![第71回 税理士試験消費税法 無敵の解答速報(第二問・計算問題)](https://shouhizei-quiz.com/wp-content/uploads/2021/08/71回解答速報(計算)-e1630981364992.png)
第71回税理士試験消費税法の解答速報の後編として、[第二問]計算問題について解説します。
前編[第一問]理論問題については、下記の記事をご覧ください。
はじめに
前回の記事でも書きましたが、この解答速報は、消費税法一問一答アプリシリーズ制作者である私が一人で個人的に制作したものです。
大手資格学校のように複数人でチェックする体制はなく、スピード重視でいち早く公開するため徹夜で書いているため、集中力の欠如による誤字・脱字や問題の読み違い、計算ミスがある状態で公開してしまっているかもしれないということをあらかじめご了承ください。
なお、計算問題編についてはどんな書き方にするか非常に悩んだのですが、今回は配点が振られると予想した箇所についてのみピックアップして解説する形式にさせていただきます。
予想配点箇所については、問題全体を見て、もし自分が問題制作者だったらどこに配点を振るかといった妄想や、大手資格学校の過去の本試験における予想配点箇所を参考にしながら独自にピックアップしました。
解答中の赤丸で囲った数字は予想配点です。
文中の数字の単位はすべて円です。
問1
不動産業と小売業を営む個人事業者の問題です。
まず、個人事業者甲が営んでいる小売業についてのイメージですが、問題文を見ると、飲食料品やお酒のほか、たばこや郵便切手類を販売しているとのことなので、本問の試験委員は以下のイラストのような昭和レトロなたばこ屋、駄菓子屋、酒屋等を併営する個人商店をイメージして問題を作っていることがうかがえます。
今はあまり見かけることはありませんが、昔のたばこ屋や駄菓子屋、酒屋は、なぜか郵便切手類販売所や印紙売りさばき所も兼ねて営業しているところが多くありました。
このことを知っていると、飲食料品の他にお酒やたばこ、郵便切手、印紙といった一見無関係に見えるものを色々と扱っていることに対して違和感を覚えることなく、スムーズに問題を解き進めることができたのではないでしょうか。
さて、以下、試験問題全体から見て、配点箇所の振られそうな箇所のみピックアップして解説していきます。
なお、問1全体の予想配点は40点です。
納税義務の判定
【資料】
⑵ 甲の酒類等小売業に係る前年及び前々年の取引等の状況は、次のとおりである。
なお、甲の各課税期間に係る基準期間における課税売上高は、いずれも1千万円を超えている。
取引の状況 自平成31年1月1日 至令和元年12月31日 自令和2年1月1日 至令和2年12月31日 Ⅰ 資産の譲渡等の金額 86,744,369
(うち23,756,092)
72,221,390 Ⅰのうち飲食料品の譲渡に係るもの 5,128,896
(うち1,382,224)
3,926,576 Ⅰのうち非課税取引に係るもの 811,925
(うち327,981)
736,997 Ⅱ Ⅰの売上げに係る対価の返還等(イに係るものではない) 2,339,612
(うち604,903)
2,018,424 Ⅱのうち飲食料品の譲渡に係るもの 83,409
(うち19,863)
75,101 (注)前々年のかっこ内の金額は令和元年10月1日から令和元年12月31日までの期間に係るものである。
【解答】
⑴ {(86,744,369-23,756,092)-(811,925-327,981)}×100/108 + (23,756,092-1,382,224-327,981)×100/110 + 1,382,224×100/108 = 79,195,934
⑵(2,339,612-604,903)×100/108 + (604,903-19,863)×100/110 + 19,863×100/108 = 2,156,457
⑶ ⑴-⑵ = 77,039,477 >10,000,000 ∴ 納税義務あり ②
