一度寝てから再点検するため、後で内容や合格ライン等が変わっている可能性があることをあらかじめご了承ください。

解答に関して疑義等ある場合はお問い合わせフォームまたはTwitterでご覧楽ください。

(追記)記事公開当初、特に最後の問2の解答に関して、疲労MAXの状態だったためか色々とケアレスミスの多い状態で公開していました。ご迷惑をおかけし大変申し訳ありませんでした。現在適宜修正を行っています。

スポンサーリンク
その隙間時間、もったいないと思いませんか?

通勤・通学中などの隙間時間は、有効に使えていますか?1日にしたらたった数十分程度の時間でも、塵も積もれば山となって膨大な時間となります。もし1日30分の隙間時間があったとしたら、1年に換算すると182.5時間になります。これだけの時間を有効活用することができたら、非常に大きなアドバンテージとなります。

消費税法一問一答アプリでは、隙間時間を有効活用して消費税の課否判定のトレーニングができるのはもちろん、アプリケーションプログラムを利用して短時間で多くの問題を解くことができるため、紙ベースの問題集よりもはるかに高い効率性で消費税の学習ができます!

おすすめ記事