中間納付額の算定
甲の前課税期間(令和2年1月1日から令和2年12月31日まで)に係る確定申告書の提出(期限内申告)により、確定した消費税額(当課税期間における中間申告により納付すべき消費税額の計算の基礎となる消費税額)は1,229,400円である。
【解答】
⑴ 一月
1,229,400 ÷ 12 = 102,450 ≦ 4,000,000 ∴ 適用なし
⑵ 三月
1,229,400 ÷ 12 × 3 = 307,350 ≦ 1,000,000 ∴ 適用なし
⑶ 六月
① 1,229,400 ÷ 12 × 6 = 614,700 > 240,000円 ∴ 適用あり
② 614,700(百円未満切捨) ②
酒類、料理酒、調味料の売上高
付記事項イ(イ)
・・・(中略)・・・
A 酒類の売上高 22,523,739円
上記金額には、顧客が支払い方法としてビール券を使用したもの325,998円及び甲が店舗前に設置している自動販売機によるもの1,738,626円が含まれている。
B 料理酒の売上高 205,034円
上記金額のうち67,598円は不可飲処置されていない料理用清酒の売上高であり、残額は不可飲処置された料理酒の売上高である。なお、不可飲処置されていない料理用清酒は酒類に該当し、不可飲処置された料理用清酒は酒類に該当しない(以下同じ。)。
C 調味料の売上高 1,514,518円
上記金額のうち118,206円はみりんの売上高であり、残額はその他の調味料の売上高である。なお、みりんは酒類に該当し、その他の調味料に酒類に該当するものは含まれていない(以下同じ。)。
【解答】
[課税標準額の計算過程欄の7.8%課税売上高の集計欄]
22,523,739 + 67,598 + 118,206 ② +・・・
ギフトセットの売上高
付記事項イ(イ)
・・・(中略)・・・
E ギフトセットの売上高 260,549円
中元・歳暮用として販売している酒類と飲食料品を組み合わせたギフトセットの売上高であり、上記金額のうち83,229円は下記ニ(ホ)Aに係るものであり、残額は下記ニ(ホ)Bに係るものである。なお、ギフトセットの販売価格が税抜10,000円を超えるものはなく、当該ギフトセットに含まれる酒類及び飲食料品の価格の割合は不明である。
・・・(中略)・・・
付記事項ニ(ホ)
ギフトセットは全て卸売業者 X社が酒類と飲食料品を組み合わせて販売しているものを仕入れており、上記金額の内訳は、次の通りである。
A X社発行の請求書等に記載されている消費税等の適用税率が8%であるもの 54,087円
B X社発行の請求書等に記載されている消費税等の適用税率が10%であるもの 126,536円
【解答】
[課税標準額の計算過程欄の6.24%課税売上高の集計欄]
・・・+ 83,229 ② +・・・
(合理的な割合が不明な小売事業者等)
問70 当社は、小売業を営んでおり、食玩を販売しています。その食玩に含まれる食品に係る部分の価格に占める割合が不明ですが、仕入れの際に仕入先が適用した税率を適用して販売することも認められますか。
【答】ご質問のように、小売業や卸売業等を営む事業者が、一体資産に該当する商品を仕入れて販売する場合において、販売する対価の額(税抜き)が1万円以下であれば、その課税仕入れの時に仕入先が適用した税率をそのまま適用して差し支えありません。
ビール券の売上高
付記事項イ(ロ)
A ビール券の売上高 689,676円
上記金額は、全国酒販協同組合連合会が発行するビール共通券を、甲が所属する小売酒販組合から購入したものを顧客に販売しているものである。
【解答】
[課税売上割合の計算過程欄の非課税売上高の集計欄]
・・・+ 689,676 ② +・・・
郵便切手等の売上高
付記事項イ(ロ)
・・・(中略)・・・
B 郵便切手等の売上高 205,282円
上記金額にはゆうパック用の包装材料の売上高28,620円が含まれており、残額は全て郵便局から買い受けた郵便切手類及び印紙の売上高である。なお、甲は郵便切手類販売者として日本郵便株式会社より郵便切手類及び印紙の販売並びにゆうパックの引受等の業務を受託しており、店舗は郵便切手類販売所及びゆうパック取引所に該当する。
【解答】
[課税売上割合の計算過程欄の非課税売上高の集計欄]
・・・+ (205,282-28,620) ② +・・・
売上返品及び売上値引高
付記事項イ(ホ)売上返品及び売上値引高
上記金額の内訳は、次の通りである。
A 上記(イ)Aの売上高(店舗における酒類の売上高) △836,524円
B 上記(イ)Dの売上高(店舗における飲食料品の売上高) △72,887円
C 上記(ハ)Aの売上高(配達による酒類の売上高)に係る売上返品及び売上値引高 △1,486,445円
D 上記(ハ)C及びDの売上高(配達によるみりん以外の調味料及び飲食料品の売上高)に係る売上返品及び売上値引高 △30,503円
上記金額にみりんの売上高に係るものは含まれていない。
E 上記(ニ)Aの売上高(インターネット通販による酒類の売上高)に係る売上返品高 △118,405円
(注)赤字部分は本試験では書かれていません。
【解答】
[売上げに係る対価の返還等に係る消費税額の計算過程欄]
⑴ 7.8%
① 836,524 + 1,486,445 + 118,405 = 2,441,374
② 2,441,374 × 7.8/110 = 173,115
⑵ 6.24%
① 72,887 + 30,503 = 103,390
② 103,390 × 6.24/108 = 5,973
⑶ ⑴ + ⑵ = 179,088 ②
家事消費等
付記事項ロ「家事消費等」の内訳は、次のとおりである。
(イ)甲が家族と共に消費した商品の仕入価額を計上したもの 198,322円
上記商品は全て酒類であり、通常の販売価額の合計額は263,328円である。なお、甲が販売している酒類のうち仕入価額が通常の販売価格の70%未満となるものはない。
(ロ)甲が得意先である飲食店に贈答した商品の仕入価額を計上したもの 87,199円
上記商品は全て酒類であり、通常の販売価額の合計額は115,266円である。
[課税標準額の計算過程欄の7.8%課税売上高の集計欄]
・・・+ 198,322(※) +・・・
(※)263,328 × 50% =131,664 < 198,322 ∴ 198,322 ②
雑収入
付記事項イ(ホ)「雑収入」の内訳は、次のとおりである。
(イ)上記イ(ニ)のインターネット通販における購入金額が税抜き1万円未満の注文につき、一律に収受している配送料収入 609,400円
(ロ)飲料メーカー Z社が店舗前に設置している清涼飲料の自動販売機について、清涼飲料の販売数量に応じて Z社から収受している自動販売機の設置手数料収入 77,155円
(ハ)日本郵便株式会社から収受している郵便切手類の販売手数料収入等 33,622円
上記金額は、郵便切手類及び印紙の販売に係る手数料19,652円とゆうパックの引受けに係る手数料13,970円の合計額である。
(ニ)破損商品弁償金 33,961円
上記イ(ニ)に係る配達業務を委託している運送会社Y社が配達中に商品を破損したため、Y社から破損商品の仕入価額相当額を損害賠償金として収受したものである。なお、破損商品は全て甲が回収し、適切に処分している。
【解答】
[課税標準額の計算過程欄の7.8%課税売上高の集計欄]
・・・+ 609,400 + 77,155 + 33,622 ② +・・・
(自動販売機の手数料)
問43 当社は、清涼飲料の自動販売機を設置しており、飲料メーカーから、この自動販売機による清涼飲料の販売数量等に応じて計算された販売手数料を受領しています。この販売手数料は、軽減税率の適用対象となりますか。
【答】
ご質問のような販売手数料は、自動販売機の設置等に係る対価として支払いを受けるものであるため、その対価の額が販売数量等に応じて計算されるものであったとしても、飲食料品の売上げ(又は仕入れ)に係る対価の返還等には該当せず、「役務の提供」の対価に該当することから、軽減税率の適用対象となりません。
仕入返品、仕入値引及び仕入割戻高
付記事項イ(ヌ)仕入返品、仕入値引及び仕入割戻高
上記金額の内訳は、次のとおりである。
A 上記(イ)及び(ロ)の仕入高(酒類及び料理酒に係る仕入高)に係る仕入返品及び仕入値引高 △487,862円
上記金額に不可飲処置された料理酒の仕入れ等に係るものは含まれていない。
B 上記(ハ)及び(ニ)の仕入高(調味料及び飲食料品に係る仕入高)に係る売上返品及び売上値引高 △34,782円
上記金額にみりんの仕入高に係るものは含まれていない。
C 上記(へ)の仕入高(ビール券の仕入高)に係る仕入割戻高 △18,960円
D 上記(ト)の仕入高(郵便切手類の仕入高)に係る仕入返品高 △768円
上記金額にゆうパック用の包装材料の仕入高に係るものは含まれていない。
(注)赤字部分は本試験では書かれていません。
【解答】
[控除対象仕入税額の計算過程欄の酒類等小売業に係る仕入れに係る対価の返還等に係る消費税額の計算]
⑴ 7.8%
487,862 × 7.8/110 = 34,593
⑵ 6.24%
34,782 × 6.24/108 = 2,009
⑶ ⑴ + ⑵ = 36,602 ②
旅費交通費
付記事項ト
「旅費交通費」のうち425,618円は新規仕入先開拓のために国内各地の酒造会社を訪問した際の出張旅費であり、残額は全て共通課税仕入れに該当する。
【解答】
[控除対象仕入税額の計算過程欄の7.8%課税売上対応課税仕入れの集計欄]
・・・+ 425,618 ① +・・・
ホームページの作成及びメンテナンスにかかる費用
付記事項リ「広告宣伝費」の内訳は、次のとおりである。
(イ)ホームページの作成及びメンテナンスにかかる費用 228,459円
上記金額は、国内の広告会社W社に依頼しているホームページの作成及びメンテナンスに係るものであり、当該作成及びメンテナンス業務は電気通信利用役務の提供に該当する。なお、ホームページは上記イ(ニ)(インターネット通販による酒類の販売)のインターネット通販専用のサイトである。
(注)赤字部分は本試験では書かれていません。
【解答】
[控除対象仕入税額の計算過程欄の7.8%課税売上対応課税仕入れの集計欄]
・・・+ 228,459 ① +・・・
デジタルサイネージの掲載費用
付記事項リ「広告宣伝費」の内訳は、次のとおりである。
・・・(中略)・・・
(ハ)デジタルサイネージの掲載費用 58,640円
上記金額は、最寄りの地下鉄駅構内に設置されている大型液晶モニターに店舗の広告を掲載するための費用である。
【解答】
[控除対象仕入税額の計算過程欄の酒類等小売業に係る7.8%共通対応課税仕入れの集計欄]
・・・+ 58,640 ① +・・・
接待交際費
付記事項ヌ「接待交際費」(339,964円)には、得意先の飲食店が新店をオープンした際に送った装花の購入費用22,000円と祝金30,000円が含まれており、残額は全て共通課税仕入れに該当し、うち58,751円は軽減税率対象品目の仕入れに該当する。
(注)赤字部分は本試験では書かれていません。
【解答】
[控除対象仕入税額の計算過程欄の酒類等小売業に係る7.8%共通対応課税仕入れの集計欄]
・・・+ (339,964 - 22,000 - 30,000 - 58,751) ① +・・・
消耗品費
付記事項ヌ「消耗品費」(339,922円)のうち7,040円はビール券用のギフト券袋の購入費用であり、残額は全て共通課税仕入れに該当する。なお、ギフト券袋はビール券の販売の際に無償で提供している。
(注)赤字部分は本試験では書かれていません。
【解答】
[控除対象仕入税額の計算過程欄の7.8%非課税売上対応課税仕入れの集計欄]
・・・+ 7,040 ② +・・・
貸倒金
付記事項ヨ「貸倒金」(197,619円)は甲の得意先である飲食店を経営する個人事業者丙が、当課税期間において自己破産の免責許可決定を受けたことにより、丙に対する当課税期間における酒類の販売に係る売掛金の全額を回収することができないこととなったため、当該売掛金額を計上したものである。
(注)赤字部分は本試験では書かれていません。
【解答】
[貸倒れに係る消費税額の控除の計算過程欄]
197,619 × 7.8/110 = 14,012 ②
2階以上の賃貸料収入
不動産に係る付記事項イ
・・・(中略)・・・
(ロ)2階以上の居住部分に係る賃貸料収入 16,715,690円
上記のうち201号室に係るものは、令和3年6月末に退去した前賃借人に係るもの360,000円と、現在の賃借人V社と同年8月より新たな賃貸借契約を締結したもの385,000円の合計額である。V社はマンションの近隣に所在する法人であり、201号室をV社の従業員の社宅又はテレワーク用のスペースとして転貸したい旨を希望したため、契約書に用途の記載がない(用途を問わない)賃貸借契約を締結している。なお、甲はV社と従業員との間における契約の内容及び当該従業員が201号室を居住の用に供していないことを把握していない。
【解答】
[課税売上割合の計算過程欄の非課税売上高の集計欄]
・・・+ 16,715,690 ②(360,000円と385,000円をマイナスしていないこと) +・・・
礼金・権利金
不動産に係る付記事項ロ 「礼金・権利金」(462,000円)はV社より201号室の契約時に収受したものであり、返還を要しないものである。
(注)赤字部分は本試験では書かれていません。
[課税売上割合の計算過程欄の非課税売上高の集計欄]
・・・+ 462,000 ② +・・・
修繕費
不動産に係る付記事項ハ 「修繕費」(1,704,420円)は、201号室の原状回復工事費用79,420円及び紫外線により劣化した7階の共用廊下の防滑性ビニル床シートの張り替え費用1,625,000円の合計額である。
(注)赤字部分は本試験では書かれていません。
【解答】
[控除対象仕入税額の計算過程欄の7.8%非課税売上対応課税仕入れの集計欄]
・・・+ 1,704,420 ② +・・・
管理費
不動産に係る付記事項ニ
・・・(中略)・・・
(ハ)管理費 986,040円
上記金額は、マンションの管理を委託している管理会社T社に支払っている管理費である。
【解答】
[控除対象仕入税額の計算過程欄の不動産賃貸業に係る7.8%共通対応課税仕入れの集計欄]
・・・+ 986,040 ② +・・・
課税売上割合に準ずる割合(計算パターンの形式)
【資料】
・・・(中略)・・・
⑷ 甲は令和3年11月5日に甲の納税地を所轄する税務署長に対し、「消費税課税売上割合に準ずる割合の適用承認申請書」(消費税法第30条第3項に規定する申請書)を提出し、酒類等小売業及び不動産賃貸業それぞれに係る課税売上高及び非課税売上高を基礎として課税売上割合と同様の方法により求めた割合を、個別対応方式の計算上、酒類等小売業及び不動産賃貸業それぞれに係る共通課税仕入れについて適用することにつき、令和3年12月23日に承認を受けている。
以下、全体の課税売上割合をA、酒類等小売業に係る課税売上割合をB、不動産賃貸業に係る課税売上割合をCとします。
【解答】
( 計算パターンの形式 ② )
[控除対象仕入税額の個別対応方式の計算過程欄]
課税売上対応課税仕入れ等に係る税額の合計額 + 酒類等小売業に係る共通対応課税仕入れ等に係る税額の合計額 × B + 不動産賃貸業に係る共通対応課税仕入れ等に係る税額の合計額 × C
[控除対象仕入税額の一括比例配分方式の計算過程欄]
課税仕入れ等に係る税額の合計額 × A
納付税額
納付税額があっていること ②
問2
居住用賃貸建物、調整対象固定資産に係る調整の問題です。
問2の予想配点は10点です。
丙株式会社(以下「丙社」という。)は不動産賃貸業を営む法人である。次の【資料】に基づき、丙社が令和3年中に取得した建物について、仕入れに係る消費税額の調整を行うべき課税期間を答えた上でその調整税額を計算しなさい。なお、消費税法第30条第10項の規定により同条第1項の規定が適用されないこととなる課税期間及び課税仕入れ等の税額については解答を要しない。
【計算にあたっての前提事項】
⑴ 丙社は、会計帳簿における経理については、全て消費税及び地方消費税を含んだ金額により処理(税込経理)している。
⑵ 取引等は全て国内において行われたものとする。
⑶ 【資料】のすべての課税期間について、消費税の納税義務があり、個別対応方式(消費税法第30条第2項第1号に規定する計算方法)により仕入れに係る消費税額の計算を行っているものとする。
【資料】
⑴ 丙社は3月決算法人であり、事業年度(課税期間)の状況は次のとおりである。
事業年度 期 間 第20期 自令和2年4月1日 至令和3年3月31日 第21期 自令和3年4月1日 至令和4年3月31日 第22期 自令和4年4月1日 至令和5年3月31日 第23期 自令和5年4月1日 至令和6年3月31日 ⑵ 丙社は、令和3年中に次の建物を購入により取得した。なお、全ての建物の取得について、売買契約は令和2年4月1日以降に締結されており、取得価額は全て課税仕入れに該当する。
取得年月日 名称 取得価額 用途等 イ 令和3年3月25日 建物A 64,350,000円 居住・店舗併用3階建マンション※1 ロ 令和3年6月1日 建物B 38,500,000円 居住用2階建アパート※2 ハ 令和3年11月1日 建物C 10,780,000円 居住用平屋建アパート※3 ※1 取得時より1階全2室を店舗用として、2階以上全6室(各階3室)を居住用として貸し付けていたが、うち2階の全3室を令和3年5月20日より時間貸しのワークスペースとして貸し付けている。その後、令和5年8月31日にこの建物Aを58,520,000円で売却している。
なお、各階の床面積はすべて144㎡で同一であり、各階には店舗用部分と居住用部分に共通して使用される部分はなく、丙社は店舗用部分と居住用部分の床面積の比(以下「使用面積比」という。)により取得価額を区分している。使用面積比による区分は、建物Aの実態に応じた合理的な区分方法であるものとする。
※2 取得時より全4室を居住用として貸し付けていたが、うち1階の1室を令和4年10月1日より整体師である個人事業者に治療院として貸し付けている。
※3 取得時より全2室を居住用として貸し付けていたが、借主の退去後、居住用として借り手が付かなかったため、2室を令和4年11月1日より通所介護サービスを営む法人に倉庫及び待機所として貸し付けている。
⑶ ⑵の建物に係る取得後の家賃収入及び使用料収入の状況は次のとおりである。
イ 建物A
用途 第20期 第21期 第22期 第23期 居住用 43,000 2,600,000 1,750,000 850,000 ワークスペース 0 6,259,000 5,170,000 2,354,000 店舗用 66,000 5,280,000 4,180,000 1,100,000 ロ 建物B
用途 第20期 第21期 第22期 第23期 居住用 0 4,800,000 4,800,000 3,960,000 治療院 0 0 990,000 1,980,000 ハ 建物C
用途 第20期 第21期 第22期 第23期 居住用 0 800,000 880,000 0 倉庫・待機所 0 0 825,000 1,980,000
【解答】
【建物Aについて】
(仕入れに係る消費税額の調整を行うべき課税期間)第22期 ①
〔居住用賃貸建物を課税賃貸用に供した場合等の調整税額の計算〕
⑴ 居住用賃貸建物の判定
64,350,000 × 100/110 = 58,500,000 ≧ 10,000,000 ∴ 該当する ①
⑵ 居住用賃貸建物に係る課税仕入れ等の税額
64,350,000 × 144㎡ ×2階 ÷ 144㎡ ×3階 = 42,900,000
42,900,000 × 7.8/110 = 3,042,000
⑶ 課税賃貸割合
① 課税
(6,259,000 + 5,170,000)× 100/110 =10,390,000
② 非課税
43,000 + 2,600,000 + 1,750,000 = 4,393,000
③ ① ÷(①+②)=0.7028…
⑷ 調整税額
3,042,000 × 0.7028… = 2,138,022 ①
【建物Bについて】
(仕入れに係る消費税額の調整を行うべき課税期間)第23期 ①
〔居住用賃貸建物を課税賃貸用に供した場合等の調整税額の計算〕
⑴ 居住用賃貸建物の判定
38,500,000 × 100/110 = 35,000,000 ≧ 10,000,000 ∴ 該当する ①
⑵ 居住用賃貸建物に係る課税仕入れ等の税額
38,500,000 × 7.8/110 = 2,730,000
⑶ 課税賃貸割合
① 課税
(990,000 + 1,980,000)× 100/110 =2,700,000
② 非課税
4,800,000 + 4,800,000 + 3,960,000 = 13,560,000
③ ① ÷(①+②)=0.1660…
⑷ 調整税額
2,730,000 × 0.1660… = 453,321 ①
【建物Cについて】
(仕入れに係る消費税額の調整を行うべき課税期間)第22期 ①
〔居住用賃貸建物を課税賃貸用に供した場合等の調整税額の計算〕
⑴ 居住用賃貸建物の判定
10,780,000 × 100/110 = 9,800,000 < 10,000,000 ∴ 該当しない ①
〔調整対象固定資産を転用した場合の調整税額の計算〕
⑴ 調整対象固定資産の判定
10,780,000 × 100/110 = 9,800,000 ≧ 1,000,000 ∴ 該当する ①
⑵ 調整対象税額
10,780,000 × 7.8/110 = 764,400
⑶ 調整税額
764,400 × 2/3 = 509,600(加算) ①
※ 令和3年11月1日~令和4年11月1日 ∴ 1年超2年以内の転用
第二問(計算問題)の総評
今回の計算問題はとにかくボリュームがすごかったという感想です。
これだけのボリュームがあると、落ち着いて解けば本来なら解けるはずの問題も、時間に追われるプレッシャーで思うように解けなかったところも多いのではないかと思います。
そういったことも考慮して、個人的な合格予想ラインは以下のようになります。
合格確実ライン:38点
ボーダーライン:34点
何度も言いますが、あくまでも個人的な予想であり、大手資格学校様のように受験生の成績に関するビッグデータを持っているわけではないため、参考程度に見ていただけたら幸いです。(予防線を張りまくってすみません。。。)
本試験全体の総評
今回は、理論問題、計算問題ともに例年よりもボリュームが多く、時間との戦いになったと思います。
ただし、時間に余裕があればしっかりと解答できたであろう問題も多かったため、マイナーな知識をいかに多く知っているかというよりは、日頃の筆記・計算トレーニングをいかに多く積み重ねてきたかが勝負の分かれ目になったと思います。
今回の理論および計算の解答バランスを考慮すると、全体としての個人的な合格予想ラインは以下のようになります。
合格確実ライン:75点
ボーダーライン:65点
(第一問・理論問題の解答速報はこちら↓)
※ 記事公開時点で、朝8時半まで徹夜した上で公開しています。どこかしらミスがある可能性は高めです。
一度寝てから再点検するため、後で内容や合格ライン等が変わっている可能性があることをあらかじめご了承ください。
解答に関して疑義等ある場合はお問い合わせフォームまたはTwitterでご覧楽ください。
(追記)記事公開当初、特に最後の問2の解答に関して、疲労MAXの状態だったためか色々とケアレスミスの多い状態で公開していました。ご迷惑をおかけし大変申し訳ありませんでした。現在適宜修正を行っています。